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36話 帰宅後の朝

(おはよう)


外はまだ薄暗い。

昨日はだいぶ早く、布団に入ってしまったから、

どうしても、目覚めが早くなってしまったのだ。


(おはようございます。主様)


まだ、少しばかりぼうっとする頭で、

ケット・シーを見る。

ケット・シーはまだ眠そうで、丸まっている体勢のまま、顔だけ上げてこちらを見ていた。

まだ眠そうに、寝転んでだらけきった状態で、

こちらを見ていた。


今までは、自分の部屋で起床していたから、

朝の挨拶は、直接していたのだけれど、

兄の部屋で寝起きしているから、最近はずっと、

念話での挨拶になっている。


なんだか体がとても軽い。

どうやら俺は熟睡できたらしく、目覚めはかなり良く、身体がしゃきっと目覚めてくれた。

疲れは、完全に取れているように感じる。


だが、まだまだ起きるには早く、

外を見たところ、うっすらと日が登っているのか、

すこしのぼった太陽が、朝の村をかすかに照らしていた。


試しに、二度寝できるかと目を閉じてみたが、

とてもじゃないが、全く寝れる気配を感じない。

しようがないと思いながら、

いつもよりかなり早いけれど、起きることにしよう。


ちらっと、寝ている兄を見てみたが、まだまだ起きるようには見えない。熟睡しているようだ、

昨日はとても疲れただろう、ゆっくり寝かしてあげないとね。


しかし、こんな時間に起きてしまったので、

たいしてやることもない。

朝食を作るのもだいぶ早いし、音で皆を起こしてしまうだろうし、食事もさめてしまうだろう。


どうしたものかと、少し思案をしたが、

大した事も思いつかず、暇を潰せるような趣味が無い自分に少しがっかりした。

そんな感じで、自分を卑下しても気分が暗くなるだけだ。


庭で軽く運動しよう。

日課となっている、魔力の操作訓練でもしていれば良いだろう。

それとも、剣術の訓練でもしてみるか。


そう思って、なるべく音を立てないよう、

布団から這い出て、兄の部屋から抜け出そうとドアに手を掛けた。


(主様は眠くないのですか?)


不思議なことに全く眠くない。

そう言うケット・シーは未だ眠そうで、うとうとしているように見える。


(俺は全く眠くないんだ。ケット・シーは寝ててもいいよ)


そんな俺の言葉に、心が揺らいでいるようだったが、

のっそりと体を起こし、背伸びをした。

ぱっと見、全く猫には見えないが、要所々々で、

あぁ、やっぱり猫なんだと感じる。


(いいえ。主様が外に出るのであれば、ご一緒しますよ)


そんな事を言って、ふよふよと飛んできて、

いつものように俺の頭に乗っかってきた。


重さは感じないんだが、なんだか違和感を感じるため、もやもやとするが、ケット・シーを粗雑にも扱いたくないから、我慢することにしているのだ。


俺は頭の違和感を感じながらも、外に出ようと、玄関に手をかけた所で、剣を持ってくることを忘ていることに気がついた。

自分の剣は、いつも、自分の部屋に置いていることを思い出して、少しばかりため息を吐く。

俺が「困ったなぁ」小さな声で呟いたため、

頭の上にいるケット・シーが、少し身を乗り出した。

俺の視界に、ケット・シーの顔がずいっと現れた。


(何に困っているのでしょうか。私に出来ることであれば、何でもしますよ)


俺の部屋は、今、アイリスが使用している。

きっと、まだ寝ているだろう。

誰かが入ったら起きるかもしれないだろうし、

ケット・シー持ってくるとしたら、剣が宙に浮く。

それを見たアイリスは、どの程度ショックを受けるだろうか。それだけは避けたい。


(訓練するため、俺の部屋に剣を取りに行こうと思ってね。

ケット・シーが行くのは、問題が起こりそうだから止めておこう)


ケット・シーは納得したようで、体勢をさっきまでの状態に戻した。


しかしだ、俺が取り行くのもどうだろうか。

女子がいる部屋に、無断で、しかも寝ているときに入るのは、どう考えても俺の正義に反する。

下手したら、変態と思われ、アイリスに嫌われてしまうのと考えると、気が引ける。


いや、でも、もしかしたらだけど、アイリスは風呂に堂々と入って来るような子だ。

細かいことを気にするような子では無いかもれない。


いや、俺は剣を取りに自分の部屋に入るだけだ。

正当な理由がある。

けっして、とても顔の整っている美人さんの、

アイリスの寝顔を見てみたいとか、

そんなこと、毛の先ほど考えていない。

俺程度の考えの程度を表すのならば、

流星群が降り注ぎ、地球が滅亡する可能性が大の、極限の状況にて、スペースシャトルに乗り込み宇宙に飛び出て、核爆弾にて惑星を破壊し、流星の軌道を逸らし、みごと地球を守った、あの人のおでこくらいに無毛だ。ハゲだ。

あ、ハゲって考えてしまった。良くないかもしれない。怒られるかもしれない。何かに。


そう、俺はそれほど無害である。そう、聖人君子だ。

俺は聖者である。全ての煩悩を排しているのだ。


そんな事を考え、自分に気合をいれるように、

胸元で小さくガッツポーズをし、踵を返してアイリスの部屋に向かおうとする。

元々は俺の部屋だ、正当性もある。間違った行いなどしていない。

あとは行動するのみである。


(主様。まさか、女の子が寝ている部屋に、無断で入るとか、そんな真似しませんよね? そんな真似をするんだったら、私が行きます)


ケット・シーの言葉で、俺は、右足を一歩だけ進めた体勢で動きを止める。


(そんな訳なかろう、俺は俺の剣を自分の部屋に取りに行くだけだ。まったく問題ないではないか)


そう、俺は俺の部屋に戻るだけなのである。


(そうですか。そうなんですね。残念です。

主様は寝ている女の子の部屋に入るような、変態クソ野郎だったんですね)


え? 変態? しかもクソがついている野郎って、ひどくないだろうか?

