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俺は孤高のVTuber?  〜俺が男という秘密は死んでも守る〜  作者: こっこ
VTuber企業に勤めてそろそろ一年ですが、まだ他のVTuberとコラボしたことがないそうです。
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第3話 初めての正式なコラボなのだが、どうやら大先輩もいるようです。

今回燈哉たちが配信の撮影に使う部屋に遥と燈哉は一緒に入ると、そこにはすでに2人の女の人がいた。


1人の子がモーションキャプチャー用の黒い服を見に纏っているのに対し、もう1人はスーツを身に纏い、スケジュール帳に書いてあることをもう片方に伝えているところから、スーツの人が撮影用の黒い服を身に纏った人の方のマネージャーであることがわかる。


「あれ?遥先輩、その隣にいる方は誰ですか?」


撮影用の服に着た方の人が遥に向かってそう質問してきた。


「ふふん、彼女こそ本日の主役、明野来海の中の人、佐藤綾芽ちゃんだよ!」


その遥の言葉に撮影用の服を着た人だけでなく、マネージャーと思われる人も驚いて燈哉の方を向く。


「ど、どうも。佐藤綾芽です。本日はよろしくお願いします」


燈哉は2人に対し、最低限の自己紹介をしつつ、軽く会釈をした。


遥と会った時よりも少し冷たい挨拶となっている。

実はこれ、燈哉なりの考えあっての行動なのだ。


これ以上他の人と身分を偽って仲良くなるのはやはり良心が痛むし、仲良くなることによって男だとバレてしまう可能性がより高まってしまう。だからこれからはなんとか絶妙な距離感で他のVTuberの人たちと接していきたい。


燈哉がそんなことを考えているうちに撮影用の服をきたほうの女の子が燈哉に急接近して勝手に手を繋いできた。


「私、法々ミハネの中の人、大政美咲(おおまさみさき)!今日は来てくれて本当にありがとう!」


美咲の服装は撮影用の全身真っ黒い服でおしゃれのかけらも無いが、燈哉に向かって微笑むその若々しく優しそうな笑顔から普段、女子高校生として学校に通っている姿が用意に想像できた。


「こちらこそ、私のためにこんなにしてくれて本当にありがとう!」


そしてその笑顔に先程まで冷たく接しようとしていた燈哉は、自分のことをずっと気にかけてくれた人だと気づいたため、美咲とも仲良くなりたいと強く思ったのだった。


まぁ、綾芽ちゃんに仲の良い人が増えるのはいいことだけど・・・


仲良くなるのにすごく勇気を出した遥は一瞬で燈哉と仲良くなった美咲を見て、少し嫉妬した。


そんな遥に美咲のマネージャーと思われるスーツの女が話しかけてきた。


「あの子、全然コラボしない来海ちゃんのこと、もしかしたらこの会社の皆に馴染めなくて困ってるんじゃないかってずっと言ってたの。

そのために今回の配信もあの子自身が1から企画して、あの子自身が自ら色んな先輩に頼み込んで色々準備を勧めてきていた。

だから多分だけど、来海ちゃんの中の人と実際に会えて、あの子は今、テンション最高潮だから何をするかわからない。だから美咲ちゃんが暴走しそうになった時は先輩としてお願いね、遥さん」


遥はその言葉にいつの間にか嫉妬という感情は消え、先輩として2人を温かい目で見ていた。


「わ、私なりに頑張りますよ」


遥がそう言うと、マネージャーと思われる女は「ありがとうございます」と一言残し、そのまま部屋から出て行った。


「配信開始まであと20分だよ!まだ1人きてないけどとりあえず、私と同じこれに着替えてきて!」


「うん、わかったよ!綾芽ちゃん一緒に着替えにいこ!」


美咲の言葉を聞いた遥はそう燈哉のことを誘おうとした。


もし一緒に着替えでもすれば燈哉は男だと一瞬でバレてしまうため、大ピンチ!


と思いきや、前日にあらゆるパターンを想像して対策してきた燈哉にとってこうなることは想定内であった。


「あ、私すでに中に着てますよ」


燈哉はそう言うと、着ていた白いフード付きパーカーを脱ぎ、中に来ていたモーションキャプチャー用の黒い服を見せた。


「え!?もしかして下のほうも?」


美咲は驚いたようにそう燈哉に聞く。それに対し、燈哉は「もちろんです」と答える。


いや「今日一時間目体育だから制服の下に体育着着て来ました!」みたいなノリでジーンズの中にこれ着てるなんて、私がめっちゃしっかりした子だと思ってたけど中々クレイジーじゃん。


美咲はそう思いながら少し引いた様子で燈哉のことを見る。


その一方、燈哉は"計画通り!"と言わんばかりのドヤっとした顔をしており、自分が周り引かれていることなど気づくことはなかった。


「それじゃあ私は着替えてくるねー」


遥はそう言うと部屋から出て行った。


そして残された2人は撮影位置に用意された椅子に座る。撮影場所には4つの椅子が1メートルほどの等間隔に並べられており、撮影するカメラから見て一番右に美咲、その隣に燈哉が座った。


「ちなみに今日モーションキャプチャー使って撮影するとは聞いたけど、具体的には何やるの?」


燈哉はそう遥に質問した。すると、美咲の口から次々と今日やる内容を挙げていった。


「まずは色々ゲームして、負けた人に一発芸させたり、アバターの服を一枚脱がせたりするの!折角4人集まるから、スポーツ系や、パーティ系のゲームが良いと思ってるんだ!

次に、最近他のVTuberさんたちがやってるキャラの中身が入れ替わるやつとかもやってみたいと思ってるんだ!あとは先輩たちがこの前やってたあれも・・・」


きっと俺のためにたくさん考えてきてくれたんだろうな。


燈哉は急にたくさん語り始めた美咲に対し、そう温かい目で見ていた。ちなみに燈哉は質問したくせに話の内容は右から左だった。


そして、そうこうしているうちに最後の1人が到着した。


「結構ギリギリになっちゃって本当にごめん!」


「あ、莉音先輩!今日は来てくれて本当にありがとうござます!」


大きな胸が妙に色気を醸し出す美人が颯爽と現れた。そんな彼女に美咲は元気よく挨拶する。


「この方は誰なんですか?」


燈哉は小声で美咲にそう問いかけた。


「あの人こそ、我らが大先輩の1人、神楽阪サツキの中の人、大村莉音(おおむらりおん)先輩だよ!」


「あの神楽阪サツキ先輩の中の人!?」


美咲のその質問の答えに、燈哉は小声でそう驚くと、颯爽とやって来た彼女、莉音の方を向いた。


まさかあのサツキ先輩が来てくれるなんて。今回のコラボ、俺の予想以上に凄いことになりそうだ。


燈哉は配信に向けて一段と気を引き締めた。そして遂に運命のコラボ配信が開幕しようとしていた。

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