62. アルマ宮編⑧ 解散
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
フェンネルがヴィレンスのもとへ向かったあと、残った者たちは食後のお茶を飲んでいた。
会計官が沈黙を破った。
「この後は、どうするんでしょうね? ミリス様は総司令官のジュニパー殿下への報告があるとして、我々は」
「もう使節団としてやることは終わりですよねえ」
農務技官が言った。
「そうっすね。あとは宿に戻るくらいじゃないですか?」
リナールも同意した。
「なかなか長い旅でしたね」
会計官の言葉に、皆しみじみしていた時だった。
突然、扉が勢いよく開いた。
「ペルラ!」
明るい声とともに、ジュニパーが部屋へ入ってきた。
淡いベージュ色の髪は光を受けて輝き、整った顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「久しぶりだね! 会いたかったよ!」
ジュニパーはペルラに歩み寄ると手を取った。
「ジュニパー様……」
慌てて立ち上がるペルラを、ジュニパーは止めた。
「ペルラ、どうか座ってて」
ペルラは落ち着かない様子で腰を下ろした。
「ゆっくり座ってて。アルマ宮まで来るのも大変だったよね? バサルクから遠かったでしょう?」
「はい、遠かったです」
ペルラは少し笑った。
「そうだよね。僕、そんな遠い所にペルラが行かされてたなんて知らなかったよ」
ジュニパーはペルラの目を見つめた。
「しかも、帰り道で賊の襲撃があったんだって? 僕、聞いてびっくりしたよ。無事でよかった」
ジュニパーはペルラの手を大事そうに握って、安心したように微笑んだ。
「ありがとうございます」
ペルラも微笑んだ。
ジュニパーの後ろから、アニスと侍女が入ってきた。
「僕はこの後ミリスと話があるから、ペルラはちょっと待っててくれる?」
「はい」
ペルラは頷いた。
「ありがとう。じゃあ、途中まで一緒に行こう」
ジュニパーに手を繋がれたまま、ペルラは部屋の出口に向かった。
「皆様、どうもありがとうございました。お元気で。
ミリス様、後ほど……」
ペルラは振り返り言った。
侍女は一礼すると、ジュニパーとペルラの後について、出て行った。
扉が閉まった。
状況がよく飲み込めず静まり返っている面々の前に立ち、アニスが口を開いた。
「それでは、今回の使節団の任務はこれで終了です。皆さん、ご苦労様でした」
「あ、終わりなんですね」
農務技官が言った。
「終わったんですねえ」
会計官も頷いた。
「じゃあ俺、街をブラブラしてから先に宿へ行ってますね〜」
リナールが立ち上がった。
「あ、ああ……」
ジュニパーに唖然としていたミリスは、リナールの声でようやく我に返った。
――アルマに、ブラブラするような場所があるのか?
ミリスは目を閉じた。
――いや、今はそんなことより……。
三人は挨拶をすると部屋を出ていった。
残ったのは、ミリスとアニスだけになった。
アニスは扉の方を見てから、ミリスへ向き直った。
「では、総司令官執務室へ参りましょう」
「……はい」
ミリスは立ち上がった。
アニスに案内され、ジュニパーの待つ部屋へ向かった。
タイトル変更を検討中です。
変更した場合もしばらく旧タイトルを併記します。




