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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
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第96話 どちらが

死力を尽くしたタイマンと言うのは心躍るものがあります。

互いに左肩を斬られダメージはそこそこ。

ヒートアップしていると感じているレノア。


「ッ…!」

速い──ララの使う風の[燃焼]は殺傷力こそレノアに劣るものの、持ち前のセンスと応用力でカバーしている。


先程の一撃で脇腹と脚を斬られた。

じわじわと痛む、この怪我がレノア自身の疲労を実感するには充分。


それはララも同様。

(こいつ…いつになったら止まるんだ?ボクもまぁまぁ頑張ってるんだけど)


(速い!!肩を斬られてから更に加速している様にも見える)


視野が狭くなり、見えるのは剣を握っている自分と雑に剣を振り回すララ。


地上へと降り、場所はオリアーナ大聖堂近くの広い庭。


壁に囲まれていて気がつき辛いが広い庭だ。


「まだ行けるよな?」

レノアを部屋の中へと蹴り飛ばし廊下へと突入。

同時のタイミングで酸素を吸い深く呼吸する。


こちらへと走ってくるララに応戦しようとするレノアを凝視するララ。


狭い廊下での戦闘。

八階の廊下と一階の廊下で広さが段違いだ。


(発想のままに戦え!!ボクこそが…天才だ)

壁を歩き、レノアの足元へと剣を投げる。


それを反射で弾くと丁度良いところにララの手に剣が渡ってしまう。


レノアは対応するという信頼の下成り立っている剣戟だ。



「…!!」

弾かれた剣そのまま、剣を掴みレノアに斬りかかるがこれも防がれた。


「見切るねぇ」

「当然!!」


型に嵌まらない、大胆不敵、変幻自在、そんな言葉が奴には似合う。ただ、型所以の地道な“強さ”は誰よりも詳しいのはレノアだ。


再び剣を離し、剣に注目させたララは風を纏った左手でキャッチ。


チラッと見えたレノアの表情は殺意に満ちている。

風による加速は本来人には言えないものだが……


(こいつ!目で……!!)

まずい、防がれるなと考えたその時にはもう、彼女の刃はララの顔に迫っていた。


彼女の殺意に満ちた表情を読み取るなんて簡単だ。


“お前の全てを否定してやる”

そんな意志が明らかに透けて見えるのだ。


「危ないな」

余裕でかわしたが、たった数分の戦いで[部分燃焼]を見切られるとは想定していなかった。


(出血すればするほど……レノアの目が鋭くなってるな…怖いよ、女の子がしていい顔じゃないよ)

ケイもそうだったが、レノアも大概目がキマッている。


一進一退の攻防が進む。

互いの首に剣が入る事はなく防御などせずに攻め合う。


(おかしい話だよね)

何故今まで本気を出していないのか、戦闘経験など皆無に等しい彼女が、出し惜しみして可能性の狭めるのはおかしいのではないのか?と。


戦いで成長するには結局、体力や魔力を枯渇させるまで戦うしかないのだから。


「[燃焼・放!]」

「お前…ッ!」


発射速度を優先しない、威力重視の全方位放電。

溜めがいるが威力はお墨付きだ。


「ッ…!!」

まずい…!


「[燃焼・嵐!!]」

大規模な暴風で、これまた大規模な雷を覆い尽くそうとするララ。


必要なのは、膨大な魔力!!!

“自然”がぶつかる音が聞こえた。



時間にして十秒にも満たない時には辺りはボロボロで、見境なく穴が空いた壁や、地面は酷く抉れている。


「はぁ…はぁ…はぁ…!!ハッハ!!」

暴風で全てを相殺したララは周りにレノアがいない事を確認。勝った───


「まだ…死ねない!」

(不死身か…こいつ)


どうやって回り込んだかは分からないが、ララの後ろには今にもボロボロなレノアがいたのだ。


「グッあッ!!」

反射的に剣で受けた為に斬られる事はなかったが衝撃までは防げなかった。


残った壁達を貫通したララ。

酷く息を切らしながらも、敵を見据える。


風による衝撃で、手が酷く震えて剣が強く握れない。

(まだ…まだ死んだかどうかも分からない…でもこのままじゃ動けない、治癒魔ほ──)


鈍い痛みがレノアの何処かを襲った。

驚きより先に怪我した所を確認。


全身が痛いせいでどこが痛いだとかあまり分かっていない。


すると、左腕から大量の血が溢れていた。

何かによって貫かれたのだ。


(方法も過程もどうでもいい、今は速くトドメを…)

耳鳴りが頭の中に響き続けてレノアに迫る強敵に気付けない。


建物を破壊した爆音によりレノアは少し遅れて気がつく。竜巻が迫っているのだと。


しかもこれは魔力がしっかり籠っているララの[燃焼]だ。


「…え?」

巻き込まれれば間違いなく…死ぬ。

走馬灯が流れ出すと、途端に物事がゆっくりに感じる。


これを突破しても…魔力切れで終わる、避けるにはもう遅い。


(ごめんなさい…みんな…ケイ君…私はここで…)


