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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
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第92話 騙し合え!

頭脳戦!!!

ヘルが使った謎の能力である[瞬劇]

原理は謎だが吹き飛ばされた。


「何なのよそれ、超驚いたんですけど!」


「……自分で考えて」

言い終わる前に急接近。二歩下がりリサも応戦。

(能力も可能性に入れないと…)


金属音が何度も鳴り響く中、突然ここでヘルが防御に回り大鎌を受け止められた。


「ビビったの?」

「戦略だよ」

またしても大鎌に触れるギリギリに手を置き唱え始める。


「[瞬劇]」

リサの目が大きく開かれた。


巨大な銅鑼でも叩いたのかと思うレベルの爆音と透明で高速に動く壁にぶつけられた様な感触にリサの体は大きくぶっ飛ぶ。


そしてその衝撃は異様だ。

人間が出していい威力じゃない。


「………チッ」

反射的に鎌を放し回避した事で本筋の威力は回避出来たが完璧に返せた訳ではなかった。


頭と口から血を流している。回避したため大した被害にはならない。受け身をしくじって無駄なダメージを貰ったが。


「もう終わり……そのままでいてくれたら……楽に殺してあげるけど…?」

槍を上へと振り上げそのまま振り下ろされると思っていたその時。


リサが指で飛ばした“何か”がヘルの頬を掠めた。

今の一瞬で指に全魔力を集中させ威力を増大させたのだ。


「………これじゃあ私は殺さない。もう…ないでしょ?…切り札」

彼女が何かを喋っているのは分かるが何を喋っているかは聞いていない。


リサは今、かなり深い集中へと陥ろうとしていた。

(やっぱりこいつは強い、正直このまま力押しで負けるのが…一番屈辱ね)


数ヶ月という長いハンデの中で、リサは自身の武器はなんなのか、ひたすら考えて、考えて、考える。


─── 大鎌を振るっていつも俺達の前を切り開いたのはお前なんだ!!


ケイがリサの記憶を取り戻すきっかけを与えてくれた一言。


大鎌がいつも自分を導いてくれたのだ。

この鎌で敵を倒し、ケイを救う。


この今ある信念は誰に何と言われた様と変わらない!


(空気が変わった?)

リサは狂気的な笑みを向け、ヘルを見据える。


「やめやめ!やっぱり私は頭使うのは無理!!」


頭だけ使って、相手の行動一つずつに何か意味があるんじゃないかと考察するのも、馬鹿みたいに攻撃するのも自分には向いていない。


すぐさま大鎌を作り出し、奴を少し遠くへ吹き飛ばした。


「切り札なんてあるに決まってるじゃない。死闘よ」

ヘルを睨み、大鎌を持ち迫る。


今までのは“遊び”だと言わんばかりの猛攻を仕掛けるリサ。


中距離同士の槍と鎌の戦いに何度も高い音が響き渡っていた。


(ギアを上げてきた…!)

本来突き技メインの槍だが、彼女の鎌に合わせる為剣の様に振るうヘル。


速く──もっと速くと一目散に振り続けるリサに驚きを隠せない。


(でもこれくらいじゃ先にダウンするのは───)

「[操作]」


ヘルの背後辺りに指をさしたリサに急いで背後を向くが…


(武器なんて……ない!!)

魔力を鎌に込め、完全に隙だらけの奴に攻撃をしようとしているリサ。


「アンタ──人の話最後まで聞くタイプでしょ」


───頭使うのは無理!!

あの発言さえもヘルは覚えていた。ここから先は頭脳なしの力比べ、そう思っていたのだが。


「遅い!!」

鎌を真上に振り上げ、ヘルの肩を斬った。血飛沫が舞う中、リサはここで猛攻をもう一度仕掛ける。


顔を二発殴った後、顎に一撃。

「…………!!」


よろけた所を──

「でりゃぁ!」


全力で蹴り飛ばした。

壁を貫通し奥のホールへと吹っ飛んでいたヘル。


「一回のフェイント最大リターンをとってやったわよ!」

そう宣言した所で、無口無表情な彼女から大きな声で返事など期待してはない。


手応え的にまだ生きてる。

しかもまだまだ戦えると言いたげな覇気を纏いながら……


「なんだ、強いんじゃん…!!」

リサは少しだけ目を見開いた。いつもの自信なさげでブツブツ喋っているヘルはどこにといない。


どこか好戦的で獣の様な目を向ける者がそこにいる。

「オマエの能力は魔力が籠っている物を中心にコントロールするものだろ?」


今までの戦いでだいたい見当がついていた。

コントロールしていた物は基本的にリサが“作った”武器。


作ったという事はそこに魔力が含まれているということ。何もそう難しい話じゃない。


「そうよ、やっと分かった?」

これで[操作]のフェイントは使用不可となった。敵の記憶力はどうせ良いのだろうから。


「私の能力は[瞬劇]。衝撃を司り、指定した対象に()()()()()()()()()事で衝撃の威力を上げる事ができる」


だから能力を使う際、絶妙に触れてなかったのか!と合点がいった。


「さて、お互いに武器は晒したな」

完全にギアが上がった両者。戦いに必要なのは嘘と力だ。


(もうこいつにフェイントは通用しない。一度でも武器を投げたりしたらあいつは接近戦をしてこないだろうし……)

こちらも得意な接近戦。[操作]で不意打ちを貰う可能性がある以上、カウンターメインになられても困る。


「ま、いっか」

お互いに一歩ずつ前に進む。

敵を殺すために、


一歩、

また一歩と進む中、

足音がうるさいと感じる程に、辺りが静まり返った。


お互いに武器は中〜近距離の武器。

距離を見誤る事がないように慎重に───


「!!」

「!!」


同時に槍と鎌を振るった両者。

本日の何度目かの余韻が残る金属音が廊下…並びに一階中に響き渡った。


(速い…!!コイツ相当だな!)

