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85. アルマ宮編(30) 今
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
アルマンディン東部にあるソルト伯爵邸では、数日後に控えた勲章授与式の話が出ていた。
授与式はアルマ宮で行われる。
今回ソルト伯爵に授けられる勲章は、東部統監、そして東部方面司令官として、長年アルマンディン東部を支えてきた功績に対するものだった。
ソルト伯爵は、向かいに座る息子カシューへ静かに言った。
「勲章授与式の後に祝賀会がある。妻や家族を連れて出る者が多いらしい。
行きたいか? アルマ宮に……」
「そうですね……」
カシューは下を向いた。
手を組んでは、組み替える。
「行きたければ連れていく。行きたくなければ、私一人で出席する」
カシューはしばらく考えていた。
ソルト伯爵は黙って見守っていた。
カシューは床に視線を落としたまま、話し始めた。
「行きたい……ような気がしてきました。機会がなければ入れませんから」
カシューはゆっくりと顔を上げ、少しだけ笑った。
「今の姿を見てみたい」




