25. バサルク王国編⑤ 謁見の間
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
使節団がバサルク王宮に到着した日は、よく晴れ、謁見の間には心地よい風が通っていた。
左右の外廊の向こうには、青い空と熱帯雨林が見渡す限り広がっていた。
正面の壇の前には、金と水晶を連ねた細い簾が幾重にも垂れていた。
使節団の正式な挨拶が済むと、オーニチェは壇上から階段を降りてきた。
風に揺れて煌めく金と水晶の簾の間を抜け、ペルラたちの前に姿を現した。
まっすぐペルラの前まで来ると、足を止めた。
「また私の王宮に来たのか?」
ペルラは顔を上げた。
オーニチェは泣きそうな笑顔を見せていた。
「……また来てしまいましたね」
ペルラはオーニチェを見つめて、微笑んだ。
「元気そうで安心した」
オーニチェは優しく言った。
「ありがとうございます。おかげさまで、すっかり元気になりました。前回は大変お世話になりました」
ペルラは改めて頭を下げた。
「いや、気にすることはない。私はただ……またペルラがここで体調を崩さないかだけが心配だ」
ペルラは少し笑った。
「今回は気をつけます」
オーニチェは頷き、それから謁見の間を見渡した。
金と水晶の簾の光が、ゆったりと波打っていた。
「謁見の間でも、こちら側は初めてだな?」
「はい」
ペルラは先ほどまでオーニチェがいた壇を見上げた。
「前はオーニチェ様の隣でしたね」
「そうだったな」
二人はしばらく、壇上を眺めていた。
オーニチェが再びペルラを見た。
「では、少しでも何かあれば、早く言いなさい」
「はい。お気遣いありがとうございます」
ペルラが微笑むと、オーニチェも満足そうに頷いた。
それから使節団へ軽く会釈をし、先に謁見の間を出ていった。