ケット・シーってこんな事言う子だったであろうか。


(ちょっと! その言い草は流石にひどいと思う!)


ケット・シーはオレの頭からどいて、俺の前でふよふよと浮きながら、じとっとした目でこちらを睨んでいる。

しかも、なんだか、ちょっとだけだが、俺の肌でピリピリと感じるものがある。

いや、ちょっと所ではない、痛い。


(なんだか、俺の肌が痛みを感じているようだけど。

え、何これ)


俺は肌に感じる違和感に戸惑いながらも、まだ睨んでいるケット・シーを見る。

獣に睨まれるのって、凄みがある。

怖いから止めてほしい。


(それはそうですよ。わたしが鋭く尖らせたたように魔力を固めて、主様にぶつけていますからね)


嘘だろ。やめてよ。怖い。


(さて、主様は考えを改めてくれたのでしょうか?)

(はい)


そう言うと、肌に感じる痛みは消え、同時に、ケット・シーは怒りの感情が消えらようで、いつもの表情で、ふたたび、俺のあたまにふよふよと乗ってきた。


ケット・シーは怒ると、実力行使にて訴えてくるようだ。

以後、気をつけよう。マジで怖い。



外はまだ薄暗い。

遠目に、山の間から太陽が少し顔を出しているのが見える。

朝の村は冷えており、少し霧がかっている。

顔と肌が露出している部分に、ぴとぴとと、張り付いく感覚をが心地よい。

明け方の空気は澄んでいて、とても美味しい。

早起きして良かった。


そんな事を考えながらも、剣を振るう準備をする。


この剣は兄さんのだ。

まだ寝ている兄さんから、こっそりと借りてきたのだ。

一応、形だけではあるが、小さな声で借りることを伝えている。

まだ寝ているのはわかっていたが、返事をするように、何かを言ってい。

はっきりとは聞き取れなかった。

まぁ、きっと寝言であろう。


「父さんにもらった剣。結構、重いんだよな」


ワイルドコックの討伐でも感じたのだが、

この体で、身長の半分近くあるサイズの剣を振るうのは、かなり難儀である。

筋力もまともに無いし、これは、今の歳ではどうしようも無い。

兄さんは、戦闘の際、基本的に、ずっと両手で持っているので、それなりに扱えているようだ。

両手といえども、兄さんがそれなりに形になっている事にに感心していたりする。


俺はと言うと、みんなのサポートに回ることがほとんどになるから、機転を効かせて立ち回らないといけない。

だから、どうしても機動力を求めてしまう。

魔法を使えることも相まって、気がつけば、背中にある鞘戻してしまっている。

要はお飾りなのだ。ただの、アクセサリーなのだ。


しかしだ、自分に合った武器をを見つけないと行けないだろう。

この世界のことだ。絶対に困る。命の危険すらあるのだ。

こんな事なら、ギルド長にいろいろ聞いておけばよかったと、ため息混じりで考えていた。


「どうしたんですか、主様。ため息なんかついてしまって」


ケット・シーが、心配そうな顔でこちらを見ていた。


「うん、ちょっとね。考えておいた方が良いことが多そうで、この先不安になってね」

「そうですか…深く考えすぎるのは、きっと体に悪いと思うので、あまり無理はしないで欲しいのものです」


さらに心配されてしまったようだ。

ケット・シーの言うことも一理あるのだが、

あんまり楽観視していると、足元をすくわれると思うんだ。


そう考えながら、剣を持って素振りをしてみる。

やはり、剣の重さが足かせとなってしまい、どうしても上手く振るうことが出来ないのだ。

両手で持てば大分楽ではあるが、それでも、体が振り回されてしまう。

回数をこなして、少しでも体になじませなくては。

無い物ねだりをしていてもしようがない。

今、出来る限りの努力はしておこう。


そう考えながら、何度か剣を振り回して、剣から伝わる感覚を体になじませるよう、少しでも自然に扱えるように、無心で剣を振るう。


「そうだ、主様」


剣に振り回されているところに、ケット・シーが近くに寄って来た。

何だろうと思い、ふよふよと浮いているケット・シーを見る。


「これ、渡しておきます」


俺は、ケット・シーに突き出された、片腕? 片前足? を不思議に思いながら眺めていた。

その直後だった。ケット・シーの腕から、光のような物体が現れ、俺はぎょっとしてしまう。


しかし、以前どこかで見たような既視感があるその光景を、不思議に感じた。

いつだろうか、この人魂のような物体を見たことがある。


「何これ」


疑問に思い、俺は、その人魂のような物体と、ケット・シーを交互に見ていた。

絶対に、どこかで見たことがある。記憶が、喉元まで来るような、不快な感覚になる。


「この魔力、この間倒した、黒いワイルドコック、エルダーコックの魂の魔力です」


俺は、ケット・シーからそう告げられた。

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