耳をすませば
「もえが、美桜に恋愛指南してたなんてね。」
「ヤツは、優良物件な上、コンパにも参加しない真面目な人間。ジェンダー研究会に入ってるって聞いて、ヤツしかいないって思った。ジェンダーに興味を持つってことは、人に対して、尊厳を持てる人間だからね。」
「会ったこともないのに?」
「もっと早く美桜を誘ってたら、信頼はしなかったけど、半年だよ。真面目に美桜と向き合ってくれるはず。」
「この作戦、もえも実践したことあるの?」
「まさか、会社の人間って、私の周りでは、油断していろいろ話してんの。人に対する嫉妬とか、人の悪口で盛り上がって、悪意が大きくなっていって、群れてる女はどんどん沼って絶対ダメだね。誰にも当たり障りなく、接する程度が、誰からも目をつけられない、足を引っ張られない。群れなければ、悪意の中に身を置かなくて済む。群れない女の方が、結局は好かれるんだよね。人と話すより、耳を覚ませた方が、状況つかめるよ。どういう女が愛されるか。それで、美桜で試してみたわけ。うまくいった!」
「群れないもえも、それなりにもてるの?」
「もてはしないけど、安心して話せる存在ではあるのかな。誰の味方でもなく、人に漏らすこともないから、群れてる女より、信頼されてるね。」
「同調もしてもらえないもえに話して、満足できるのかな?」
「そういう期待も持たせてないから、何か話したい時にちょうどいいんじゃないかな。聞き流してほしいことあるでしょ?夢結は、世話やきすぎて損してるよ。」
「いちいち受け止めるなってこと?」
「味方が欲しい人に、うまく利用されるてる気がする。」
人を無理に好きにならず、好かれようとせず。
もえらしいが、愛される方法を知りながら、そうしないのは、人に好意を寄せらないように振る舞っているのだろうかと夢結は思った。




