2. 第三港湾編② ソファ
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
「ペルラ様は座っててください」
ナズナはペルラをソファに座らせた。
「そう? 何か悪いわ」
ペルラは貴族だが、ベトーラ伯爵家にはほとんど使用人がいなかったため、ナズナだけに何かさせるのが少し落ち着かなかった。
一方、婚約者のミリスはヘーゼル侯爵家で何人も使用人がいるのが普通だったため、第三港湾でもお手伝いさんを当然のように頼んだようだ。
アルマンディンは治安が悪いというので、ペルラはミリスの家の二階部分に住むことにしたのだが、ナズナがまとめて世話してくれる話になっていた。
「ミリス様が、ペルラ様はムーンストーンにいた頃より、まだ痩せていると心配なさっていましたよ」
ナズナはペルラにお茶を入れた後、手際よく荷解きを始めた。
「あら……そうね、まだ完全には戻ってないのよ」
「だから、ゆっくりしていてください!
荷解きや掃除で、動き回ってはダメです。
ミリス様に見張るように頼まれているんですよ!」
ナズナはウインクした。
ペルラは笑った。
「じゃあ、のんびりさせてもらおうかしら?」
ペルラはバサルク王国のことを思い出した。
バサルク王国は、ムーンストーンからアルマンディンに向かう途中、赤道付近にある小さな島国だ。
ペルラはつい最近までバサルク王国にいた。
バサルクの王太子オーニチェと婚約していたのだ。
しかし、バサルク王宮の気候が体に合わず、寝込んでしまい、婚約を解消することになった。
その後、周囲の話し合いもあって、今度はミリスと婚約することになった。
オーニチェとの婚約を解消してからは、アルマンディン行きの船を待つあいだ、バサルクの海の離宮で療養していた。
どうにか船旅ができる程度には元気になったものの、まだ本調子ではない。
ペルラは目を閉じた。
――ミリス様のおっしゃる通り、無理は禁物よね。
また寝込んで、ミリス様に心配をかけたくない。
それに、ミリス様との婚約まで、体調不良で台無しにするわけにはいかない。
そう思っているうちに、ペルラはいつの間にかウトウトと眠っていた。




