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30. バサルク王国編⑩ 報告
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
夜、王太子執務室に戻ってきたピレイが、静かに扉を閉めた。
「海の離宮から連絡がありました」
オーニチェが顔を上げる。
「どうだった?」
「すべて移し終えたとのことです」
「ギリギリ間に合ったか」
救荒種は、長い間、海の離宮で保管されていた。
アルマンディンがムーンストーン王国に占領されたとき、駐留軍は旧アルマンディンの王族が全滅したと発表した。
だが実際には、王族の中には国を脱出した者たちがいた。
彼らは救荒種を持ってバサルクへ逃れ、海の離宮を経て、巡航都市プリズマへ亡命した。
救荒種は、そのまま海の離宮に残された。
それから長い間、海の離宮の保管庫で管理されてきた。
だが今回、ムーンストーンから特別使節団がやって来ることになり、保管場所を変えた。
「枕とクッションだったな」
「はい。いくつかの客室に分けたそうです」
小さな袋に入れた救荒種を、中綿の中へ紛れ込ませた。
「海の離宮まで調べられなければいいが」
「今のところ、使節団は王宮を調べていて、離宮の話は出ていません」
「そうか」
オーニチェとピレイはため息をついた。




