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嫌われて自分を生きる  作者: こたつむ


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11/16

もえが出来るまで

両親が亡くなって、

「お姉ちゃん、もえちゃんと美桜ちゃんのこと頼むわね。」

誰もが、もえと美桜を心配し、夢結を助かるものはいなかった。

夢結は、美桜のように両親を思い出し、泣くこともなかった。

もえでさえ、涙する美桜の肩を抱き、美桜にバレないように涙をこぼしていた。

夢結は、姉としての使命、妹たちの先を考え、子供ではいられない。

そんな夢結を

「お姉ちゃん」

と呼ぶのを辞めた。

妹たちの責任を負う必要はない。

1人の人間として、悲しい時は悲しい、しんどい時はしんどいと、家族に甘えれば良い。

しかし、もえの思いは夢結に届かない。

夢結が無理をすればするほど、もえは世間の薄情を知る。

周りの大人は、夢結に

「大変だね。」

などと、労うことはあっても、それを行動で示す大人はいなかった。

人の言葉は偽善、心からのものではない。

口で言うのは簡単だ。

行動で示すことのない言葉は信頼できない。


もえは、学校の友達の悩みなど、甘えにしか思えなくて、うんざりしていた。

あまり周りと話さなくなると、周りが気を遣って話すようになり、要らぬ悩み事も聞かずに済むようになった。

要らぬ付き合いもなく、1人の自由を知る。

社会に出てからも、人と距離をとっていると、頼まれごとの頻度は低く、要らぬ仕事が増えることもなかった。

人と関わらないことのメリットの方が大きいと感じる。

会社では、誰にも属さないもえに人間関係に疲弊した人間がやってくる。

「どう思われるか考えて、勝手に疲れているだけじゃない?」

もえは、自己解決を提案する。

考えなければ、楽になれるからだ。

その言葉で、もえをやはり冷たい人間と思う人間が多い。

人間変わることは難しい。

そして、協調性がないともえを疎んでくる人も多いが、今の職場は1年ごとにチームが変わり、人間関係が面倒になる前にリセットされるから、もえに合っている。

有給をとって、旅行に出かけることが、もえの大事な時間だ。

いつもと違う空間で、いろんなしがらみから解放される。

もえも、人にどう思われるかを考えないわけではない。

だからこそ、誰にも干渉されないもえにとって必要な時間であった。


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