21. バサルク王国編① フェンネル
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ムーンストーン王国アルマンディン領、アルマ宮。
総司令官護衛隊の朝の申し送りで、ヴィレンスが言った。
「フェンネルはこれより三日間、通常業務から外す」
「え?」
フェンネルは思わず声が出た。
「フェンネルは、バサルク王国へ派遣される特別使節団に護衛として加わる。出発までの三日間、私が特別研修を行う」
――よかった。よくわからないが、自分が問題を起こしたわけではないようだ。
「はっ」
フェンネルは敬礼した。
◇
申し送りが終わると、タロウとジロウが話しかけてきた。
「フェンネル、お前、すごいな!」
「特別使節団の護衛だって?」
フェンネルは謙遜してみせたが、内心興奮していた。
初めての外国である。
しかも、特別使節団。
胸が高鳴った。
「しかも、ヴィレンス様の特別研修って、何だ?」
「うらやましい奴だな!」
タロウは声を潜めた。
「俺たちなんて、一日中お絵かきの見学だぜ」
ジュニパーはアトリエで絵を描いている時間が長かった。
「しっかり土産買ってこいよ!」
ジロウが言った。
「わかったよ」
フェンネルは笑った。
◇
特別研修が始まった。
広い鍛錬室には鍵がかけられ、ヴィレンスとフェンネルの二人きりだ。
ヴィレンスが言った。
「使節団の人員の護衛だけが任務ではない」
「はっ」
「自分も使節として行動せよ」
「はっ」
ヴィレンスは澄んだ瞳でフェンネルを見据えた。
「王の意思を実行せよ」




