56/106
56. アルマ宮編② 知らせ
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
翌朝、アルマへ向かう前に、ミリスは第三港湾の司令部へ立ち寄っていた。
使節団の報告書や留守中の連絡事項を確認していると、カウプテが思い出したように言った。
「そういえば、ミリス。ジュニパー様とカダン家の縁談の話はなくなったそうだ」
カダン家はアルマンディン貴族の家だ。
ミリスは思わず大きな声を出した。
「えっ? なくなったんですか?」
「ちょっと驚き過ぎじゃないか?」
カウプテは苦笑した。
「そもそも、まだ正式な婚約にもなってなかったからな。話し合いの結果、今回は見送ることになったらしい」
「そうですか……」
ミリスは力なく返事した。
「しかし、ネロリ・カダンが駐留軍に色々協力した見返りに、カダン領には西部方面軍の第二備蓄庫を置く方向で話が進んでいるそうだ。管理はカダン家に委託するらしい」
「第二備蓄庫ですか」
「ああ。一昨年の中西部の飢饉のこともある。自分の領地に食料の備蓄拠点が置かれる意味は大きいだろう」
「なるほど、なるほど……」
ミリスはうわごとのように相槌を打った後、深いため息をついた。
「……なくなったんですか……」




