↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引き寄せ体質のお転婆婚約者と僕のミュージカル鑑賞  作者: 秋桜星華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/5

03 ミュージカル・幕間

「レオン、馬鹿だなーって思ったけどさ。実際に私たちがそんな立場だったらって思うと考えさせられるよね」


 アンゼローナはようやくポップコーンを口に運んだ。劇場の中なので、普段よりお淑やかな食べ方である。

 ……レアなアンゼローナだな。


「そうかな? 実際、僕たちだって愛がなかったとしても婚約を結んでるだろ。立場上仕方のない婚約だって貴族じゃ珍しくない。それにレオンは、自分の生死に関わることで、だろ。それで真実の愛を選ぶのはちょっとなぁ……。って思ったよ」


「確かにね。私たちには愛……はあるけどさ」


 アンゼローナは僕の目をまっすぐに覗き込んで、それから夜空のような青の瞳を細めて甘く笑った。


 あぁ、やばい。アンゼローナのことが限りなく愛おしい。この瞬間が永遠に続いたらいいのに──




「きゃあっ」


 遠くで小さな爆発音がした。それに伴って女性の悲鳴が上がる。僕はアンゼローナを庇うような体勢で辺りを窺った。


 爆発だろうか。僕らの席の斜め後ろ、上手かみて側の座席で、周辺の人が立ち上がって何やら混乱しているようだった。


「よく見えないね」


 すっかりいつもの調子に戻ったアンゼローナが、座席に立ち膝をして後ろの方を観察している。


「うん、やっぱり劇場が相当広いな」


 騒動は相当後ろの席で起こっているから、僕らの位置から全てを把握することはできない。でも、劇場スタッフが駆けつけてなにやら対応をしていることはわかった。


 爆発が起きたであろう近辺の人がスタッフによって誘導されていく。三十人くらいだろうか、全員が退避し終わると同時に、それなりに大きな魔法石の行使が感じられた。


「結界を張ったみたい。大丈夫そうだ」


「よかったー。このままミュージカルは続くのかな」


「たぶんね。そのために部分的な結界なんだと思う。魔力の感じ的に、相当強固な魔法石結界を張ってるから、こちらに害が及ぶことはないかな」


 魔力の感じというのは、長く魔法石や魔法に触れていないとわからない感覚だ。感じ取れないアンゼローナを安心させようと説明したのだが、彼女の表情はこわばったままだ。


「でもさー……。それって、爆発物を包み込んだだけじゃない? 危険なのは人だよ。誰か何のためにそんなことをしたのかわからないと危険なままじゃん」


 アンゼローナが至極真っ当な指摘をする。


「うん、そうだね。でも公演は続けるってことは、劇場側では既に犯人とか目的にある程度予想がついているんじゃないかな」


 スタッフもそれなりに落ち着いているし、ひとまずの危険は過ぎ去ったと考えていいと思う。


 アンゼローナもとりあえずは安心したようで、今度はフライドポテトをつまみ始めた。

 ……ポテト系食べ過ぎじゃないか? さっきはうずまきポテト、今はフライドポテト……。


 アンゼローナの運動量でならば全てを消化しきれるということはわかっているが、不健康さが心配になる。



 自分の分のポップコーンをちまちまとつまんでいると、もうすぐで休憩時間が終わるため、ホール内にもどるよう放送が入った。




「でも、いいミュージカルだね。オーケストラも、歌も、演技も」


 爆発が起こったことを忘れたわけではないが、一旦解決? した今、特別掘り起こすことでもないだろう。後半の部に入る前にアンゼローナと感想を共有しておきたかった。


「そうだね! 特にオーケストラがしっかり聞こえていい感じ。歌もめちゃうまいし、本人がそこにいるみたいな臨場感」


「音いい感じだよね。拡声の魔法石の質がいいのかな」


「魔法石もそうかもだけど、やっぱりホールの構造とか、建築とかも関係あるんじゃないかな。いい感じに反響するようになってるんじゃない?」


 そう、ここまでの質のいい音響を創るためには、魔法石の質だけではすべてをまかないきれないだろう。そういう方面での工夫もあるに違いない。アンゼローナに共感して僕は深く頷いた。



 アンゼローナと話していると、開演を知らせるブザーが鳴った。


 前半の部が始まるときと同じようにホール全体が闇に包まれ、明るい世界が緞帳(どんちょう)の後ろから姿を現す。


 僕らの胸は盛り上がった物語の後半の部に対する期待でいっぱいだった。



 そのときにはもう、休憩時間中に起こった騒動なんて、頭の片隅にも残っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まるでテロの様な爆発が起こったのに封じ込めて公演続行か…………(-ω-;) 主催者側としては延期だなんだとはやっていられないし、そのまま続ける事を望む来客(貴族?)からの要望を無視出来なかった、何ての…
休憩中に爆発発生!!大丈夫なのかな〜?ミュージカル中に事件が起きなければいいんだけど…… 音響とか、色んなところに魔宝石が使われているんですね〜♪ さてさて、物語の続き続き〜♪
テロ?があっても続行? 大丈夫か主催者様! だけど続きが楽しみすぎる。主にミュージカルの中身が。 喪男読者としては残念純愛王子の運命にてんこもりのひどさを期待。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。