1. 第三港湾編① 第三港湾
ペルラが窓を開けると、朝のさわやかな風が吹き込んだ。
淡いミントグリーンの長い髪が揺れた。
ペルラ・ベトーラは、ムーンストーン王国のベトーラ伯爵家の令嬢だ。
昨日、婚約者のミリス・ヘーゼルと、このアルマンディン領の第三港湾に船で着いたところである。
ミリスがアルマンディン駐留軍に異動したため、はるばるアルマンディンについてきたのだが、昨夜は着任歓迎の晩餐会、今日から早速仕事が始まり、ミリスは大忙しだ。
ミリスはもともと王都守備隊にいたが、王都の外でも経験を積みたいと、自らアルマンディン駐留軍への異動を希望したのだった。
外は快晴だった。
南国の強い日差しが降り注いでいた。
目の前にはコバルトブルーの海が広がっていた。
通りにはヤシの木が並び、まるで南国リゾートのようであったが、所々に見張り台があり、アルマンディン駐留軍の兵士が立っていた。
◇
ここアルマンディン領は、かつてはアルマンディン大陸王国という大きな国であったが、ムーンストーン王国に戦争で敗れ、現在ではムーンストーン王国の領土に編入されている。
アルマンディン領は、以前の国名通り、大陸全土が領地となっており、ムーンストーン本国の何十倍もの広大な面積を誇っていた。
ムーンストーン王国からアルマンディン領までは、船で赤道を超えて南下し、1ヶ月前後かかる。最初に見えてくる大きな港が、ここ第三港湾である。
アルマンディン領の遠さと広さのために、ムーンストーン王国は統治に苦労しており、アルマンディン駐留軍を設置し、軍政を敷いていた。
◇
玄関のベルが鳴った。
ペルラがドアを開けると、通いのお手伝いさんのナズナが立っていた。
「おはようございます、ペルラ様」
ナズナはにっこり笑った。
「おはよう、ナズナ。今日もよろしくね」
ペルラはナズナを中に迎え入れた。




