男を落とす作戦
真面目な男は焦らず、自然に時間をかけて、話の流れで、自然に。決して相手にアピールせず、媚びず、あくまでも研究会の先輩として、他の人と態度を変えず接する。
媚びて親しくなれば、周りのやっかみにあう。
他の人と態度を変えれば、必ず周りに気づかれ、足を引っ張られる。
研究会の他の人と仲良くなりすぎない。
群れる女は誘われにくい。
誘われたなどと話題にされたくないからだ。
すべて、もえの作戦である。
颯太から、話しかけられることが、増えた頃、美桜は研究会のグループラインのアイコンを小小松菜に変えた。
「美桜ちゃん、野菜育てるの?」
「うん、ネギや水菜は前からやってたんだけど、料理してる時、小松菜の根っこを捨てるのもったいないなと思ってやってみたら、葉っぱが伸びたからすごく嬉しくて。」
もえの受け売りである。
料理をSNSにあげる女は多い。盛るお皿もブランド品であったり、SNSにあげるための料理にしか見えない。
その点、捨てる野菜クズを栽培するのは、映えはないが、生活感を感じさせる。
捨てるような野菜の成長を喜ぶ女の子は、堅実な人間にウケがいいだろう。
「美桜ちゃんは、いつもオシャレしてるから、こんなことには興味ないと思ってた。」
「服はお姉ちゃんたちの服なの。」
これももえの入れ知恵である。
美桜が着る可愛い服を夢結ももえも着るはずもなく、自分で買っているのだが、着飾る女=浪費を連想させない、堅実さをアピールするためだ。
このところ、決まった服をヘビーローテしていたのも、堅実アピールの一環であった。
そして、相手に誘わせる作戦。
もえいわく、金持ちは大型犬を飼っている。
その通り、颯太の家では大型犬のアフガンハウンドを飼っていることが、わかった。
デートに誘わせるのはハードルが高い。
犬の話題になったら、次の作戦。
「犬とのお散歩憧れるな。」
「だったら、今度うちの犬と散歩する?」
颯太が美桜を意識していなくても、研究会の後輩の夢を簡単に叶えられるとなれば、気軽に誘うのではないかという、もえの筋書き通りにことが進んだ。
学外で会うことで、関係は進展しやすくなる。
しかし、2人きりの時間が白けてしまっては次が無い。そのために、犬は重要なのである。
会話が途切れる心配も低くなる。
そして、犬の散歩であれば、長時間に及ばないため、またと言う気持ちに繋げやすい。
そこに過剰なオシャレとパンプスはNG、それでラフな格好にスニーカーで出かけたわけだ。
そういう男に、知らなかった!すご〜い!の浮ついた「さしすせそ」言葉もNG
もえの教育を受け、より楽しみにしていたと思わせるため、盛り上がりに欠けた時のために、犬用のボールを用意して美桜は、出かけた。
半年をかけた。




