55. アルマ宮編① 帰宅
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
夕方、バサルク王国からの船が、アルマンディン第三港湾に到着した。
今夜は使節団の一行も、それぞれ第三港湾の自宅や宿で過ごし、翌朝からアルマへ向けて移動を始める予定になっていた。
アルマ宮で、使節団の結果を報告するためだ。
ペルラとミリスも、久しぶりに二人の家へ帰ってきた。
留守の間も家に通い、あれこれ手入れをしてくれていたお手伝いさんのナズナは、普段は昼間だけのところを、今日は特別に夕方まで残っていた。
ペルラとミリスが支度して食卓に着くと、ナズナは台所から、湯気の立つシチューの皿を持って来た。
「おかえりなさい、ミリス様、ペルラ様!」
「ただいま帰りました」
ペルラが嬉しそうに言った。
「さあ、今日はナズナ特製シチューですよ」
「わあ!」
「おいしそうだね」
ミリスも笑った。
「とはいえ、明日の朝にはアルマへ発たれるのですから、お忙しいですね」
「そうだね。でも、アルマではちょっと報告して戻ってくるだけだから、すぐだよ」
「ようやく家で落ち着けますね」
ペルラが微笑んだ。
「そうだね。今度の週末までには帰って来られるんじゃないかな?」
ミリスはペルラを見た。
「どこか行きたいところはある?」
「どこがいいかしら?」
ペルラは楽しそうに首を傾げた。
ナズナが言った。
「お二人は、大きい市場には行ったことがありますか? 週末に港でやっているんですよ。いろいろな物があって、よその地方の方にはおもしろいかもしれません」
「果物もあるかしら?」
「もちろんですよ。ありとあらゆる物を売っています。迷子にならないようにしてくださいね」
「大賑わいだろうな。これは大変だ」
ミリスが笑った。
「じゃあ、今度の週末は市場に行こうか」
「はい。楽しみです」
ペルラは嬉しそうに頷いた。
久しぶりの家での夕食だった。




