34話 帰宅
ブックマーク有難うございます。
思っていたより伸びないので、今後書き続けるべきかかなり不安ではありますが、気力が続く限り頑張って投稿できればと思っています。
引き続き、楽しんでいただけると嬉しいです。
その後、兄さん達と後片付けを行い、帰路に着いた。
アイリスは、少し歩いては、少し休む、
といった調子で、表情は暗く、辛そうだった。
そんな道中、兄とティアは、嫌な顔をする事もなく、
アイリスを気遣うように、いつもより、
かなり遅めに歩いてくれている。
急ぐ旅でもないしね、ゆっくりと歩を進めよう。
風景でも楽しみながら、帰ろうではないか。
幸い、今日は天気も良く、風も穏やかで、
体感温度的には丁度よく、森の中の空気は、
澄んでいて、とても美味しい。
まさにピクニック日和だ。
といっても、アイリスが辛そうで、
楽しむ余裕なんてないだろう。
いつもより多めに立ち止まり、休憩を行い、
その際、少しばかり雑談をしながらといった具合だ。
ティアが楽しげに話しかけている。
街に行った時に何をした、とか。
俺が作る料理が美味しいから、
帰ったら何を作ってくれるんだろう、とか。
見た所、アイリスとしては、嫌そうな感じは無く、
どこか楽しげに、静か相槌を打ちながら、
ティアの話を聞いているようだ。
ティアは、歳が近いであろう同性と出会えて、
嬉しいのだろうな。
孤児院に居た時は、どうだったかと言うと、
アニーは自分の興味がある事以外は、
ほとんど関心を示さない性格の上、
お喋りはあんまり好きでは無さそうだった。
イオは、割と常に、人を寄せ付けない雰囲気を出す。
なので、話しかけるのにも、少し勇気がいる。
機嫌が悪そうな時は、だいたい「あ、そう」
で済まされるしね。
だけど、仲が悪いといった感じではなく、
程よい距離を保って、程よく仲が良い、
といった所なんだろう。
今後も仲良くして欲しいものだ。
しかし、流れで家に案内する事になったけど、
家に案内するという事は、家に泊まってもらう、
という事だ。当たり前なんだけど……
アイリスは見た所、一人で行動しているんだと思う。
普通、こんな所を一人で歩かないだろう。
おそらく、近場の人間では無いと思う。
村に、こんな子いた記憶も無い。
容姿的に、一度見たら忘れないだろうし。
「アイリスさんって、一人で旅をしているんですか?」
「……そうね。色々あって、一人よ」
「て事は、住んでいた場所は遠かったり?」
「うん、物凄く遠いわね」
「Oh……」
困ったな……どうしようか。
この子を一人、置いていく訳にもいかない。
暫くの間、俺達の家に宿泊してもらうのが良いかな。
悪い人ではないと願いたい。
「ひとまず、僕たちの家に寝泊まりしてもらう、
という事で良いよね、兄さん」
「良いと思うぞ」
アイリスは、申し訳なさそうにしていたが、
断らない所を見ると、多分だが、泊まる所に困っていて、
この提案は有り難いんだろうと思う。
「ということで、僕たちの家に泊まって下さい」
「……ありがとう。助かるわ」
だとしたら、寝る場所、着替えとか、
色々、必要なものが出てくるだろう。
ま、何とかなるっしょ。
と、自分に言い聞かせる事で、現実逃避しつつも、
とぼとぼと、家路をたどる。
そんな、今後の事を考えながら歩いていたら、
街が見える場所まで来ていた。
陽は傾いており、辺りはほんのりと、
オレンジ色に染まっている。
ここから見える村の風景は、とても美しい。
こんな絵を、過去に見たことがあるな。
誰の作品だったっけ。
ティアが「あそこがわたし達の村だよ」
と案内していた時に、「やっぱり、ここだったのね」
と、アイリスが呟いていた。
さきほど、魔力が溜まっていた場所があったとか、
そんな感じの事を、言っていたが、
その、魔力が溜まっていた場所と言うのが、
きっと、この村の事なんだろう。
その話を信じるとするのであれば、
俺が街へお使いに行った頃だろうか、
その辺りから、村あたりの魔力が薄まったんだと思う。
なぜだろう、後でケット・シーにでも聞いてみるか。
村の着き、俺達は、ひとまず家に帰ることにした。
アイリスの顔色は、見ていられないほどだし、
肉屋のおっちゃんへの報告は後でいいだろう。
なんだかんだ俺達も長いこと歩いて、とても疲れた。
