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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
108/133

第99話 突入。

[時は朝九時、場所はオリアーナ大聖堂]


前日に作戦会議をきっちり詰めたレノア達は[永劫]にやり直しが破壊された事により、久々の“翌日”を迎えた。


全員フレアの治療を受けていたが疲労だけは抜け落ちず、夜しっかり寝ることで全快。


清々しい朝だ。

「ここから先は本当の死闘です」

ルティアは重々しく告げると、皆が静かに頷く。

誰も生き残る保証なんてできやしない。


「ハウさんは私が結界をこじ開けるまで待機でお願いします」

「了解だ」


彼女はその他の一人一人を一瞥し、話を続ける。

「お姉ちゃんがいる[楽園]へと結界術で皆さんを送ります、ご武運を!!」


するとルティアは手に力を込め始め空間を分断した“ゲート”を作成。

一斉にゲートへと入った。


ゲートの中は不思議な感覚で落ちている様な登っている様な…そして何かにかき混ぜられている様な感覚に襲われつつも、気がついたら上空────。


「ついた!!」

レノアが剣を抜くとそれを合図に全員が武器を取る。

メンバーはレノア、リサ、ガイル、フレア、ザルツの五人。


五人で足止め…なおかつ勝利できるだろうか。

ケイと世界、並行して行わなければならないが、問題はない。


ルティアの為にも負けられないのだから。

「…………来たか」


待ち構えているのは『神』オリアーナ。

いつもの質素な服ではなく、どこか高級感溢れる真っ白な羽織の様なものに着替えていた。


「宣戦布告。[燃焼]!!!」

黒い雷が彼女へ向けて突進、奇しくもケイと同じ突破方法だ。


砂煙が辺りを覆う中、他メンバーも各々着地。

今の一撃で彼女と自分(レノア)との実力の差がどれくらい離れているかが分かる。


「…………こんなものか?」


無傷。

雷による攻撃など無駄と言わんばかりの立ち振る舞いに一瞬気圧されるが、覚悟を決め彼女を見据えた。


「五対一…二人減らそうか」

オリアーナが指を鳴らすと、地面に穴が空いた。フレアとガイルがそこに落ちる。


「待て!!」

ザルツの声は間に合わず、互いに大した声かけをする間もなく二人はどこかへ落下していった。


「安心して、魔物による有象無象がそこにいて…それを一人で全てを倒してもらうだけだから」


五人から三人へと一気に減ってしまった……それでも状況は三対一。数では有利…だが。


「クッ……」

レノアの手が震え、強い恐怖による緊張が止まらない。


(相手は強敵…どうすれば…)

そんな考えに思考が覆われる中、肩に手を置く者が近づく。


「落ち着いて、強敵達を倒した僕達ならできる」

優しく微笑みながらレノアを見るザルツ。そこには確かな余裕と落ち着きがある。


「勝つよ、二人とも」

リサも同様でどこか酷く落ち着いていた。

大丈夫。レノアも戦えるのだ。


息を吐き出し、要らない緊張と焦りを吐き出す。

必要以上に敵を強く見過ぎた。



オリアーナに一斉に斬りかかる。

リサが上段、レノアが中段、ザルツが下段。


三つの牙がオリアーナへと迫る。

「[神手]」


魔力で手を覆い強固となった右の手刀でリサの大鎌を破壊し、二発目でレノアの剣を受け止め、ザルツの剣を左手で受け止めた。


(速い──!!)

ギリギリで回避したザルツ。たった二発の手刀で力の差が嫌って程分からされる。


レノアも同時に回避、ハウからの情報で手刀を使ってくる事は知っていた。


(今ので仕留める気だったが……ルティア(リサ)とあの男とあの女。対応速度が速い)

のんびりと観察するオリアーナ。彼らの実力を過小評価も過大評価もしない。


“淡々とした冷静さ”が彼女の武器でもある。

(…そして…結界に何者かが手を加えているな)


この結界を破れると言うのならかなりの強者。

そんなものが『五傑』やあの街にいるだろうか?


「…まぁいい」

鼻で笑った彼女はレノア達を見据え、静かに言葉を溢す。


「どんな奴でも…叩き潰すだけだ」


────────────────

[視点はハウ:場所はオリアーナ大聖堂]


「ルティア、どうして俺は待機なんだ?作戦会議でもそう言っていたが」


あの時、了解だ!なんて元気よく返したハウだったが理由は聞かされなかったのだ。


「理由は…恐らく、お姉ちゃんのいる[楽園]とケイさんがいる[楽園]が違う場所にあるからだと予想できました」


姉の気配は簡単に辿れる。

だが、ケイの気配はまだあまり深く解析できずに姉の下へと突入させてしまった。


「違う場所?」


「はい、私が作った[楽園]のシステムを転用していれば…」


呼吸を落ち着かせ、深呼吸する様に息を深く吸い込みながら、気配を探る。


数多にいる人々の楽園から、たった一人を見つけ出すのは至難の業。


(落ち着け……私のワガママがケイさんをああしてしまったんだ…責務を…果たせ!!)

