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嫌われて自分を生きる  作者: こたつむ


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3/17

どう思われようと自分のために行動する

8年前、三姉妹は夏休みに両親を隣家の火事の延焼で失った。三姉妹は祖母の家にいたために火事に遭うことはなく、そのまま祖父母の家に住むことになった。

大学生だった夢結は、祖父母に負担をかけまいと、家事を積極的に手伝い、それは手伝いではなく、夢結がするものとなっていった。やがて、病床に伏せた祖母の介護も増えた。

たまに訪れる叔母は、いつも夢結に感謝をしていた。

「もえちゃんも少しは、夢結ちゃんの手伝いをしたら?」

ソファでくつろぐもえに叔母は言った。

「だったら、おばちゃんがたまには手伝いに来たら?夢結は大学にも行って、家のことも、おばあちゃんの介護もしてるんだよ。おばちゃん専業主婦だよね。」

もえのふてぶてしい態度に叔母は腹を立てたが、その後、もえに何かを言うことはなかった。

もちろん、手伝いに来ることもない。

あまり人と関わろうとしないくせに、口を開けば相手を黙らせる。

「家を私の名義に変えて欲しい。」

祖母が亡くなり、初七日を済ませた後、突然もえが祖父に提案した。

祖母を失い、気を落とす祖父の気持ちを考えれば、そんな発言をする状況ではない。

しかし、祖父母とほとんど会話をすることがなく、何を考えているかわからないもえの発言に、祖父は何も言うことができなかった。

「夢結は、ずっとおばあちゃんの介護もして、家のこともしてきた。大学も地元を選んだ。なのに、おばあちゃん亡くなっても、おばちゃんがいろいろ持って帰って、夢結には何も無し、これからおじいちゃんが寝込んでも、おばちゃんたちは、何もしてくれないのに、おじいちゃん死んだら、私達、この家追い出されるのおかしいと思うんだよね。」

もえにためらいはなかった。

「それか、今のうちに3人でここを出る。」

戸惑う祖父に畳み掛ける。

祖父は、1人になる不安を感じたのか、もえでなく夢結にならと名義変更に応じた。

その後、後を追うように祖父は亡くなり、三姉妹だけの生活が始まったのが、3年前だ。

もえがあの時、祖父母の家の名義変更を訴えていなければ、祖父が亡くなった時に、叔父と叔母は家を処分しようとしたかもしれない。

たとえ、三姉妹が引き続き住めたとしても、色々面倒なことが、起きていただろう。

夢結は、社会人になっていたが、もえと美桜はまだ学生であったから、夢結1人の力で家を借りて、2人を養う力はない。

両親の保険金はあったが、もえ、美桜の学費、何かあった時のためにも、お金は残しておきたい。

もえのおかげで住むところを失わずに済んだ。

祖父が亡くなって、家の名義が夢結に代わったことを知った叔父と叔母は、もえに名義が代わっていたら、少し波風が立っていたかもしれないが、夢結に代わっていたことで祖父の思いやりと考えた。

人にどう思われるかを考えず、自分のために行動を貫けるもえは最強だ。

(結局、いつも役に立つのは私ではなく、もえだ。)

と、夢結は思った。

策を練り、遠回しなことはせず、ストレートに行動する。

三姉妹でそんな相談をしていたと思われていたら、遺恨を残していただろう。

自分勝手に生きているとみられるもえの言動だからこそ許されるものだった。

今回のことで、もえが立場を悪くすることはない。もえだからこそ、仕方ないとあきらめてもらえたと思う。

しかし、夢結が、家の名義を変えて欲しいなどと申し出ていたら、こんな時に何を言ってると叱られたに違い。

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