50. バサルク王国編(30) 交渉
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
翌朝、ミリスはピレイと話し合った。
まず、使節団の一員が王太子暗殺を企てたことについて、団長として謝罪した。
そのうえで、救荒種と権利料について条件をすり合わせた。
バサルク側は救荒種の一部を引き渡し、今後、救荒種に関する権利料やそれに類する料金の支払いをやめる。
使節団は救荒種の全量提出を求めず、これ以上王宮や離宮を捜索しない。金の受取人についても、それ以上は追及しないことになった。
双方にとって完全に満足のいく条件ではなかったが、これ以上捜索と押し問答を続けるよりは現実的だった。
そうして、フェンネルの問題が残った。
ピレイが確認した。
「使節団に、フェンネル以外の暗殺者はいませんか?」
「いません。フェンネル以外に、オーニチェ様の暗殺を企てていた者はいません」
ミリスは頭を下げた。
「お願いします。フェンネルを返していただけませんか?」
ピレイは顔をしかめた。
「それは別の話です。救荒種や金の話とは関係ありません。王太子暗殺未遂です。その重さはお分かりでしょう?」
「はい……」
ミリスは頭を下げたまま続けた。
「どうか……結果として、農薬は一度も使われず、誰も体調を崩さなかった点を汲んでいただけませんでしょうか」
ピレイは冷たい目でミリスを見た。
「……私が決められることではありません。後ほど謁見で直接オーニチェ様にお願いします」
「はい、承知しました」
ミリスは頷いた。




