俺の周りには何故か頭のいい奴が多い
ちょっと長めです。勢いに任せて書いていたら、思ったより長くなりました。スマソ…
SHRが終わり放課後、今日は部活がないので教室でだべっている。
「いやー、演劇になって良かったわ」
「お前そんなにやりたかったんか?」
「おう。なんか監督ってかっこいいだろ?」
「いや知らねーよ」
お前の場合、裏方より演者だろ見た目的に。
「主演は勿論俺だよな!?」
「それだけは絶対にない」
「平沢は木Bって決まってるぞ」
「自惚れるな木偶が」
「そこまで言われるほど!?」
だって平沢だしなぁ。主演やらせたら演劇どころか文化祭まるごと潰しそう。
「それよりあなたたちは、中間試験の心配をしたらどうなのかしら?」
「中間試験?いつだっけか」
「健、おまっ…来週だぞ…」
「え?マジ?やべー、勉強しなきゃ」
やべぇなこいつ。試験の日取りすら把握してなかったのかよ…
中間試験は、来週の木金で行われる。というか、明日から試験前だから部活ないはずなんだが、それすら気付いてなかったのか…?
「晃くん。あなたも人の心配している余裕あるのかしら?」
「失礼な!赤点だけは取らんぞ!」
「志が低すぎる…」
呆れたようにこめかみを押さえる鈴井。赤点取らなきゃ別にいいでしょ。ね?
「あんた見るからに勉強出来なさそうだもんね」
話を聞いていたのか、横から成瀬が入ってくる。荒川や仁美も一緒だ。
「うるせー。言っとくが、多分お前より成績いいぞ」
「へー。じゃあ一学期の期末、何位だった?」
「86位だ」
「63位。あたしの勝ち」
「…………」
「だっせー晃!自信満々に挑んどいてぼろ負けじゃん!」
成瀬は勝ち誇った顔してるし、健はめっちゃ笑ってくるし、あーもう色々とムカつく!というか健よ…。お前は人のことを笑っている場合なのか…?
「灰田くん、そういうあなたは何位だったのかしら」
「俺か?221位だ」
「あなた…進級出来るの…?」
うちの学年は確か合計で236人だったはずだから、相当まずい順位だ。マジで大丈夫かなこいつ。
しかし、そんな健の順位を聞いても尚、暗い顔をしているのが二人。
「わ、私、207位だった…。灰田くんの事笑えない…」
「あはは〜、私も192位だったし、ちょっとまずいかも…」
仁美と荒川も結構ヤバい位置にいるな。仁美が勉強できないのは知っていたが、荒川もとは…
「じゃあ鈴井、お前は何位だったんだ?」
「2位よ」
「すげーな…」
頭良さそうとは思っていたが、改めて聞くとやっぱ凄いんだなぁ。
「でも1位にはなれた事ないわ。1位は恐らく全教科満点ね。ほんと、誰なのかしら」
「あ、それ俺」(←平沢)
『『『…………は?』』』
クラスに残っていた全員が平沢の方を向いた。今こいつ何言ったの?俺の聞き間違いじゃなければ、俺だとかなんとか聞こえた気がするんだが。
「何だよお前ら。信用してないのか〜?」
誰も信用してるわけねーだろこんちくしょう。
「う、嘘、よね…?あ、あなたが全教科満点の1位なんて…」
鈴井、めっちゃ声震えてるぞ。それくらいショックだったんだな。気持ちは分からんが。
「嘘じゃねーって。証拠見せてやろうか?」
そう言って、平沢は自分のカバンを漁る。取り出したのは、一枚の少しシワのよった紙切れだ。恐らく、一学期の期末試験の個票だろう。つーかまだ持ってたのかよ。整理整頓がなってないって鈴井に言われんぞ。
「見ていいぜ。どうせいらないやつだし」
「み、見させてもらうわね」
鈴井は震えた手で個票を受け取る。どんだけダメージ食らってんだよ。
「う、嘘…でしょ…」
「え?ちょ、れい、見せて」
「何々?そんなに凄いの?」
「まさか〜、平沢くんがあり得ないって」
紙を見るなり、三人の顔が途端に驚愕の表情となる。
「信じられない…なんでこんな奴が…」
「嘘…こんなの嘘だよ…」
「これ…近いうちに地球爆発するんじゃ…」
酷い言い様だな。さっきから平沢が泣きそうな顔してるし。可哀想だからこれ以上言わないであげて。
しかし、あの平沢がほんとに頭いいのか?詳しい奴に聞いてみるか。
「なあ相坂。平沢ってほんとに1位なのか?カンニングとかしてないのか?」
「お前もなかなかな言い草だな…。あいつは昔から勉強が出来るんだ。テストとかは満点以外見たことない。一切勉強はしないんだがな…」
