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女自衛官が異世界裏技攻略!!  作者: 小説書こう


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11/12

落下判定ってどう計算してるのかな?

レイ一行は吸血城の入口ホールを進んでいた。

赤い絨毯にデカすぎるシャンデリアそして、壁には肖像画。しかも全員、目がやたらリアルだ。


「うわぁ〜、絶対夜中動くタイプの絵じゃーん」


レイが嬉しそうに見る。


「准尉、そういうこと言うと本当に動きそうなんでやめてください」


白瀬が89式を握り直した。


 ギィィ……


後ろで勝手に扉が閉まる。


「うわっ!?」


一同が振り返る。完全に閉じ込めらられた。


「はい出ましたー。洋館あるある、自動ロックだねー、これ絶対どっかで鍵集めるタイプだわ」


「ゲーム感覚やめてくださいよ……」


だが次の瞬間だった。


 カツン。


 カツン。


上の階からヒールの音。


「……え?」


一同が見上げるのは二階の渡り廊下。そこに女が立っていた。真っ白な肌に真っ赤なドレスにゲームに出てくるような美人。そして口元だけ、血みたいに赤い。


「あっ絶対吸血鬼だ」


「ようこそ、人の子達」


「うわ喋った」


「准尉、失礼ですって!」


すると女は手すりへ腰掛ける。


「珍しいですねぇ。ここまで辿り着く人間なんて」


「まあ私達、自衛隊なんでー」


「じえーたい?」


「軍人みたいなもん!」


女はクスクス笑う。だがその瞬間だった。


 グニャ。


「……あ?」


女の首が横に百八十度曲がった。しかもそのまま笑っている。


「うわキッモ!?」


さらにドロリと女の口から牙が伸びた。

目が真っ赤に染まる。


「人間の血……久しぶり……♡」


「うわ完全にボス前イベントじゃん!!」


レイだけテンションが上がる。


「准尉なんで嬉しそうなんですか!?」


すると吸血鬼女が消えた。


「……え?」


次の瞬間。ドンッ!!


「ぐはっ!?」


堂前が吹き飛ぶ。いつの間にか吸血鬼が背後にいたようだ


「速ッッ!?」


レイが叫ぶ。まるで映画みたいなスピード。いや映画より速い。吸血鬼が再び消える。次は白瀬の横。


「うおっ!?」


爪が89式を弾き飛ばした。


「人間って脆いのねぇ♡」


「いや強すぎるだろ!!」


 ダダダダダダッ!!


東雲達が一斉射撃。だが吸血鬼は壁や天井を跳ね回り、全部避ける。


「完全に高機動型ボスだこれ!!」


レイが笑いながら89式を構える。すると吸血鬼が天井へ張り付いた。逆さまに髪をぶら下げながら笑っている。


「さぁ♡ 誰から食べようかしら♡」


その瞬間。レイがニヤッと笑った。


「……あっ」


「?」


「アンタ今、“天井に張り付いた”わね?」


吸血鬼が首を傾げる。


「それがどうかしたの?」


レイは89式を肩へ回した。


「いやぁ、思い出したのよ」


ニヤニヤしている。完全に裏技を思いついた顔だった。


「昔やったゲームでさぁ、“落下判定バグ”ってあったの」


「……?」


吸血鬼は理解していない。だが部下達だけは察した。


「准尉その顔やめてください」


「絶対ロクでもないこと考えてますよね」


「ゲームってね」


レイは吸血鬼を指差す。


「空中にいる時間が長いほど、落下ダメージが増える時あるのよ」


「何を言って――」


その瞬間吸血鬼が動いた。天井から飛び降りる。

狙いはレイ。真っ逆さまに突っ込んでくる。


「死ねぇ♡」


レイは逃げず、むしろ笑った。


「来た来た!」


そして吸血鬼が途中のシャンデリアへ着地しようとした瞬間。


 バゴォン!!


レイの89式が火を吹き、鎖が千切れる。


「え?」


吸血鬼の足場だったシャンデリアが落下。吸血鬼の身体が空中でズレた。だが吸血鬼は即座に次の壁へ飛ぶ。


「甘――」


 ドガァン!!


今度は堂前が壁を鉈で破壊。老朽化していた装飾ごと崩れ落ちる。


「は?」


吸血鬼の着地点がまた消える。空中。また空中。

まだ地面へ着けない。


「准尉!まさか!」


「そういうこと!!」


レイが爆笑する。


「この世界ゲームなら、“落下中扱い”継続できるんじゃないかって思って!!」


「そんなアホな――」


吸血鬼が壁へ飛びつこうとする。だが


 ダダダダダダッ!!


東雲達の射撃により、着地寸前の壁が砕け散る。


「うそでしょ!?」


吸血鬼の顔が初めて焦った。


(着地できない!)


 ずっと空中。


「ほらほらほら!!」


「どんどん滞空時間伸びてる!!」


「何言ってるのよアンタァァァ!?」


 吸血鬼が叫ぶ。


その間にも堂前が柱を破壊、久我が機関銃で天井を崩し、氷室が窓枠を撃ち抜き、吸血鬼が触れそうな場所全部を壊していく。


「落ちろ落ちろ落ちろ!!」


「ゲームならそろそろ即死圏入ってる!!」


「意味が分からない!!」


吸血鬼は高速で空中を跳ね続け、ついに足場が尽きた。


「ッ――」


重力により真下へ落ちる。。


 ドゴォォォォォンッ!!!


吸血鬼が地面へ激突した。


一瞬城全体が揺れ、床が陥没。赤い絨毯が吹き飛ぶ。

そして中央には。上半身と下半身が変な方向へ折れ曲がった吸血鬼が転がっていた。


「…………」


 白瀬が震え声で言う。


「……死んだ?」


レイが近づく。吸血鬼はピクピク痙攣していた。


「う、そ……そんな……」


レイはしゃがみ込み、ニヤァっと笑う。


「いやぁ〜」


 吸血鬼の額を指で小突く。


「“落下ダメージ”って怖いわねぇ?」

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