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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
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第93話 余裕

作品のストック切れな為、明日間に合わないかも……

ごめんなさい〜!!

お互いにダメージを負った結果、動きは鈍く──なっていない!!


むしろその血から余計なものが流れた様にも感じる。

(彼女の能力は[操作]。今までの戦いでそれはもう学習した!)


そしてリサがこれ以上武器を作ることがなければ能力による妨害に神経を費やす必要はない!


大鎌と槍のぶつかり合い。

そのぶつかり合いは火花を散らし、より速く、より鋭く、敵を殺す為だけに全ての意識を集中させる。



「ッ……!!」

リサの両肩から血が吹き出した。

鋭くなるヘルの槍術はリサの攻撃を上回ったのだ。


「隙あり」

槍が彼女の脇腹を軽く抉った。

少しずつ彼女を蝕み続けている。


抉られたタイミングでリサは逃亡。

廊下を真っ直ぐ走り出した。


この長い廊下を走り抜け、何か相手を出し抜く為の作戦を考える。


ここで追いつかれて[瞬劇]でも喰らえば終わりだ。

(これだ!!)


鉄球を作り出して地面へ思いっきり叩く。

砂煙が廊下中を覆い、索敵は困難になった。


そして、この大聖堂はララ達が仕掛けた魔力を発見する索敵を封じる結界を一番最初の“入り口転移結界”に仕掛けていた。


そのため、ララ陣営だろうがレノア陣営だろうか敵を目視と能力以外で見つけ出すのは不可能に等しい。


ヘルは壁を壊し、煙を外へと逃す。

煙が完全に消えたところでヘルは辺りを確認するが…


(逃げた…?いや、あんな宣言して逃げるか普通?考えられるのは恐らく体力の回復か本当の逃亡。仲間を呼ばれても困るが……追うのは難しい)

ララ陣営が仕掛けた罠である結界の中には、索敵を難しくするという能力も込められている。


敵味方問わないのがデメリットだ。


「…?」

今、天井に何かが…?どんどんと叩きつける様な音に違和感を覚え上を向いてしまった。


その瞬間天井を壊し上から降ってくるリサの姿。

リーチの長いハンマーを作成し、ヘルの頭をかち割ろうと大きく振りかぶっていたのだ。


「アンタ色々と…考えすぎ!!」

体の勢いを全てハンマーへと預け防御中のヘルの槍へと一撃。


(重いッ!!)

攻撃後の隙を考えない、リサの一撃必殺はかすかに槍にダメージを与えていた。


ピシッとヒビ割れる様な音と共にヘルは全ての力を使いリサを弾き飛ばす。


「ッ…」


「上から降ってくるとはね、それもまさか……」

ヘルは穴の空いた天井を見ると、その穴は二階…三階へと続いていたのだ。


天井を何度も破壊しここまで落ちてきたそのパワーは凄まじい。


現に今、奴の槍にはヒビが入っている。

もう槍にまで魔力を集中できていないのだ。


全身の防御のために魔力を満遍なく行き届かせている。


(互いに疲弊、もう奴がこれからやるかもしれない(ブラフ)に意識を向ける余裕はない)


─── アンタ色々と…考えすぎ!!

もしかしたら彼女の言う通りかもしれない。思考を捨て、無駄を省き、本能のまま敵を殺す。


「きっと……ララはそうなんだろうな」

「??」


槍を構え、リサを見据える。

「勝負だ」


出血を重ねた両者が考えるべきは、体力と魔力が切れた後に来る“動きが鈍くなる時間”までには決着を着けたい。


刻一刻と迫ってくる制限時間の具体的数値は不明だ。

だがそれでも二人は決着を“着けなければならない”


という強い使命感が二人が立たせている理由。今握っている武器を強く握りしめ、直感する。


    制限時間付きのタイムアタック!



足に力を溜めて急接近。

ヘルがリサの顔に向けて手を置く。

至近距離、ギリギリ触れない、手。




この三つの条件から次の行動を読む事など簡単だ。

「[瞬劇]」


反射に等しい反応で彼女は奴の手から後ろへと下がった。


(コイツ…!!)

彼女の反応速度により、少し吹き飛ばされるだけで済んだリサは大鎌を小さく変え近づく。


近接戦闘…ではなく。

ここでヘルは後ろに下がり槍の戦い方へと戻る。


予想外。

槍を離した格闘術による持ち味がヘルの真骨頂だと思っていた!!


(…クッ…!!)

