俺ってそんなにめんどくさい奴かなぁ…
三章開幕です。シリアス要素は少なめになると思います。
「晃。大樹祭、何やるか決めたか?」
「ん?ああ。決めるの今日だっけか」
大樹祭とは、うちの学校の文化祭の事だ。この学校ってネーミングセンスがあまりよろしく無い気がする。
毎年、十一月中頃に行われるイベントで、まあ、いろんな事をやる。
「何やるっつってもな…。特に目立つ様な事意外ならなんでもいい」
「じゃあ俺とステージで漫才だな!」
「話聞いてた?俺目立つのやだって言ったよね?」
健君は人のお話を聞けないのでしょうか。
「じゃあ俺と一緒にステージで歌おうぜ!新生デュオだ!」
「お前も話聞いてた?目立ちたくないって言ってんだけど」
こいつら…人の話を聞く気なさ過ぎかよ…
「つーか、お前の場合、相坂に頼んだ方がいいんじゃないか?」
「拓海にはさっき断られた」
「ですよね〜」
相坂も俺と同じで、あまり目立ちたくない側だからな。
「つーか、お前は健と組めよ。目立ちたい者同士ちょうどいいだろ」
「ふっふっふ…分かってないなぁ白峰は」
「なんかその態度すげームカつくんですけど」
「灰田は好感度が上がり切っている。そのため、これ以上上がる事は見込めない」
「うん。まあそうだな」
「しかし白峰!お前はどうだ!?今正に向上中ではないか!」
「いや知らねーよ」
まあ確かに、体育祭以来声掛けられる事は格段に増えたけど。
「つまりだ!好感度向上中のお前が隣にいれば、横にいる俺も恩恵が受けられるのでは!?って事だ!」
「なるほど。考えなしって事ではないみたいだな」
「そうだ!お前が必要なんだ!というわけで一緒にやろうぜ!」
「絶対やだ」
「なんで!?」
「いやだって、俺に損しかないし」
「そこをなんとか!俺とお前の仲だろ!」
「無理な物は無理」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
平沢は突然、頭を抱えて暴れ出した。怖いなぁ…関わらんとこ…
「あんたほんとに何も決めてないの?」
話を聞いていたのか、隣から成瀬が話しかけてくる。
「ああ。まあ、なる様になるさ」
「ふーん…。じゃあさ、演劇やらない?」
「お話聞いてた?目立つのはやだって何度言えばいいの?」
木Bの役とかだったら目立たないからいいんだけど、だったらわざわざこうやって誘ってこないだろうしなぁ…
「ステージでやるのじゃなくて、クラスの方の企画。やる事ないならどうかなって」
なるほど。そういう事か。
体育館のステージでやる有志の企画とは別に、それぞれのクラスで何か一つ企画をやる事になっている。どうやら、成瀬はそれで演劇をやりたいみたいだ。
「お前が演劇なんて、意外だな」
「ん、まあちょっと…興味があってね…」
ほーん。よく分からん。まあ深く突っ込む必要もないか。
「まあ別に、直ぐに結論出せって訳じゃないから。頭の隅っこにでも置いといて」
「ん、ああ、分かった」
最近思うんだが、成瀬って結構気遣い上手だよな。どんどん成瀬について詳しくなってる気がする。
まあ少しだけ考えとくか。別に主演やれって訳じゃないみたいだし。
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『それじゃあ大樹祭のクラスリーダー決めるぞ〜。男女二人ずつだ。誰かやりたい奴はいるか〜』
福田のやる気のない声が響く。
クラスリーダー、クラスの企画などを取りまとめる役割だ。クラス単位での仕事のみなので、実行委員程は仕事は多くない。
『はい!俺やります!』
『お、平沢か。積極的だな』
真っ先に平沢が手を上げたか。あいつの馬鹿正直な主張に、あちこちから忍び笑いが起こってる。かくゆう俺も、バカだなぁと思っております。
『他にはいるか〜?』
『じゃ、じゃあ、私、やります』
『お、桐島か。珍しいな』
桐島?なんで?
「桐島、なんでクラスリーダーを?」
「う、うん。それなんだけど、ちょっと、自分を変えたいなって」
「変えたい?」
「体育祭で、私、皆に迷惑かけちゃったよね…。それは私が、緊張に負けちゃったからで、それを、変えたいなって」
「あー、そういう事ね」
別にあの時の事は気にしなくてもいいんだが。でも自分を変えたいという事は俺も応援したい。
「それに、…………くんと……にな……かっ…し…」
だからその話し方止めてくれないかな。皆さん一度《話し方が全て》って本を読んだ方がいいですよ。
『他〜、あと男女一人ずつ、誰かいないか〜』
福田が声を掛けるが、誰も手を上げない。まあしょうがないか。
そもそも、クラスリーダーというめんどくさい役回りを進んでやる奴なんて、ウェイ系のリア充か、平沢みたいなバカしかいないだろう。桐島の様な例外もいるが、ごく一部だ。
残念ながら、うちのクラスにはウェイ系のリア充はいない。バカはもう一人、健がいるが、今回は何故か渋っているようだ。
その上、男子には平沢の手綱を握るという、面倒な仕事があるため、誰もやりたがらないだろう。女子にも、平沢が飛び火するかもしれん。平沢は爆弾かよ…
こんな時、頼れる奴がいるんだが…。
俺は相坂に、平沢をなんとかしてくれ、という念を込めて視線を送る。それに気付いたのか、相坂は此方を向き、胸の前でバツを作る。分かってたよ…。お前が薄情な奴って事はな…
このままじゃいつまで経っても決まらない。最悪、クジ引きという手もあるが、平沢を制御できる奴じゃないとその後の話し合いが進まない可能性があるな。
そうなると…仕方ねえ…
「俺やります」
『お、白峰か。助かる』
ほんとはやる気なかったんだけど、その後がよりめんどくさそうだからな。被害を最小限にとどめるのが先決だ。
さて、後はもう一人の女子だが、荒川とか仁美とかやってくれねーかな…
『女子あと一人、やってくれる奴はいるか〜』
すると、俺の隣の席の奴が手を上げた。
『お、成瀬か。これまた珍しいな』
ファッ!?成瀬が!?嘘だろ!?ありえねぇ!
「お、お前、ほんとに成瀬か?」
「ちょっと、それどういう意味?」
めっちゃ睨まれた。超怖い…
「いや、お前がやるなんて珍しいなと思ってな」
「あんたと平沢の組み合わせなんて、もう一人の女子の子が可哀想でしょ。だから仕方なく」
「そ、そうか。俺そんな風に見られてたなんてショックだよ…」
俺ってそんなに面倒そうかな…。これから行動とか気をつけなきゃ…
「そういう訳だから。よろしく」
「お、おう、よろしく」
成瀬とか…。色々と仕事押し付けられそう…。まあよく話す相手だし、知らない人じゃなかった分、凄く助かるんですけどね。