あの野郎、ただの天才じゃねーか…
『平沢って勉強出来るんだ。超意外』
『あんなバカっぽいのに。でもちょっと見直したかも』
『運動も出来て頭もいいって、実は平沢って結構いい男?』
思わぬところで評価が上がってるぞ平沢。狙っては打てないのに、何もしてないのにホームランを打ってるぞ平沢。
「別に勉強出来ても全然いい事ねーよ。それより、スタメンを守る事の方がよっぽど大事だ」
あ、バカ。それ言ったら…
『何今の。超ムカつく』
『勉強出来ても、中身があれじゃねぇ』
『やっぱ平沢は無いわ〜』
やっぱり平沢はバカだった。なんであんな事言ったんですかね…。折角モテるチャンスだったのに…
「ところで、相坂は何位なんだ?」
「16位だ」
「お前もお前ですげーな」
「大した事ないさ」
そう言って、相坂は顔を逸らす。照れてるのかしら。拓海くんかーわい!…気持ち悪…
しかし俺の周りには頭のいい奴が多いな。確か勝樹も30位とかそこらだったし。何でかしら。
「そうだ。皆で勉強会しねえ?」
「勉強会?いきなりどうした?頭がおかしくなったか?」
「あなたも人の事言えないでしょう」
健と同類にされてしまった。解せぬ。
「で、勉強会って何だよ」
「いやな、このままじゃ、俺と新津さんと荒川は成績不振で色々とまずい訳だ」
「まあそうだな。赤点取ると補習だもんな」
「補習なんて出てたら、部活に迷惑を掛けてしまう。そこでだ!俺達に勉強を教えてくれ!土日、お前も勉強するだろ!な!?」
「嫌だよ」
「何故だ!?」
「晃ひどい!」
「私達を見捨てる気!?」
三人が目を見開いて責めて来る。皆さん必死ですね…
「俺だって自分の勉強したいんだよ。お前らにばっか構ってる暇ない」
「あなたが勉強なんて、天地がひっくり返りそうね」
「勉強するだけで何でそこまで言われなきゃいけないんだよ…」
俺ってそんなに勉強出来なさそう?
「じゃあれいちゃんにお願いする」
「いや鈴井が引き受けてくれる訳ないだろ。『勉強は一人でやる物よ。他人に頼ろうなんて浅ましいわ』とか言って断られるのが関の山だぞ」
「あなたが私をどう思ってるのか良く分かったわ」
「申し訳ありませんでした」
めっちゃ低くて冷たい声で言われ、反射的に謝ってしまった。だって怖いんだもん…
「玲華ちゃん。勉強、教えてもらえる?」
「お願いれいちゃん!このままじゃ私達、赤点になっちゃう!」
いやそんなに頼み込んでもな。鈴井だからなぁ…
「分かったわ。私で良ければ協力するわ」
「はぁ!?嘘だろ!?」
「晃くん。覚悟、出来てるわよね?」
あ、やべ。俺死んだわ。
「ありがとー!玲華ちゃんがいれば百人りょくだよ!」
「正しくは百人力よ。やっぱりちゃんと勉強を教えないとダメ見たいね…」
呆れた様にこめかみを押さえる。仁美のバカは筋金入りだからなぁ…
しっかし鈴井が勉強を教えてくれるのか…。なんというか…すげー…羨ましい…
「何かしら晃くん。さっきから私の事をチラチラ見て。私の事が好きなのかしら?」
「だからそれ俺のだって。いや学年2位に教えてもらえる三人が羨ましいと思ってな」
「友人からの頼みを断っといて、あなたは恩恵に縋ろうというの?呆れるほど自分勝手で性欲が強いのね」
「性欲はどっから出てきたんだよ…」
「え?あなたは私に罵られながら勉強を教わる事で快感を得ようとしているのではないの?」
「俺はドMの変態じゃない!」
「なるほど。勉強と託けて一対一になったタイミングを狙って襲おうというのね。流石、性欲の権化だわ…」
「どんどん俺が変態にされていく…」
俺ってそんなに変態に見える?全然自覚ないんだけど。
「でもそうね。あなたがどうしても、私に勉強を教えてもらいたいと言うのならば、考えてあげなくもないわ」
「え?それマジ?」
ラッキー。ついでとはいえ、鈴井に勉強を教えてもらえるとは。三人に感謝しなきゃ。というか鈴井さん、勉強の事となると結構甘いですね。
「あなたが私にちゃんと頭を下げて、『どうしても鈴井様のお力が必要なんです。是非とも、私めに鈴井様の知恵をお授けください』と言うのならね」
「え?それマジ…?」
全然甘くねぇ…。何故こいつは俺のプライドとか心とかとことんまで潰して来るんだろう…
