11. アルマンディン編③ デートの計画
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ミリスの誕生日が近づいていた。
出かける場所を考えてくれるのは、たいていミリスだった。
だから今度は、自分がミリスの喜ぶことを考えたい。
ペルラは居間のテーブルで、向かいに座るナズナに相談していた。
「ミリス様は、どこに行ったら喜んでくださるかしら?」
「うーん」
ナズナは少し考えた。
――ペルラ様となら、どこでも喜ぶでしょうねえ。
しかし、それでは相談の答えにならない。
ペルラがぱっと顔を上げた。
「そうだ! 格闘技を見に行くのはどうかしら? ルビーは好きなのよ」
ルビーはミリスの妹で、ペルラの友人である。
「え……?」
ナズナは思わず聞き返した。
「ペルラ様は見に行ったことあるんですか?」
「怖いから、ないわ」
「じゃあ無理しなくても……。お二人が楽しめるものにしては」
「それじゃ、いつも通り家でお茶飲むだけになっちゃうわ。
何か特別なことがいいのよ!」
ペルラは熱く訴えた。
「特別なこと……」
ナズナも真剣に考える。
「あとルビーが好きなのはトライアスロンなのよ。私にはできないわ」
「……ミリス様は妹さんと結構違うタイプかもしれませんね?」
ナズナは助け舟を出した。
「そうかもしれないわ。
王都ではミリス様と一緒に本屋に行ったことがあるわ」
「本屋……」
残念ながら、第三港湾に本屋はなかった。
ペルラはしばらく考え込んだ。
「そうだ! 甘い物がお好きだから、何か作ろうかしら?」
ナズナの表情が曇った。
「えーと、今は焦げてもいい鍋はないんですよね……。こないだ処分しちゃって」
「カラメルを作るわけじゃないから大丈夫よ!」
「作るつもりじゃないかもしれないですけど、でも毎回結構……」
ペルラは少し肩を落とした。
「そう……。じゃあ、無難に観劇に誘ってみようかしら?」
ナズナの顔が一気に明るくなる。
「いいですね! すばらしいです! 最高のアイデアです! 絶対ミリス様も喜びますよ!」
「そう?」
ペルラも嬉しそうに笑った。
「どっちがいいかしら? どちらもおもしろそうで迷うわ」
ペルラはチラシをナズナに渡した。
朝、郵便受けに入っていたものだ。
『第三港湾事件簿 司令部は今日も大忙し』
『百万回婚約破棄した男』
「……」
ナズナはさりげなくチラシを折りたたんで、引き出しに入れた。
「ペルラ様。私、午後、街でチラシを集めてまいりますからね。他のチラシも見てから決めましょう」
ナズナはにっこり笑った。




