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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第三章 なんでこんなめんどくさい事に…
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コイツハナニヲイッテイルンダ?

『クラスリーダーも決まったし、こっからはクラスリーダーに仕切ってもらうからな。頼んだぞ』


相変わらずの丸投げだなぁ。まあもういいけど。


俺を含めクラスリーダー四人は、前に出る。話し合いの結果、司会は俺、黒板は成瀬と平沢、書記は桐島となった。なんで俺が司会を…。確かに平沢には任せられないけどさ…。成瀬がやればいいじゃん…


「それじゃあまずはクラス企画について決めたいと思います。やりたい物がある人いますか?」

「はい!」


俺が声を掛けると、一際大きな声で、仁美が手を上げた。


「はい仁美、どうぞ」

「カフェやりたい!」


カフェ〜ですか。定番ですね。


「はい」


それを聞いてからなのか、鈴井が静かに手を上げた。


「はい鈴井」

「ただのカフェじゃあ面白味もないでしょうし、コスプレ喫茶はどうかしら」


それあなたがやりたいだけじゃないですかね…。まあ鈴井の意見にも一理ある。コスプレは目立つし人を集めやすいだろう。


『私もいい?』

「はいどうぞ」

『メイド喫茶とかもいいんじゃない?』


メイド喫茶、コスプレ喫茶に比べると、インパクトに欠けるな。でも、衣装も借りやすいし、企画としてはやりやすい。


「はい!」

「荒川か、どうぞ」

「お化け屋敷とか!」

「却下」

「なんで!?」


お化け屋敷とか、俺を殺す気ですか?


しかし、成瀬には俺の声が届かなかったのか、黒板にお化け屋敷と書いていた。頼むから消してくれよぅ…


「他に意見は?」


聞くが、誰も手を上げない。え?意見これだけ?


「じゃああたしから一ついい?」

「ああ、いいぞ」

「演劇やりたいなって思うんだけど、どうかな」


やっぱりね。どんだけやりたいんだろう。


「いいんじゃないかしら。晃ちゃんが主演の面白い劇になりそうね」

「はいそこ。人を勝手に主役に、しかも女装をさせない」

「ついでにうさ耳とかもつけたら良さそうじゃない?」

「成瀬も乗らないで。ほんとにさせられちゃうから」


俺のバニーガールの女装とか死人が出るぞ。流石に本気では言ってないと思うが。本気じゃないよね?ね?


「演劇やるのはいいんだけどよ。内容とかってのは決まってんのか?」


先程まで静かだった健が、唐突に声を上げる。というか、健にしては大人しかったり、かと思えば核心をついてきたり、様子がおかしい。


「いや…まだ、だけど…」


成瀬の語気がどんどん弱くなっていく。このままだと演劇が潰されるかもしれん。


しかし、なんで健はこんな事を?演劇をそんなにやりたくないのか?だとしても、こんなやり方は健らしくない。どういう事だ?


そんな俺の思考をよそに、健は更なる追い打ちのために口を開く。ちょ、まっ…



「じゃあよ、俺に脚本とか台本とか任せてくれないか?」



『『『…………は?』』』



ん?健は何を言ったんだ?いまいち理解出来なかったんだが。


「俺前から監督みたいなのやってみたかったんだよ。な?いいだろ?」


コイツハナニヲイッテイルンダ?俺の足りない頭では、健の言っている事がいまいち理解出来ない。何?こいつが演劇仕切るの?イミワカンナイ。


「え、えっと…。大丈夫なの?」

「任せろ!俺が最高に面白い劇にしてやるぜ!」

「じゃ、じゃあ、灰田にお願いしようかな…」

「やったぜ!俺が最高の台本を書いてやるから、皆待ってろ!」


俺が今の状況を頭の中で整理している間に、あれよあれよという間に健監督が誕生していた。あの、健君?まだ演劇やるって決まった訳じゃないですからね?つーか、さっきまで静かだったのって、これを言うタイミングを伺ってたんですかね…


