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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
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第91話 出し抜け!!!

気がつくとバトル中の会話が、ッ…!?ッ!?ッ〜!!の三つだけになる。なんとかならんものか。

ヘルと会敵したリサ。

やりたい事は彼女の底を出来る限りこちらのダメージを抑えて暴きたい。


「アンタはララの部下?」


「うん…」


「目的は!」


「君達と…一緒」

打倒オリアーナか、覇気が感じられず不気味だが、今はそこは置いておく。


この槍の女。

独特な気配だ。


影が薄く……目に生気をあまり感じない。

「私の名前は……ヘル……どうせ殺すけど…よろしく」


「お話はもう終わり?」

機嫌が悪そうに返すリサ。言葉から引き出せるのはここまでみたいだ。


ここでリサが一歩近づくと、ヘルは一歩下がる。

二歩近づくと二歩下がる。


槍使いとしてある程度の距離はとっておきたいという事なのだろうか、それにしても離れすぎているが。


「(あ〜もう焦ったい)!!」

奴に急接近。

鎌を振ると綺麗に防御される。


力の押し合いとなるが、ここでまさかの押し返された。相手のかなりの膂力を誇るらしい。


そのまま槍で突く事なく柄の部分でリサの脇腹を殴打。


「ガッ!!」

壁へと激突。砂埃が舞う。

ゆっくりと歩いてこちらに接近してくるヘル。


最初のリサの接近に合わせ後ろに下がったのは、槍のリーチを活かしてあまり近接戦闘orパワー勝負が苦手と相手に刷り込ませ


急接近してきた所をカウンターで潰す彼女の基本戦術。トリッキー且つパワータイプなのが彼女だ。


「…!?」

突如砂埃の中から武器、彼女の足を掠った。大鎌を縮小させた物ではないこれは……


(斧…!!ハチェットに近めの…隠し持っていた?いやあの窮屈なスーツに仕込む事は不可能)


二つあるリサの才能。

その一つとして挙げられるのは“様々な武器の作成”だろう。


本来魔力で武器を生成するには、その武器の理解やイメージが重要。


彼女はそのイメージ修行を無視して様々な武器を作れるのだ。先程の小さい斧…ハチェットもそれに適応される。


「………私さ、最高ッに今イライラしてるの!!」

背負うなと言っているのに一人で背負いやがった仲間(ケイ)にも、敵にまんまと操られ自我を失った自分にも。


全てに当たりたい気分だ。

「手伝ってよ、ストレス発散」


「それは…困る」

「困る?」

「痛いの…いやだから」

ブレない彼女だった。

──────────────


「さて」

リサが作ったのは先程作った大鎌と、ナイフ。

試しに奴へ投げてみる。


ぺしっと返された。

突然だ。


(こいつ……頭がキレるタイプね…出し抜くには相当苦労しそう)


(この人の武器レパートリーどれくらいあるだろう。10種類…それ以上は……ま、そん時になったら考えよ)


槍使いのこの女。先端の刃先に限らず柄の部分も普通に武器として機能している。


現に今、リサの脇腹から血が流れているのだ。


「チッ」

誰かが作った武器なら中々の上物。魔力で作った物ならかなりの精度を誇る。


「…こないの?」

ニヤリと笑ったリサ。戦いはこれから、楽しまないなんて損だ。


近くに刺さってある、奴の背後のハチェットに向け、“照準”を定める。


「[操作]」

ハチェットがぷるぷると震え出し、刃を向けてヘルへと突進。


「!!」

気づかれた、だが問題はない。

ナイフを片手にリサは突進。


(槍の動きは封じた、接近戦!)

武器を逆手に持ち、格闘技と合わせ仕留めるのだ。


するとヘルは斧を蹴り飛ばし驚きの択、重要な武器である槍を“捨てた”

そのまま格闘に臨む。


ナイフを合わせ顔を殴りに行くも綺麗にかわされ刃先を掴まれた。


理由は分からないが妙に間合いに入ろうとしてくる。

あまり近づけたくはない。


「(なんて力…)いっ…!?」


刃先を持ったままリサのナイフを奪い、リサの頭を狙われた。



「グッ…!」

寸前で腕をナイフに貫通させる事で防ぎ、これでお互いに片手だけ。

二人の拳同士がぶつかり、鈍い音が響き渡る。


広い廊下の中で二人の戦士が殴り合えば建物などすぐボロボロになるだろう。


「格闘もいけるクチ?」

「…まぁ…そこそこ」


そこそこ言っているが、ララメンバーの中では最もパワーと体術に優れている。


リサは奴の腹を蹴り飛ばし、離れた所から更に距離を取った。


腕に刺さったナイフを捨て再び膠着状態。

(困った…まさか膂力(パワー)で上回られるとはね…)


