92. アルマ宮編(37) 赤光
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
目を開けると、まぶしかった。
ベッドの上に寝ていた。
夕方の赤い光が、厚いカーテンの隙間から細く差し込んで、ちょうどペルラの顔の上に落ちていた。
「ペルラ! 気づいた?」
ジュニパーの声がした。
人影が立ち上がって近づき、顔をのぞきこんだ。
赤い光が遮られた。
逆光で顔が見えなかった。
「ジュニパー様……?」
「よかった!」
ジュニパーはペルラの手を取って、自分の頬に当てた。
ペルラの温かい手に、さらに熱い涙が触れた。
「ジュニパー様、泣いてる……?」
涙がペルラの腕に落ちて流れた。
「ごめんね、ペルラ。そんなに驚かせるつもりはなかったんだ」
ペルラはもう一方の手をジュニパーに伸ばした。
「本当に……」
またジュニパーの涙が一雫落ちた。
ペルラはうつむくジュニパーの頭を優しく撫でる。
「大丈夫ですよ、ジュニパー様」
「ペルラ……」
ジュニパーは少し顔を上げた。
「泣かないで、ジュニパー様」
ペルラは微笑んだ。
「ペルラが気を失って、怖かったんだ」
――そうだ、気を失ったんだった。
ペルラは思い出した。
「もう目も覚めましたし、大丈夫ですよ」
「うん……」
ジュニパーはまだすすり泣いていた。
ペルラはおどけてみせた。
「おはよう!……なんちゃって……」
少し間があった。
「『おはよう』って、もう一度言って」
泣き止んだジュニパーは、いつの間にかペルラの両手を取り、指を絡めていた。
「おはよう……?」
「何度も聞きたいのに、毎日聞きたいのに……」
暗い中でジュニパーの澄んだ声がした。
「僕のこと、嫌いになった?」




