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嫌われて自分を生きる  作者: こたつむ


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あいいれない絆

三姉妹が、同じ職場で出会っていたら、仲良くはなっていなかっただろう。


両親が急に亡くなり、祖父母の家での暮らしが始まり、祖父母への遠慮から、甘えることなく、三姉妹で肩を寄せ合って生きて来た。

もえは、マイペースであるが、夢結が仕事を始めて帰りが遅くなるようになると、洗濯物の片付けや、夜ご飯の準備もするようになった。

夢結は朝、夜ご飯の下ごしらえをして、仕事で遅くなる時は、もえに頼んでいたが、いつのまにか食材の買い出しから、もえが行うようになった。

夢結は、もえにはもっと協調性を持つべきと思っているが、その協調性のなさのおかげで定時に退社をし、平日の家事をこなしてくれている。

夢結は自分がやらなければという気持ちから、もえに甘えることが当たり前となっていた。

夢結がもえに甘えていられるのは、姉妹だからであるが、もえは嫌なことは嫌と言い、無理をしないため、甘えられるのだ。

そして、誰の味方でもないもえの厳しい言葉は、頼りになる。

職場の悩みを漏らしても、夢結への思いやりや、同情もなく、公平な目で考え、冷静な発言をしてくれる。

厳しいが、一番信じられる言葉を発してくれるのはもえだ。

誰にも媚びず、誰とも群れない、馴れ合わないからこそ信頼できる部分がある。

愚痴をこぼしたり、人の愚痴を聞いたりする人間は人間関係のトラブルに巻き込まれやすい。

親しくなりにくい存在ではあるが、煩わしいことに巻き込まれない賢い生き方だ。


美桜は、悩み事があると、同情して欲しい時は夢結に、本当に解決をしたいと思う時は、もえに話している。


夢結ともえが2人きりの姉妹であったら、味気ないものだったろう、美桜のかわいさが、暖かさを与えてくれている。


美桜は、何かをして欲しい時は可愛く甘えて、相手に頼りにされる喜びを与え、願望を叶える。

嫌な時は悲しそうな顔をして、悪かったと相手に思わせ、嫌なことは回避する。

嫌なことがある時、怒るよりも、悲しそうな顔をする方が効果的なことをよく理解している。

感情表現で、人を操り、生きやすさを得ている。

美桜もまた、もえとは違うが、賢い生き方をしている。


夢結は、もえが他人であったら、周りの状況を考えず、マイペースを崩さないもえと親しくなることはなかっただろう。

そしてもえも、周りのために奔走する夢結のことを冷ややかに見ていたことだろう。


甘え上手な美桜も、他人であったら、もっと自分で考えて仕事をして欲しいと思う存在であったと夢結は思う。

そして、美桜も夢結のことは、なぜ人を頼らないのかと思っていることだろう。


そんな美桜を食事の後片付けや洗濯物など、うまく手伝わせるよう操っているのはもえだ。

最初は手伝うだけだった美桜だが、もえが旅行で家を空ける時はご飯も作る。

もえがいると口出しが多いため、1人で料理を作ることは楽しいらしい。

SNSに料理をあげては、いいねをもらって、さらにレパートリーを増やしている。

洗濯も、最初こそ、もえがスイッチを入れるだけでいいよう準備をしていたが、今では美桜の仕事になっている。

美桜をうまく操作し、成長させているもえこそ、良い上司になれる器である。

人間を操れる才能で、職場でもうまくやっているのだろうか。

いや、人に気を遣わせる側だからできることなのだろうか。

夢結だったら、全て自分でしなければと思い、美桜が手伝うことはなかっただろう。


三姉妹として生まれていなかったら、親しくなることはなかっただろうが、三姉妹として生まれたからこその絆がある。


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