(ヘル…まだついてくる!!)


槍と鎌を振るった間の時間は一秒にも満たないんじゃないかと思う程に武器をぶつけ合う。


引く判断した二人は同時に突き技。

衝撃で飛ばされるところを、地面を足で引きずりながら後ろへと後退。


「ふふっ」

大鎌を地面に落とし、二つ目の武器を作り出す。


おぉ、と感嘆の声を漏らしたヘル。

リサが作ったのは鉄球。


頑丈な魔力ロープで何度も振り回し攻撃に使える。


(あの大鎌消滅してない、[操作]の可能性が出てくるな。私が近接を嫌がると見ての遠近対応の鉄球を選んだわけか…)

[操作]の可能性がある以上近接で起きるリスクは二つ。


一つはフェイント。先程リサが行ったものに近いが武器がある以上更にタチが悪い。


二つは奇襲。よく分からないところで致命傷を負わされる可能性がある。


(そして[操作]のスピードはそこそこ、見てから、判断して、対応できる速度。あれ以上出せると見て戦った方が良いな)


そろそろリサの鉄球が何度も頭の上で回転し、勢いがついてくる頃合いだ。


「ぶっ飛べ!!」

回避されたが、鉄球の威力はかなりのものだった。

地面は深く抉れている。


(あいつはきっと、カウンター→[瞬劇]→吹っ飛ばして弱体化した所を…という戦術を取るはず!)


このまま力押しで勝てない事は充分理解している、リサも相応のリスクを負わなければならない。


「!?」

ヘルはここで驚きの声を漏らしそうになったが次に備えるために気を引き締める。


まさかのリサが真っ直ぐこちらへと突進。

鉄球を回しながら力を溜め一気に吹き飛ばすつもりだ。


そのまま“ロープごと”鉄球を投げ飛ばし再び接近戦。

ヘルも槍を手放し格闘の構え。


互いに殴り合う中、ヘルはある事を考えていた。

(どうしてコイツが恐れているであろう接近戦に臨んだのか……ま、答えは明白だな)


リサに能力発動のタネがバレている以上、対策なんて容易だ。


(恐らく構えさせて能力対策のために離れる、もしくは触れる事で不発を狙ったんだろうが……)


(こいや……[瞬劇]!!)

腕を大きく後ろに振りかぶるリサ、ヘルの考えは的中した。


はっきりとした隙を見せ能力を完封しカウンターするつもりだったのだが……


「わざとらしすぎ」

彼女の腹に膝蹴り。リサは声を出す間もなく吐血。骨を折る事はできなかった。


痛みでうずくまった所を蹴り飛ばし、リサは地面に倒れ、ヘルを下から睨みつけている。


「“考え”としては悪くなかったよ、でも……大して良くもない」

リサの作戦は空回った。


「自分の体を心配しろ、もう手も足も震えてるじゃないか」

体に纏っているはずの魔力もリサの体から魔力が溢れている。もう限界が近いのだろう。


悔しさと怒りに満ちたリサの表情は、獰猛な獣の様だ。


「トドメを刺してやる」

槍を構え、上へと振り上げる時。

リサが咄嗟に唱えた。


「[操作]」

ヘルの背中に猛烈な痛みが襲った。


あり得ない速度でリサの大鎌が奴の背中を切り裂いたのだ。


驚きで声も出ないヘル。

斬られたという実感がまだ彼女の頭についてこない。


(来た──)

先程の痛みを忘れたかの如く、ナイフを一本作りヘルへと斬りかかるリサ。


「!!」

リサの殺意によって現実に引き寄せられたヘルは即座に槍を捨て、最初の様な対ナイフの構えを取る。


(あんたなら、同じ勝負をしても同じやり方でくると思ってた)

現に、奴の右手がリサが左手で持つナイフに迫ってきた。


先程は一杯食わされたが、今は違う。

(取った──!!)


刃先を掴み、ぶんどる。

リサでは対応不可──


すると、すかっという音が鳴った感じがした。からぶった様な…そんな感じだ。

(馬鹿なッ…)


リサがナイフを手放し、お互いの腕がぶつかる中、リサは奴の腕を掴む。


「このッ─!!」

即座に左手で頭を殴ろうとするがリサは姿勢を驚く程低くしてそれをかわした。


残った右手に全ての魔力を込めて…放つ。

「ガラ空き!!」


ヘルの腹にアッパーカット。

奴が吐いた血がリサの顔にかかった。



「グッ……ぁぁぁぁ…!」

槍を取り、痛みで気絶しそうでも戦いを諦めずにリサに槍を向ける。


「オマエ……なんで……もうボロボロだっただろ?」


「私の能力[操作]は武器が遠くなれば遠くなる程魔力が分散しちゃうの」

これは制御できるものではなく、勝手におきる。

その“魔力漏れ”を瀕死によるものだと判断し、能力の警戒を解いた彼女の失態なのだ。


「さて……最終ラウンドと行きましょうか!!」

自信に満ちた彼女の声が、廊下中に響いた。


────トリッキーなパワータイプ二人。

『殺意』醸成完了。

次回:第93話 力勝負

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