しかし、ここで勉強を教わるチャンスをみすみす逃すのも惜しい。ここは…
「ど、どうしても鈴井様のお力が必要なんです。どうか、私めに鈴井様の知恵をお授けください」
俺は鈴井の前に立ち、深々と頭を下げる。皆が見ている前で。思った以上に屈辱だなこれ…。やらなきゃ良かった…
「ふふっ。良い子ね。素直な子は好きよ」
そう言って、鈴井は俺の頭を撫でてくる。クソ…子供扱いしやがって…
「その代わり、あなたもちゃんと三人に勉強を教える事。出来るわよね?」
「ああ、まあ出来る範囲でやる」
このくらいは仕方ないか。鈴井にばっかり負担を掛ける訳にはいかないしな。
「あ、れい。私にも勉強教えてくれない?私も手伝うからさ」
ほう、成瀬も鈴井に教わりたいと。まあ気持ちはすごく分かる。
「恵さんは十分成績が取れている事だし、教わる必要は無いと思うのだけれど」
「成績は少しでも良いに越した事はないでしょ。晃にも負けたくないしさ」
「…分かったわ。その代わり、ちゃんと手伝ってもらうわね」
「勿論。私も、ちゃんと教わりたいから、覚悟しといて」
なーんでこの二人は、会話するたび一触即発みたいな空気になるんですかね…。怖いなぁ…とずまりすとふぉー…
「二人はどうする?俺的には参加してもらえると助かるんだが」
健が平沢と相坂に尋ねる。俺としても、勉強が出来る二人が来てくれるなら大助かりだが…
「悪りぃ。俺、勉強したくないんだわ。あと他人に教えるのも自信ない」
後者の理由はいいとして、前者はマジでぶん殴りたくなるな。
「俺もパスだ。土日は予定がある」
相坂もダメか。まあ予定があるのなら仕方ないか。
「そうだ!勝樹も誘っていい?」
「ん?あ、ああ、勝樹ね」
勝樹かぁ…。やっぱり名前出るよねぇ…。俺としては勝樹を誘うのは大歓迎なんだが…
「いいんじゃねーか?一人くらい増えたってそんな変わらねーしな」
「…いいのか?」
「別に俺はかまわねーぜ」
「そ、そうか。他の皆は?」
「あたしは特に」
「私も大丈夫よ」
「教えてくれる人は多い方がいいよ!」
否定的な声はない。まあ勝樹はいい奴だし当然か。
「まあ、反対する奴いないしいいんじゃないか?」
「やった!じゃあ勝樹に伝えてくる!」
仁美は元気良く教室を出て行った。…何事も無い事を祈ろう…
「で、どこでやるの?」
一番肝心な事を忘れてるじゃないですかやだー。どこでやるかなんて初めに決めるべき事だよね…。
「図書館は?」
「少しうるさくしてしまうかもしれないからやめといた方がいいわね」
「ファミレス」
「他のお客さんの迷惑になっちゃうかもでしょ」
「学校」
「テスト期間中は、問題の流出を防ぐ為に、土日は原則校内立ち入り禁止でしょう。忘れたの?」
ことごとくダメだな。マジでどうしようか。
「誰かの家はどうだ?」
うーん。やっぱりそれしかないよなぁ…。でもその人の家に迷惑かかっちゃうし…
「うちなら大丈夫って人はいるか?」
「私のうちはマンションだから、勉強するには少し狭いかもしれないわ。来る分には構わないのだけれど、勉強に適した環境とは言えないわ」
「そうか。まあ他が皆ダメだった時の最終手段ということで」
「そうね。お役に立てなくてごめんなさい」
別に鈴井が悪い訳じゃないし、いいんだけどな。
「私のうちはダメかな。お兄ちゃんもお姉ちゃんもいるし」
「ほののお兄さん、ちょっとあれなとこあるしね…」
あれってなんだ?めっちゃ気になる。まあ深くは聞かない方がいいかな。
「健のうち…はちっちゃいのがいるから無理か…」
「そうだな。勉強の邪魔するかもしれんし」
それに俺の事もあるしなぁ…
「ちっちゃいのって?」
「ん?ああ。うち、小四と小二の妹がいるんだよ」
「結構年離れてるんだね」
「晃くんが間違いを起こすかもしれないし、避けるべきね」
「誰がロリコンだ誰が」
俺は断じてロリコンではない。守備範囲は中学生から大学生までだ。
ん?でも中学生もロリの対象になるんだよな?俺ロリコンじゃん…
「成瀬の家はどうだ?」
「え?あたしんち?ダメダメ!絶対ダメ!」
「必死だな。なんでだ?」
「えーっと…とにかくダメ!」
「恵さん。理由になってないわ」
「うぅぅ…」
何をそんなに必死になって拒否するのだろう。めっちゃ気になるな。