完全に無防備な突進。

槍の突き技に少しだけ刺されは腕で止める。


「流石のパワーだな」

感嘆と苛立ちを含めたヘルはそう呟く。

そのままゆっくりと彼女の腹を刺すとリサは吐血。


抵抗する力がなくなって来た事を確認した後、突き刺した槍をそのまま斜め上に振り上げ、腹から肩にかけて斬った。


地面に倒れたリサを一瞥する。

悔しそうに小石を握りしめた彼女だが、魔力がもう手に回せないのだろう。


その石を砕く事さえも出来なかったのだから。


「終わりか?」


「……知ってるでしょ?私にとって…立ち上がることは……美徳なのよ!!」

よろめきながらも立ち上がり、大鎌を作ったリサ。


「もしお前がそんな武器じゃなければ、この武器を今はへし折っていただろうに、攻防一体にする為に複雑な魔力コントロールが必要でしょ?」

リサの大鎌にはもう、魔力らしい魔力は残っていなかった。


魔力も体力もリサは限界。

ただ……


「私の大鎌で引導を渡さないと気が済まないの」

ニヤリと笑った、彼女にヘルも軽く笑った。

もう[操作]を使う余裕はなし。


使った所で、新たに武器を作成し襲う事など不可能。

体内にあるぼんやりとした魔力を誤魔化す事はできない。


そう判断したヘルは防御の構え。

使える手を使って、この武器を…私を打ち破ってみろといいたげだ。


「やっぱり、最後の最後は力で解決するのが一番速い!!」

ヘルに向かって駆け出し、居合の構えの様に鎌を横に向け、全ての魔力を刃先に込めた。


「こい!!」

その時気づいたのは、リサが笑いながら、片手を違う方向へと指さしていた事。


真剣な表情から大胆不敵な笑みに変わったリサ、それはまるで不敵な…勝ちを確信した者の……



「[操作]」


「ッ!!?」

“小石”がヘルの槍へと命中。

予想外な所からの追撃は、奴の姿勢を乱した。


「最後の…いっ…!閃!!」

居合の構えで、真横に大鎌を振り切ったリサはヘルの胴体を両断し勝利した。


最後の最後で油断した彼女は、思考をやめなかったリサに敗北したのだ。


「ふぅ……」


「あの時は…悔しさでも怒りによるものでもなく、作戦だったのか……」

まぁね、と返したリサに苦笑するヘル。


「アンタには最後の最後まで正面で勝つ隙がなかったから、使わせてもらったよ…卑怯な技。私、諦める時とはキッパリ諦めるの」


別に難しい事はしていない。

ただ小石に魔力の“半分”を込めただけだ。


とんでもない博打。

もしヘルが最後の最後で思考する事をやめ、感情のまま戦っていなかったらこれにも気づかれていたかもしれない。



「私もオマエがこの策を取ってくるかもしれない事など考えていたさ……ただ…それを除外した私のミスさ。戦いに卑怯なんてあるか」


能力も結局出し惜しみで終わってしまった。積極的に使っていれば状況も変わっていたかもしれないが…


やれた事はあると考えつつも、どこか満たされた感覚にまぁいいかと反省を止めた。


「さようなら、ヘル」

ゆっくりと…瞼を閉じ、死んだ。


「最後まで、あなたの力と能力は異端だった…友達にはなれないけど…いい戦いだったわ」

そう言い残した後、リサも限界を迎え地面に倒れようとした時、ガッ…と音が鳴る。


何者かに支えられている様な……

「ん……?って…フレアさん!?」


炎の翼でリサを抱えていたフレアがまさかの到着。待機中なはずではと痛みを忘れて問い詰めると


「ルティアが入り口と裏口の結界を破壊してくれたお陰で魔力による探知がやっと作動してな、もう残っている敵はララ“だけ”だ」


「良かった…みんな勝って……後は…レノアちゃん…絶対…勝っ……て」

そのまま気絶した、酷い怪我だ。他の僧侶なら治せず彼女を見殺しにしていただろうが、フレアは違う。


「[再]」

暖かな炎がリサの怪我を一瞬で回復させた。


「さて、ザルツとガイル、そしてハウの治療だな」


───────────

[時はリサ勝利時、場所は二階廊下]


「そん……なぁ…!!」

ヘルの姉、リルはハウに肩を深く斬られ、魔力を全て失い体に剣を刺され壁によりかかっていた。


そんなハウはほぼ無傷。

つまり……完封されたのだ。


頼みの鎧も、魔力で作ったかなりの物だった。

剣士の剣などこれで簡単に折れる…はずだったのに。



[十分前]


「はぁ…はぁ…」

ハウとリルは[永劫]時、お互いに戦った事があり、彼女はハウを“そこそこ強い剣士”程度にしか評価していなかった。


ただ再び再戦したらどうだ、彼の目が赤く染まった瞬間、彼女の鎧と剣は霧散し戦えなくなったのだ。


それでも彼女は応戦した。

彼の視界に入らなければ武器や鎧の破壊は出来ないという法則を理解。


目眩しを重ねながら、彼女の能力[複製]で武器を大量に作り串刺しを狙った。


すると今度はハウも能力発動[刻刹]を発動させ胴体視力を上げたことにより全て回避。


そのまま武器も全て破壊され、今に至るわけだ。


[時は現在]


「お前……何者だ…」


「獣族の…護衛だ」

悔しそうに足をジタバタさせているのだろうが、体力と魔力切れでそれ程体は動いていない。


「こんなの認めないぞ…!!私はまだ─」

突き刺した剣をそのまま斜め上へ袈裟斬り。

即死だ。


ハウが持つ能力以外の特性。

[魔の目]は体外に放出した武器や魔法を自動的に消去するもの。


[複製]で武器を大量に作る彼女との相性は最高。


「後はララだけか」

魔力は探知出来ないが、屋上から聞こえるのだ。

[燃焼]と[燃焼]がぶつかり合っているのが。


(勝てよ…レノア!!)

そう心の中で呟いたハウ。ララ陣営との戦いは…終幕に近い。






駆け足……。次回からララ戦です。

レノアをかっこよく書けたらなぁ…と思っています。

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