───後は…頼む。


最期に思い出したのは、泣きそうで寂しそうな顔をしたケイの姿。


彼は最後までレノア達に全てを託して──


「……まだ…!話し足りないよ…ケイ君!!」

もう少しだけ…一緒にいたいという気持ちは我儘なのか、それは分からないが少なくともそれで良いと思う。


「もう一度会いたいと思うから!!私は!!」

雷が再び剣から溢れ出す。今までは剣の性能に引っ張られていた彼女が、剣を引っ張り“振り絞れ”と命令してくるのだ、


応えるのだ。と強い繋がりが今の剣とレノアを突き動かす。


「[斬!!]」

レノアは雷を飛ばして竜巻を一刀両断。

応えたのだ、剣とレノアのお互いの想いに。


まだ魔力は残っている。

それは───奴も同じ。


「覚醒するのはどうやら…同じか」

クックックと笑いながら砂煙から出てきたのはレノアと同じくらいボロボロのララ。


「先程の竜巻は、剣に溜まったお前との戦いで互いぶつけ合った魔力の残りカスみたいなものさ。そこにボクの魔力をひとつまみしてあげれば、あれ程の規模は出せる」


[燃焼]を使い理解を深める事で、他とは異なる魔力コントロールを理解した。


「特筆すべきは、魔力コントロールによる[燃焼]の理解だ」


今までこの技術を扱い、魔力配分の理解。


「今なら細かく刻める」


それはレノアも同じ。

仲間に対する強い感情がその領域へと無理矢理導いた。


「さて決めようか、ボクたちの…この戦いで全てが決まる!!」

高揚そのままのララと静かに見つめるレノア。

すると彼女も口を開き答える…


「……そうだね、今私達に必要なのは“話し合い”じゃない、“結果”それだけなんだ」


     


      異なる思想を持った二人

    

     命を削り理解を深めた両者は

     確実に勝利する為魔力残量の

    [燃焼]使用時間を直感する。


      『どちらが正しいか』

     それはこの戦いで決まる。



「「燃焼」」


「疾」「黒」

勝者にその権利は渡されるのだ。


──────────────

屋外へと走り、壁へジャンプし互いに技を叩き込む。


ララの方が少し高く準備し、レノアは下から振り上げ、ララは上から振り下ろした。


ドォン!!と金属同士がぶつかったとは思えない爆音が街中に響き渡った。


「ッ…」

壁へ弾き飛ばされたレノア


(崩せた!これで──ッ!?)

突如ここで、レノアがララに向けて投擲。

ドライヴの剣を投げたのだ。


回避したララは、無防備な彼女に追撃しようとしたが…

「[燃焼]」


背後の剣が眩しく輝き始め、

レノアも閃光を放った瞬間にはもうそこにはいなかった。


背後にいたのは切断されたララの左腕と剣を握ったレノア。


(あれが…!!雷に身を任せた超速!!本物の……いや、ボクこそが本物だ)

空にいた二人は地上に着地、超速で逃げるララとそれを追いかけるレノアの構図。



(膂力は私の方がまだ上だけど、風によるスピードはあの時よりも大分増している)

残った魔力を全開放してもまだ追いつかない。ララの覚悟が伝わった。


制限時間(魔力切れ)は刻一刻と迫っている。

一分持つかも不明だ。


───この場は撤退して隙をつくのが得策だ。

ララの理性が再びそう訴える中で…


「……うるっせぇ」

狂気に満ちた笑みを浮かべたララはこのまま勝つを優先した。


(コイツを叩き潰さずに、ボクの描く世界は作れない!!)

[颶]による強化ももうすぐ切れる。

今しかない!!


「!?」

レノアがここで停止。まさかのララが更に加速。

今まで一番速いその速度はレノア(雷速)に並んだ。


更に濃い魔力を自身の体に“捻じ込み”首を刎ねる。

(どうするレノアァ!!)


剣を振ると、もうレノアは背後にいた。

加速。ララのを見て彼女も負けじと速度を上げる。


(背後──!!)

反射で剣を振るララ。一秒でも考えを止めれば間違いなく死ぬ事を理解しているのだ。


そこにもレノアはいない。

雷がララの視界を通り過ぎ、右腕を深く斬られた。


(……速い!?ボクよりも!!)

腕を斬られた事実はどうでもいい、無理矢理動かせば千切れそうだが一回振れるのなら問題はない。


ララ同様レノアも魔力を捻じ込み、雷速を体に馴染ませ最後の特攻を仕掛ける。


(剣が…良く馴染む…)

一体感を味わうレノア。全身に蓄えた魔力を全て解放。



(斬られる…[嵐]で防御…いや、まだ()()()、それを教えてくれたのはレノア自身!!ここだ!!)

残った“全魔力”で風魔法を放出し、動かす事などできないであろう腕を体の捻りを使って動かした。


今更止まる事などできない。

そう思ったララは勝利を確信。


(…知ってる。あなたはきっと…全てを見ているから)


「!?」

ここでレノアは急ブレーキからの姿勢を極限まで低くして避けた。


「[燃焼・斬]」

魔力を解放するタイミングはここしかない。

至近距離で斬撃を飛ばし、二重の斬撃でララを……


……その全てを斬り伏せた。



「良く馴染む…」とレノアは語っていますが、鍛錬最中でそれを言うとドライブにレノアを取られた気がしてやだなぁ…と思うケイ・タケダ(18)

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