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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第三章 なんでこんなめんどくさい事に…
68/70

女子ってころころ変わるな〜

満員電車辛い…

「お二人には、ミスコンテストに出ていただきたいと思います!」


ミスコンテスト。それは、本校で最も可愛い女子を決めるという、我が校の文化祭の伝統行事である。何故か可愛い子が集まるうちの学校ならではの催しだとか。まあ俺はこの学校の文化祭に初参加なので良くからんのだが。


「ちょ、ちょっと待って」

「どうしました?成瀬さん」

「ミスコンは毎年出場者集まるみたいだし、私達が出る必要はないんじゃないの?」


確かにそれはそうだ。毎年つつがなく行われてるのなら、二人が出なくたって問題はないだろう。


「確かに、参加者はある程度集まっていますし、人数的には問題ないでしょう」

「でしょ?なら別に出る必要は…」

「問題があるのは参加者の方です」

「何だ?今年はレベルが低いのか?」

「あんた…今出場者全員を敵に回したわよ…」

「今の発言は内緒な…」


流石に無神経すぎたな。発言には気をつけなければ。


「いえ。レベルは例年より少し高いくらいです」

「じゃあ何でだよ。益々分かんねーよ」

「……水無月先輩です…」

「あ〜…あの人出るのか…」

「な、なるほどね…」

「香織ちゃんが何かマズイのですか?」


別に水無月先輩が悪いという訳ではない。別にミスコンに出場するのは個人の自由だ。


マズイのは水無月先輩のあの芸能人顔負けの容姿だ。クラスでで一番可愛い子くらいじゃ、まず勝ち目はない。それ自体は問題ではないのだが…


「一番マズイのは、水無月先輩の為のコンテストになり得る、という事です。だよな藤宮」

「はい…。他の出場者の皆さんも大変可愛いのですが、それがむしろ仇となって、水無月先輩の引き立て役になってしまう恐れがあるので…」


引き立て役。折角出場したのに、たった一人に全てを持ってかれるなんて悔しいし、悲しいだろう。


「でもよ、二人が出場したところで、周りが引き立て役になっちまうんじゃねーのか?」


確かに水無月先輩の一強は崩れるだろうが、周りからしてみれば、自分より上が増える事はあまり好ましい事じゃないだろう。


「いえ。きっと大丈夫です」

「何でだ?」

「ぶっちゃけた話、今までのは全て建前で、水無月先輩の一強じゃ盛り上がらないと考えた大樹祭の上の方の方々が、何とか盛り上げてくれってのがほんとの理由です」

「なんで内部の情報を明かしちゃうんだよ…。明かしちゃマズイから別の理由をつけたんだろうが…」

「白峰さんが思ったより鋭かったので誤魔化すのが難しいと判断しました。何としても二人を引き入れろという事だったので、もういっそのこと本当の事を話した方がいいかと思いまして」

「俺を舐めすぎだろ…。あともうちょっとスマートなやり方をだな…」

「まあまあ、そんな事はどうでもいいんですよ!重要なのは、お二人に出場していただけるかどうかです!」


やっぱりこの子適当なんだよなぁ…。大丈夫かなぁ…。


まあ一人舞台になるよりは、評価も分散するし、他の人達にもワンチャン勝ち目が出てくるかもだし、悪い考えでは無いと思うが。


「あたしはあんまり出場したくないかな。めんどくさいの好きじゃないし」

「私は、人前に立つのがあまり得意ではないので…。それに、私なんかが出ても場違いかと…」


二人ともやはり渋ってるなぁ。しょうがないっちゃしょうがないが。つーか天使さんちょっと卑屈過ぎじゃない?もっと自分に自信持って!大丈夫!俺は大好きだよ!


「やはりお二人ともあまり乗り気ではない様ですね。そんなお二人に耳寄りの情報があります」

「何?そんな急にやりたくなるような物でもあるの?」

「一体どういった事なのでしょうか」

「気になりますか?気になりますよね!?」

「…やっぱり聞かなくてもいい気がしてきた…」

「ああぁ!ちょっと待ってください!教えますから!教えますからぁ!!」


藤宮は慌てて成瀬に寄り、耳打ちをする。周りにはあまり聞かれたくないような内容なのかな?


「…出場する…」

「はぁ!?」


なんで藤宮の話を聞いてやる気になってんだよ。あまりの掌返しにに晃くんついていけないよ…。


「何?なんか文句ある?」

「いや無いです…」


そうやって言葉で弾圧するのは良く無いと思います。言葉以外はもっと良く無いけど。


「天使さんはこちらをご覧ください」

「えっと…コンテストの募集ポスターですよね。…………!!!」


天使さんは何か発見したのか、目を大きく見開いて一点を凝視する。凄い可愛い驚き方だったなぁ…。


「やります!出場させてください!」

「えぇ!!?」


嘘だろ!?さっきまであんな渋ってた天使さんが何故いきなりやる気に!?あまりの豹変ぶりに晃くんついていけないよ…。


「お二人ならそう言っていただけると信じてました!では、上にお二人の出場の意思を伝えておきますね!では、私はこれで!」


そう言って、藤宮は図書室を出て行った。


「…えっと…なんで二人ともいきなりやる気に…?」


俺は二人に尋ねた。だってどうしても気になるんだもん仕方ないよね!


「いや、まあその…色々あるのよ…」

「そ、そう、ですね…色々あるんです…」


二人からの返答は、やはり俺に疑問を残すだけとなった。はぁ…気になる…


――――――――――――――――――――


ふぅ…もう12時か、結構長い時間ゲームやってたな。試験で疲れたし寝るか。


俺が布団に入ろうとした時、俺のスマホが鳴った。…知らない番号だ…。やっぱりどこかに俺の番号流出してんじゃねーか?


俺は恐る恐る電話に出る。


「もしも…」

「もしもし?晃くん?明日暇?暇でしょ?暇だよね。というわけで明日モールの噴水前に10時に集合ね♪遅れたらわかってるよね〜。それじゃ!」

「え?え?ちょっ…」ブツッ


…………一体何だったんだ…?


こんにちは、私です。先ずは謝辞から。読者の皆さん、本当にありがとうございます。三ヶ月もお待たせしてしまったのに、感想で「待ってた」「お帰り」など、大変温かいお言葉、大変嬉しかったです。佳ちゃん泣きそうです…。重ね重ね本当にありがとうございます。

次話分はほぼ書き終えているので、今週中には投稿します。

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