(先の能力[操作]遠距離にある物質をコントロールする物…?それにしては随分と控えめ…何か条件があるのか…)

手札を全て晒すのは自分になりそうだと心の中で苦笑したリサ。


能力のタネに気づかれた瞬間から一気に不利になるだろう。


こうして今、()()()()()()()物全てに警戒されるのは不味い。


それならやる事はシンプルだ。

「ま、こうなるわよね」


大鎌を構え出し、奴に向ける。

中距離で戦えば近距離ほど仕留め辛くはなるが一瞬の判断が死に繋がる…事はないだろう。


「……………いいね」

同時に前方へと進み、無駄なく真っ直ぐに槍を振るうヘルと腕を大きく使いパワー出そうとするリサ。


「フッ…!!」

「……はぁ」


速かったのはリサ。

大鎌の刃先を槍の柄で防御している。


これ以上力を入れてもいなされて終わりだろう。

なら…!!


ぱっと鎌を離す。

奴は力を一瞬で抜き、こちらの腹を突き刺そうとしている。


「[操作]」


「ッ!?」

柄の部分がヘルへと突進。ブーメランの様に回転させ視界を大鎌で覆う。


すぐさま拳に“全魔力”を込め奴にぶつける。

柄の部分を腕で受け止めていた為、リサの拳を槍で防御された。


だが──“ただの拳”から繰り出される威力では無かったが。


(重たッ──!!?)


リサの魔力総量は決して多くない。


その為、一流の戦士・魔法使いは攻撃に振り分けられるであろう魔力を使えばどれくらいの威力だ…?と逆算する事で攻防のバランスを取っている。


しかし彼女の二つ目の才、卓越した魔力コントロールがそれ(予想)を超えたのだ。


リサのパワーで建物を支えていた、

一つの柱を貫通させる程の威力でヘルを遠くへぶっ飛ばした!!


「うぅ…いたた……むかつく」

手が震える。もしさっきの威力をまともに喰らえば肋骨は何本かイッていただろう。


全魔力を一部分に纏う事のデメリットとしてその他の防御が疎かになる。


彼女は本当に全ての魔力を一部分に集中する為、なおさらだ。


その欠点を補う為には……

「……生意気」


やり返したい思いでリサに接近。

思いっきり槍を振ろうとしている。


大鎌でガードしたリサ。

(この鎌…全然魔力が籠ってない…さっきのは偶々?ま、どっちでもいいや)


今度は柄の部分ではなく刃先で一刀両断を狙う。

「ぶっ……壊す!!」


少しだけジャンプし、体重をそのまま真下に槍を振り下ろしたヘル。


“この鎌には魔力が籠っていない”一流の戦士なら見極めも早ければ結論を出し攻撃するのも早い。


それが仇となると言うのに。


ガン!!と廊下中に響いたその音は鎌ごと両断した音ではない。武器と武器がぶつかった金属音だ。


「…あなたまさか!」


「やっと気づいた?私の得意技は魔力コントロールなのよ」

たった一瞬で、手に移った全魔力を足腰と腕、武器に回した。


戦いが終わるまで、リサは武器を振るう。

相手が力尽きる、その時まで。


距離とったヘル。

溜め息と深呼吸の中間の様な吐息。


何かを諦め、何かを覚悟したのだろうか?


「!?」

ヘルが消えた。煙の様に消えた彼女。

どこにいるのか分からず後ろを向いたら、


手がリサの腹に触れるか触れないかギリギリの距離に手を置き、こう唱えた。


「[瞬劇]」

そう唱えた瞬間、言葉の意味、これは能力だと理解する前にリサは、廊下の端へとぶっ飛ばされた。


「ゴホッ!ゴホッ!おぇ……」

何が起こったかを全く理解できなかった。


彼女がリサに触れるギリギリに手を置き何かを唱えた時にとてつもない衝撃に襲われたのだ。


(わかる事と言えば……これがまだ本気じゃないという事だけ!)

もしあれを気軽に出せるなら近接戦闘がよりしんどくなった。


「本気…って訳ね…!」


「うん。まぁ…そう思ってくれて構わないよ。敬意を表するよ」

先程の衝撃の仕組みを理解し、対策して戦わなければ……『死』が笑顔で近づいてくるだろう。


焦りと緊張が今のリサに襲いかかったのであった。

ゆっくりとこちらに迫ってくるヘルを見つめながら───

遂に(epが)100話まで行きました。

ありがとうございます。

生々しい話、第三都市編に入ってから昔と比べて明らかにpvが増えてニヤニヤしています。

これもみなさんのお陰です。


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