「えっと…、じゃあ他にやりたい物がある人いますか?」


聞いてみたが、誰も手を上げない。


「じゃあ、この中から決めようと思うのですが、多数決でいいですか?」


反論の声は上がらず、皆顔を見合わせ軽く頷く。大丈夫みたいですね。


「じゃあまず、普通のカフェをやりたい人」


誰も手を上げない。意外だな。オーソドックスな分やりやすいと思っていたが。


「次、コスプレ喫茶やりたい人」


鈴井とその他女子二人が手を上げる。鈴井さん…やる気満々ですね…。ちなみに俺も一票入れてます。


「次、メイド喫茶」


十人が手を上げた。意外な事に、半数が女子だった。メイド服に憧れとかあるのかしら。


「じゃあ最後に、演劇」

「ちょっと!お化け屋敷は!?」


チッ…。気付かれたか…。


「じゃあお化け屋敷…」

「なんであからさまにテンション下がってんの…」


やりたくねぇんだもん。しかし、俺の思いとは裏腹に十三人が手を上げる。うわぁ…地獄だ…


「で、最後、演劇」


十四人が手を上げた。成瀬を入れて十五人か。よっしゃ!お化け屋敷回避!


「演劇が多いみたいなんで、演劇という事になりますけど、いいですかね?」


反論は上がらない。意外だ。お化け屋敷勢が立ち上がるかと思ったが。俺としては大変ありがたい事なんですがね。


「じゃあまだ少し時間もありますし、演目も少し話し合いたいと思います。何かやりたい話とかってありますか?」


ちらほらと手が上がる。結構皆やる気なんですね。


「じゃあ廊下側から順番に聞いていきたいと思います。相坂、よろ」

「羅生門はどうだ?」

「演劇向きでないので却下」

「そ、そうか…」


誰が好き好んで犯罪まがいの事が書かれてる小説をやるんですかね…


「じゃあ斜陽は?」

「鬱になるのでNG」

「そ、そうか…」


暗い。演劇向きじゃない。パス。


「では走れメロス」

「まあそれくらいなら」


暑苦しい作品だが、演劇向きではある。それなりに面白くなるだろう。


メロス《セリヌン!》

セリたそ《メロス!》

王ちゃま《俺も仲間に入れてくれよぉ》


やっぱりつまらなそうだな…


「はい次の人〜」

『シンデレラ』


はい定番。面食い王子の話ね。たまに、シンデレラが可愛くなかったら幸せになれなかったって言う人いるけどさ、魔女が可愛く整形してくれると思うんだよね。王子がB線だったら?魔女がなんとかしてくれるって。多分。


「はい次」

『ロミオとジュリエット』


またまた定番。悲劇の王道ですね。皆死ぬしかないじゃない!でも私、意外と悲劇嫌いじゃないのねん。ただNTRもんは好きじゃない。純愛こそ正義。言ってて気持ち悪いっすね。


「じゃあ次」

『白雪姫』


ああこれね、定番。俺めっちゃ嫌いだけど。もし万が一王子が不細工だったら、白雪姫は目を覚ました瞬間また深い眠りに就くと思のよ。シンデレラはまだ双方の合意があるけど、白雪姫の場合明らかな王子の独断だから、なんかあったらどうするつもりだったんだろう。


「はい最後の人」

『かぐや姫』


珍しい物が出たな。これも一種の悲劇なのだが。アレンジも加えやすいし、意外と面白くなるかもしれん。というか、かぐや姫は不老不死の薬を残して行ったんだけど、おじいさんの場合、おじいさんのままで永遠に生きなきゃいけないんだから、超地獄だよね。なんでよりによってその薬を置いてったんだろう。月の美味いもんとかの方が良かったと思います。


「他に、やりたい物ある人は?」


手が上がらない。まあこれだけあれば、十分だろう。


「健。どれがいい?」

「うーん。そうだな。今度の話し合いまでに、それぞれの話のあらすじをまとめてくっから、それを見て決めてくれ」

「お、そうか。随分やる気だな」

「やるからには本気でやらんとな」


流石健、頼もしいぜ。

灰田 健の、初監督作品は、果たしてどのようになってしまうのか。灰田先生の次回作にご期待ください。


「まだなんも始まってねーよ!」


お前もエスパーかよ…


少し間が空いてしまって申し訳ありません。ちょっとリアルが忙しかったんで…

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