身体活性で、疲労感は取れるものの、
気力は失われてしまう気がする。
道中、飽きない内は楽しく歩いていられるのだが、
長いこと同じ事を繰り返していると飽きが来るのか、
いつもより疲れが溜まりやすい気がする。
人間、ずっと元気で居る事は、難しいのだろうか。
何事もほどほどなんだろう。
懐かしく感じる、村の匂いに、癒やされながらも、
自分たちの家に着いた。
とたんに、疲れがどっと押し寄せる。
気が抜けたんだろうか、とても眠い。
このままベットに倒れ込みたい気持で一杯だ。
と、考えている場合ではない。
やる事はそれなりにあるんだ。
「どうしようか、アイリスが寝る場所」
「そうだなぁ。母さんの部屋でも良いんだけどな。
触ったら怒られそうな物が置いてあるだろうしなぁ」
確かにそうだ。
両親の部屋は、あまり詮索して欲しくないし、
アイリスも、そんな事したくないだろう。
「僕の部屋でいっか。
僕が寝る時は、リビングでもいいし」
「え、悪いわよ。世話になるのに……」
「気にしなくて良いですよ。
女の子って、一人の部屋が必要だと思うので」
「そう、ね……ありがとう」
「セリニスは、俺の部屋で寝れば良いだろ」
「あ、確かに」
アイリスは、申し訳無さそうな表情をしていたが、
一人の部屋は必要だろう。
他人の家に寝泊まりするなら、なおさらだ。
女の子だしね。逆に俺達が気を使ってしまう。
「うぅん、私の家でも良いと思うんだけど」
「ティアのお母さんに悪いよ。
どうしても困ったらって事で」
「そうかなぁ」
ティアは、少しばかり不服そうだ。
どうしたんだろうか。
「もっとお話したかったんだけどなぁ」
あぁ、なるほど。
女の子のお友達が出来そうで、嬉しかったのだろう。
女子のお泊り会的な?
「いつも通り、ティアも家来れば良いと思うけどな。別に、寝泊まりしても良いだろうし」
「そうだね! そうする!」
それを聞いて、アイリスは、少し苦笑いをしていた。
ティアは嬉しそうだが、ほどほどにかな。
迷惑そうだったら、それとなくストップかけよう。
さて、兄さんとティアに手伝って貰って、
俺の部屋を掃除をしようではないか。
2週間と言えど、しばらく家を空けていたので、
どうしても埃っぽさを感じる。
そんな所に女子を寝泊まりさせる訳にはいかんのだ。
といっても、ベッド、タンス、机、椅子程度で、
私物は殆ど無いから、すぐ終わるだろう。
役割分担として、俺と兄さんで、部屋を掃除して。ティアにベットメイクをして貰うことにした。
シーツ等々は洗濯をする暇がなかったから、
ティアに、外で埃をはたいて貰う程度で済ました。
しかし掃除って、始めるまではかなり億劫だけど。
初めてしまったら、あっちも、こっちも気になって、これでもかと綺麗にしたくなる。
うん、どうせだ、思いっきり綺麗にしてやりたい。
ワックス掛けとかも出来ないだろうか。
まぁ、そんなもの無いけどね。
「くちゅん」
外から、ティアの可愛いくしゃみが聞こえる。
埃に、鼻でもやられたんだろう。
掃除をしている最中、アイリスは椅子に座っており、
俺達の様子を観察していたが、
どうも、落ち着かない様子だった。
俺達に声を掛けようとしていた気がするけど、
気のせいだろうか。
確かに、ここまで用意して貰って、
ただ見ているだけなんて、精神的に辛いだろう。
でも、アイリスは体調が悪いんだし、
無理はしてほしくないから大人しくしていておくれ。
ただ、何度かティアに声を掛けようとして、
躊躇っているようにも見えた時があった。
どうしたのだろう。
ティアは話しかけてもらったら、喜ぶだろうに。
まさか、人と話すのは、得意では無いのだろうか。
いやいや、まだ初対面だしね。
奥手なだけなんだろう。
俺だって、初対面の相手とは、無理して話そうとは思わないしな。
旅の道中、ティアと話していた感じから、
会話すること自体は嫌いではなさそうだったと思う。
少しずつ、距離を縮めていけば良いと思うぞ。
頑張れ。
と、そんな感じで皆で掃除を済ませた。
部屋がそんな広くない事も相まって、意外に早く済んで良かった。
今日はとても疲れたからね、夕ご飯を食べたら、
さっさと布団に潜り込みたいものだ。
睡魔と格闘しながらも、
夕食のメニューを考えるのであった。




