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女自衛官が異世界裏技攻略!!  作者: 小説書こう


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12/12

ケツワープ!

「“落下ダメージ”って怖いわねぇ?」


吸血鬼の額を小突くと、


 ボゴッ。


「うわ」


頭が変な方向へ沈んだ。


「准尉!? 死体で遊ばないでください!」


「いやだって完全にバグ死したボスの死体じゃんこれ」


レイは楽しそうだった。

だが次の瞬間。


 ガコン。


「……ん?」


どこかで重い音が鳴った。すると入口ホールの奥。

今まで閉じていた鉄格子が、ゆっくり上がっていく。

ギギギギ……


「おっ」


「道が開いた……?」


「やっぱりボス撃破で解放されるタイプじゃん!」


レイが即座に走り出す。


「ほら行くわよみんな!! 探索パート開始!!」


「順応早いなぁこの人……」


一同は奥へ進んだ。鉄格子の先には長い廊下。壁には燭台。赤い絨毯。そしてまた肖像画。しかも今度は数が多い。


「……なんか増えてません?」


「増えてる」


氷室が真顔で答える。


「絶対さっきより増えてる」


「うわぁ、嫌な演出」


レイはむしろ嬉しそうだった。

その時。カタッ。


「……ん?」


一枚の肖像画の目が動いた。


「うわ本当に動いた!!」


レイが爆笑する。


「准尉そこ喜ぶところじゃないです!!」


次の瞬間。


 バァン!!


肖像画を突き破り、青白い腕が飛び出してきた。


「ッ!」


白瀬が即座に89式を発砲。


 ダダダダダッ!!


中から出てきた吸血鬼の頭が吹き飛ぶ。だが肉が再生していく。


「うわ再生した!?」


「だから吸血鬼嫌なんだよなぁ!!」


久我が機関銃を構える。だがレイが止めた。


「待って」


「え?」


レイは吸血鬼をじーっと見る。そしてニヤリ。


「これ、“一定ダメージで怯むけど復活する雑魚敵”だ」


「ゲーム基準で話すのやめてもらっていいですか!?」


すると吸血鬼が口を開く。


「血……血……」


レイはマティーチェを構えた。


「なら再生する暇なく粉々にすればいいだけでしょ!」


バギィン!!横薙ぎで吸血鬼の胴体が壁へ吹き飛ぶ。

さらに堂前が追撃し、鉈が首を叩き落とす。そこへ久我の機関銃。


 ダダダダダダダダッ!!


肉片ごと蜂の巣になり、壁に赤黒い液体が飛び散った。


「……あ、今ので死んだっぽい」


「普通の吸血鬼退治より火力が雑なんですよねぇ……」


 一行はさらに探索を続ける。


 食堂。


 武器庫。


 妙に広い浴場。


 誰もいないのに勝手に鳴るピアノ。


途中、吸血鬼らしき敵とも何度か戦ったが、数で押される前に火力で潰した。


 そして。


 探索を続けていた時だった。


 一同が足を止める。


「……おぉ」


 目の前。


 巨大な階段。


 赤い絨毯が上まで続いている。


 両脇には黒い鎧。


 上階は暗く、よく見えない。


 だが。


 空気が違った。


「うわ」


 レイが笑う。


「完全に“この先ボスです”って階段じゃん」


 しかも。


 階段の途中には大量のロウソク。


 さらに奥からは。


 ドクン。


 ドクン。


 まるで心臓みたいな音まで聞こえる。


「……帰りたい」


 白瀬が真顔で呟く。


「いやいや何言ってんの」


 レイは嬉しそうに89式を担いだ。


「ここからが本番でしょ?」


そういい、レイは階段を登り始める。部下たちもやれやれと思いながら着いていく。


十数分後、


白瀬が息を切らしながら言う。


「あのこれ、ずっとおんなじ階段登ってませんか?」


確かに白瀬の言う通りずっと階段を登っており、頂上へ着く気配がなかった。


「うーん、確かにね!」


だがここでレイに電流走る!


「よし、いいこと思いついたみんな見てて!」


とレイは背中側を階段にし階段手前の踊り場でジャンプしたりしゃがんだりを繰り返したかと思うと現実だとは思えない挙動で階段を登り出した!


レイ「ヤッフーヤヤヤッフーヤッフーヤヤヤッフーヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤッフーーー ウゥ。」


「准尉が壊れたァ!!」


「いや元からだろ!!」


 ギュオオオオオッ!!


 レイはそのまま階段を爆速で駆け上がり、


 ドゴォン!!


レイは某ゲームのバグ技「ケツワープ」を使い、最上階の壁へ激突した!


「いっっててぇ〜……」


 レイが壁からずるりと落ちる。


だが目の前には巨大な扉。黒い鉄で出来た両開き。

中央には、血みたいな赤い紋章。


「おっ」


レイが笑う。


「やっぱショートカットできた」


「できたじゃないんですよ!!」


下から白瀬の叫び声。


「准尉だけ先行かないでください!!」


「いやみんなもやれば来れるって!」


「できるわけないでしょうが!!」


「簡単簡単!」


レイが下へ向かって叫ぶ。


「ジャンプしてしゃがんでをリズムよくやるの!」


「説明が雑すぎる!」


「……あれ?」


 堂前が恐る恐るジャンプしてみる。


 しゃがむ。


 またジャンプ。


 すると。


 ギュンッ!!


「うおおおおおお!?」


堂前の身体が吹っ飛んだ。


「できたァァァ!?」


バグの速度で階段を登っていく。


 ドゴォン!!


 堂前が壁へ激突。


「いっっっっった!!」


「ほらできた」


「できるのかよ……」


 その後。


 白瀬。


 東雲。


 氷室。


 久我。


全員が半泣きでケツワープを習得した。一同はボロボロになりながら最上階へ集合する。


「なんで自衛隊やっててケツワープ習得しなきゃいけないんですか……」


「人生分かんないわねぇ」


 レイはニコニコだった。


 そして。


 一同の前には巨大な扉。


 その向こうから聞こえる。


 ドクン。


 ドクン。


 生き物みたいな鼓動。


 さらに。


 甘ったるい血の匂い。


「……いるわね」


 レイが89式を構える。


 部下達も武器を握り直した。


「さぁて」


 レイが扉へ手をかける。


「ラスボス戦、始めましょうか!」



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