↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/101

15. アルマンディン編⑦ 道中・後編

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

二日目の朝。


昨日と同じ大きな馬車の中で、ペルラは目を閉じてクッションに深くもたれていた。


ずっと強く揺られているため、背中も腰もお尻も痛いし、何だか頭も少し痛かった。


その横で、ローズも口数少なくクッションにもたれていた。


「ペルラ様とローズには、二日間での移動は厳しいな」


グレンが言った。


「そうですね」


ミリスも心配そうに頷いた。


「俺も尻が痛いっす」


リナールがお尻をさすった。


グレンは目を閉じて腕を組んだ。


「尻が痛い? 馬車を降りて歩いてもいいぞ、リナール」


「いえっ、全然痛くないっす。尻も元気100%であります!」


リナールは姿勢を正した。


◇


しばらくすると、別の一行が合流してきた。


何台もの馬車や荷車が、次々と列に加わっていく。


「また増えましたね」


ミリスが窓の外を見た。


「別の拠点から来た連中だろうな」


グレンが答えた。


ローズも外を眺める。


「新年の祝賀会でもたくさん集まりますけれど、今回はそれ以上ですわね」


「新年の祝賀会はアルマンディンの貴族が中心で、駐留軍から出るのは方面司令官や統監みたいな上の連中だけだ。


今回は総司令官の就任祝いだから、各地の軍幹部まで大勢呼ばれている」


リナールが伸びをした。


「俺は第三港湾でお留守番でもよかったっす」


「あきらめろ」


グレンが足を組み替えた。


◇


昼前、一行は街道沿いの広い場所で休憩を取った。


兵たちが隊列の旗を取り替え始めていた。


パセリ家の旗が、次々に下ろされていく。


代わりに掲げられたのは、アルマンディン駐留軍の旗だった。


「旗、変えるんですね」


ミリスは兵たちの様子を眺めた。


「パセリ家の私兵団も、駐留軍の旗を持つんですか?」


「ああ。もうアルマが近いからな」


グレンが答えた。


「地方ではパセリ家の旗、アルマでは駐留軍の旗っす」


リナールが頷いた。


「パセリ家の旗ばかり出していたら、パセリ家の私兵団が目立つ。


駐留軍総司令官の就任祝賀会に、各家の私兵団が集結しているように見えたら、絵面が悪い。


だから、駐留軍の一行っぽく見せているんだろう」


グレンはそう言って、お茶をすすった。


「でも、近くで見たら制服も装備も違うし、すぐ分かりますよね?」


「そこは気にするな」


グレンはミリスの肩をポンと叩いた。


「……どうなっているんだ、アルマンディン駐留軍は」


ミリスは呟いた。


それを聞いたリナールは、両手を広げて、満面の笑みで明るく答えた。


「こうなってま〜す!」


◇


馬車が再び走り出した。


ミリスは窓の外を進む私兵たちを眺めた。


「そういえば、グレン様はどうして駐留軍にいるんですか?」


「ん?」


「パセリ家の私兵団の方が強そうですが……」


「強そうって、お前なぁ。単純に比較できるものでもないだろう」


グレンは苦笑した。


「色々事情があるんだよ。ちなみに私の兄は、パセリ家の私兵団にいるけどな」


「やっぱりいるんだ〜」


リナールが楽しそうに言う。


「ご兄弟で別なんですね」


ミリスが言うと、グレンは頷いた。


「ああ。今時、どちらかだけじゃやっていけない」


兄は地元の有力家の私兵団に属し、弟はムーンストーンの駐留軍にいる。


グレンの家のように、両方とのつながりを保つアルマンディン貴族は珍しくなかった。


◇


夕方が近づくころには、隊列はさらに長くなっていた。


乾いた大地の向こうには、昨日より多くの緑が見える。


そして、そのさらに先。


地平線の上に、灰褐色の線が伸びていた。


ペルラは窓の外を見た。


「あれは?」


グレンもそちらを見る。


「あれがアルマだ」


遠くに、石造りの城壁が見えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。