「成瀬。ダメな理由を、ちゃんと、言ってくれないと。俺たち納得できねーぞ」
「恵さん。ちゃんと教えてもらえる?」
「うぅぅぅぅ…」
どんどん成瀬がしおらしくなっていく。めっちゃ可愛い。ずっとこうしてればいいのに。いや、それじゃあ成瀬じゃないな。
しばらく経ち、成瀬は諦めたのか、話し始める。
「…えーっと…うち、妹がいてね…」
「へー。いくつだ?」
「…中二…」
「全然障害になりそうではないんだが…なんでダメなんだ?」
「妹と、あんたを会わせたくない…」
「あー…なるほど…」
「それは…確かにそうね…」
「いやなんだよ。俺全然分からないんだが」
健も同じく分かっていないようで、頭に『?』が浮かんでいる。なーんで女子の皆さんはわかるんですかねぇ…
「そ、そういう訳で、あたしんちはダメだから」
「そ、そうか」
強引に押し切られてしまった。なんか納得いかないです。
しかし弱ったな。これじゃあ勉強会が出来そうにないな。何か他にいい案は…
「晃の家じゃダメなの?」
順番的にくるよねぇ…。上手く躱したかったんだけど…
「お、俺んちもダメだ」
「なんで?一人暮らしでしょ?」
「あ、姉貴が来てんだよ」
「事情を話せば大丈夫だと思うのだけど」
「うちの姉貴、話を聞くような人じゃないんだよ」
すまん姉貴。俺の為に泥を被ってくれ。
「そう…。なら仕方ないわね。それじゃあ私の家ということで」
ガラッ!「勝樹来るって!」
おい仁美、変なタイミングで入ってくるんじゃねぇ。勝樹ともっとイチャイチャしてろ。
「あ、仁美さん。勉強会はうちでする事になったわ。少し狭いと思うけど、他に場所もないから」
「え?晃の家じゃないの?」
バカ。変な事言うな。
「晃くんのお姉さんがいるみたいで、都合が悪いみたい」
「え?サーシャさん、留学してていないじゃん」
「ばっ!おまっ!何バラしてんだ!」
「晃〜。自分の家が嫌だからって、嘘は良くないんじゃないの?」
「嘘をつく悪い子にはお仕置きが必要ね」
なーんで仁美さんは空気を読まずにバラしちゃうんですかね…。おかげで俺が死んだんだが…
「ちょっと待って。仁美ちゃん、さっきなんか変な事言わなかった?」
「え?留学してていないって事?」
「ううん。その前。なんか聞き慣れない言葉が聞こえたような気がしたから」
「サーシャさん?」
「そうそれ!まさかとは思うけどそれって…」
「晃のお姉さんの名前だよ?」
「「「…………え!?」」」
その場にいた殆どの人が俺の方を向く。まあ無理もないよね…
「晃…あんたハーフだったの…?」
「晃くん。いくら姉が欲しいからって、外国人女性に手を出すのは如何なものかと…」
「確かにちょっとカッコいいなとは思ってたけど、まさかハーフなんて…」
「晃…なんで俺にもっと早く言ってくれないんだ…」
皆さんなんか勘違いをしているようで…。というか鈴井だけベクトルおかしくね?
「待て待て、俺はハーフじゃねえ。純粋な日本人だ」
「ならやはり外国人女性に手を出したのね…」
「手を出してねーよ。俺を犯罪者にするな」
「ならあなたの妄想?流石に仁美さんまで巻き込むのは…」
「妄想でもねえ!実在するわ!」
俺を何だと思ってやがる。まるで妄想癖のある重度の変態じゃないか。
「じゃあなんで外国人の名前のお姉さんがいるの?まさかキラキラネーム?」
「俺は普通の名前だろ…。なんで姉貴だけキラキラネームなんだよ…」
「じゃあなんで?」
はぁ…。まあ別に隠すほどの事でもないし、普通に話すか。
「親父の再婚相手の連れ子なんだよ。親父、何故か外国人女性と再婚しやがった」
「え?じゃあお姉さんは外国人なの?」
「いや、日本とイギリスのハーフ。親父の再婚相手…母さんの元旦那が日本人だったらしい」
「へー。なんかちょっと複雑だね」
ソーナノ。複雑ナノ。理解してもらえたかな。
「もういいだろ。この話は勉強と関係ないし」
「そうね。では場所を決めましょうか」
「晃の家じゃないの?」
「やだな〜。鈴井の家でいいじゃん」
「我儘言わない!勉強するのに一番良い所は晃の家なんだから!」
「はぁ…。俺んちか…」
「じゃあ決定ね」
あれ?丘People?なんでこうなるの?
はぁ…。なんで俺んちなんだよ…。別に見られたら困るもんなんてないんだが…。なんとなく、嫌じゃない…?掃除すとこ…