ルティアの“乱れ”を見抜いたハウ。


「ひゃう!??」

背中を軽く叩いたハウに驚いた様に声を出したルティアは、


「なんですか!?」


「落ち着け。焦る気持ちも分かるが俺の仲間はオリアーナに簡単に負ける奴らじゃない」


「……!!」


「何かを探す時は、冷静に視野を広く…だ」


ハウの助言に、もう一度深呼吸。

こんな幼い子供が事態を大きく変えてしまう役割を任されているのだ、ブレないはずがない。


(探せ……正確に…一人一人!!より速く!!)

草花を掻き分ける様に、ケイを探すルティア。

あの強さを優しさを…見つけ出せ!!


楽園の中から遂に見つけた…ケイ・タケダと思われる者。


「あれ…?」


「どうした?」


「これ…?ケイさん?」

見つけ出したケイは、変な黒い服装をしていて、髪の一部に大きく入った白髪がない。


「顔は同じ…もしかして別人か──」

「いや、そいつでいい。俺を飛ばしてくれ」


「もし間違えたら…!」


「俺のココを信じろ、ルティア」

親指で頭を指すハウにルティアは震えつつも静かに頷く。


ゲートを開き、堂々とハウは突入。

不思議な感覚に襲われつつも、なんとかその[楽園]に入り込めた。


「ここは……間違いない参謀の記憶だ」

お花畑に包まれたその場所は、どこか空っぽにも感じる。


他の者の楽園を見た訳ではないが、こんなにも理想の天国の様な場所にケイがいるのだろうか。


(持ち主の強い“欲望”が[楽園]に反映されると言うのなら、この空っぽな場所が参謀の楽園?いや…あいつは記憶が一部抜け落ちてる)


だとしたらこの空っぽな情景に納得がいく。

「俺はなんとしても探し出すぞ、参謀」


強い決心の下ハウはお花畑を探索。

そこにケイがいると信じて───


───────────────

[場所はオリアーナがいる[楽園]]


「ッ…」

リサの頬に冷や汗が伝う。魔法を一切使わない体術で一切ダメージを与えられない。


力は全て奴の方が上。

魔法を使われたら間違いなくまずい…なのに…何故使わない?


先程からレノアの[燃焼]もザルツの剣も全て弾かれて終わり。


まだ全員本気出した訳ではないが、このまま戦ってもジリ貧だ。


(……………なら)

ここでレノアは剣を二つ作り出す。勝つ為に必要なのは正々堂々だなんて言葉は不要。


(彼女は初見の技は攻防一体の手刀で対応する“癖”がある!)


(突くならその瞬間!!)

リサとザルツが同時に飛び出し、オリアーナが再び手刀を構える。


「「一閃!!」」

同時攻撃を弾き飛ばし、少し遅れてレノアが飛び出した。


「(彼女の速度は見切った、もう怖くない)[神手]」


レノアが雷を蓄えてから発動するまでの時間を完璧に読んだ一撃。


「残念だけどこれで終わり────」

そう言い終わる前に、迫ってくるのはレノア…()()()()


「!?」

ドライヴの剣と作り出した剣を同時に真っ直ぐ投げ飛ばした。


一瞬で弾かれたが、やっと…隙が出来た。

「[燃焼]」


オリアーナの目線が剣の方へと向く。

ドライヴの剣が発光しているからだ、そこに意識を向けている時点で…間違っているのだが。


ピリ…と剣に一瞬だけ雷が漏れるとレノアがそれに合わせて加速。


オリアーナの防御を突破し彼女の肩から軽い出血。

(速─!!その前に───後ろ!!)


手刀を合わせようとするが……

「知ってるよ、私達は知っている」


オリアーナの背後には吹き飛ばした二人。

「私達は、あなたが強い事を…知っている」


「[操作]」

斜め上から小さな鎌。

彼女が合わせようとした手に突き刺さり勢いが止まった。


斬りかかろうとしているレノア、リサ、ザルツ。

この状況を突破する為には……!!


「[風魔法・範]」

オリアーナを中心とした台風が三人を遠くへと吹き飛ばす。


「ッ…」

「…!?」

「クッ…ソ!!」


ため息を吐きつつ、彼女が呟く。

「………やるね」




明日!休みます!!

ストック切れ!!(アホ)

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