17. 祝賀会編② ジュニパー
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ジュニパーは、近づいてきた二人を見ると微笑んだ。
「ペルラ。会いたかったよ」
「ジュニパー殿下、このたびは総司令官ご就任、おめでとうございます」
ペルラが改めて頭を下げる。
「ありがとう。学校時代の友達にここで会えるなんて懐かしいね」
「そうですね」
ペルラは笑った。
隣でミリスも微笑んだ。
――学校時代の友達。
先ほど聞いたばかりのディアバスの忠告が、頭の中をよぎった。
ジュニパーは、ふとペルラの右手に目を留めた。
「気に入った?」
「え?」
「指輪」
ペルラも自分の手を見る。
アルマ宮の内門を通る際に配られた、来賓に貸与される指輪である。
「はい。すてきです」
「そう? よかった」
ジュニパーは嬉しそうに笑った。
「ペルラが身につける指輪だから、一生懸命考えたよ」
「ジュニパー様が考えたのですか?
さすが、きれいなデザインですね」
――他の大勢もつけているけど。
ミリスは黙っていた。
「ほら、僕もお揃いで作ったんだ」
ジュニパーが片手を見せた。
そこには銀色の指輪があった。
「僕のはただの銀の指輪で、銀線じゃないけど」
「い、一緒ですね……」
ペルラは少し言葉に詰まりながら答えた。
「銀に濃い紫色って合うよね」
「はい」
ペルラは濃い紫色の瞳を伏せた。
――ん?
ミリスはペルラの指輪を見る。
――これ、どこかで聞いたぞ。
内門をくぐる前、ローズがまったく同じことを言っていた気がする。
「あ、ペルラ。食べてる?」
「は、はい」
「飲み物は? ちゃんと飲んでる?」
「はい。いただいています」
「音楽のリクエストはある?」
「いえ、特には……」
「そう?」
ジュニパーは少し考えた。
その間に、ペルラがわずかにフラフラした。
ジュニパーがペルラの顔を覗き込んだ。
「ペルラ、どうしたの?」
「え?」
「さっきから少し体を動かしてるから」
「あ、すみません……」
ペルラは困ったように笑った。
「少し体が固くなってしまって。馬車に長く乗っていたので」
「ペルラ、謝らないでいいんだよ。どれだけ乗ってたの?」
「二日かけて来ました」
ジュニパーの表情が曇った。
「二日も?」
「でも楽しかったです」
ペルラは笑った。
「僕の祝賀会のために、大変だったね。
それは、ずっと立ってたらつらいよね」
ジュニパーは悲しそうに言った。
近くにいた係の者へ声をかける。
「椅子、すぐ持ってきて」
ほどなくして、一脚の椅子が運ばれてきた。
「ペルラ、座って」
「ありがとうございます」
ペルラは素直に腰を下ろした。
「僕が第三港湾に行けばよかったよ」
ジュニパーが隣に座りながら言うと、ペルラは笑った。
ミリスは横で立っていた。
ジュニパーはペルラを見つめた。
「ペルラ。今夜はアルマ宮でゆっくり休んで」
「え?」
「気づかなくて、ごめんね。そんなつらい思いをしていたなんて」
「でも、そんな、アルマ宮に私なんかが……」
ジュニパーはペルラに優しく微笑んだ。
「大丈夫。部屋はたくさんあるから」
ジュニパーはミリスに視線を移した。
「ミリス、お前も隣の部屋にいろ」
「……はい」
「今日明日は僕も忙しいから、ペルラをきちんとおもてなしできない。お前がしっかりやれよ」
「はい……」
何かがおかしいと思いつつ、ミリスは頷いた。
※ep.1 【1. 第三港湾編① 第三港湾】に少し追記しました。(更新日:2026年09月28日 22時22分)




