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54. バサルク王国編(34) 星空
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
数日後、ペルラとミリスは、王宮の水路に突き出した桟橋に来ていた。
熱帯雨林の夜は暗かった。
遠くで、ときどき生き物の鳴き声がした。
王宮の灯りが水路の一部を照らしているが、その向こうには深い森の闇が広がっている。
降るような星空が、水面にも映り込んでいた。
「わあ……!」
ペルラは小走りで桟橋の先へ行った。
「星空の中に浮いてるみたいですね」
嬉しそうに、その場でくるりと回る。
「暗いから、落ちないように気をつけて」
ミリスが後ろから声をかけた。
「そうですね」
ペルラは恥ずかしそうに笑った。
「いよいよ明日、バサルクを発つのですね」
「そうだね。長かったなあ」
「私、王宮から早く帰りたいです」
ミリスは少し笑った。
「バサルク王宮ではダメ?」
ペルラは遠くを見た。
「ここはいいところですけど……ずっと住むのには向きません」
「そうだったね」
ミリスは静かに言った。
ペルラは少し黙っていたが、ミリスを振り返って微笑んだ。
「でも、ミリス様がずっとバサルク王宮にいるなら、ここでもいいかもしれません」
ミリスはふっと笑った。
「……それは困るな」
ペルラも笑った。
いつの間にか目が暗さに慣れ、さっきまでは見えなかった微かな星まで見えるようになっていた。




