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天使と回転寿司 後編

じゃんじゃん天使さんを推していくよ!

あとついでに成瀬も

部活が終わり、俺、成瀬、天使さんの三人で、回転寿司店に来た。

健は部活が少し長引くようで、俺達三人で先に食べてて欲しいとの事だ。もちろん券は貰って来た。


店の中に入ると、天使さんが一際目を輝かせていた。


「ほわぁぁ…。ほんとにお寿司が回っています…」


回転寿司来て感心している人初めて見たよ。というか、うん。凄く可愛い。ちょっと額に入れて飾っておきたいくらい可愛い。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

「四人です。一人後から来ます」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」


店員さんに案内され、テーブル席に座る。


「回ってます!お寿司が!くるくる〜って!」


目を爛々と輝かせかなり興奮している天使さん。楽しんでいただけて良かった。

というか、凄い子供っぽいな。意外な一面だ。可愛過ぎてヤバみがヤバい。


「これ、取っていいんですか?」

「あ、うん。大丈夫ですよ。好きな物があったら、どんどん取っちゃってください」

「分かりました」


天使さんは、流れて来たまぐろを取る。醤油をつけそれを食べた。


「ん〜〜!美味しいです」

「お口に合ったみたいで良かった」

「そういえば、見慣れない物がありますね。この蛇口みたいな物は何ですか?」


お、SNSとかでボケとしてよくある質問だ。やっぱりジョークを言った方がいいよな。


「これはですね、この黒い所を押すと水が出てきて、手を洗う事ができるんですよ」

「そうなんですね。手で食べる人の事を考えていて、とても親切ですね」


そう言って、手を伸ばす天使さん。え?ちょっ、マジ?高温注意って書いてあるの見えないの!?


「天使さんダメです!晃が嘘を教えてます!ほんとはここから熱い熱湯が出てくるから、火傷しちゃいますよ!」

「え?あ、そうなんですか?」

「そうですよ。もう少しで晃の悪巧みに嵌まる所でした」

「白峰くん、騙しましたね!」


そう言って、天使さんは俺の事を睨んで来る。怖いどころかめちゃくちゃ可愛くて、永久保存したい。


「すいません。ちょっとからかってみたくなっちゃいまして」

「晃。嘘は教えないで。ちゃんとほんとの事教えてあげて」

「ほんとは魚を湯引きする為の物なんですよ」

「へぇ。湯引きなんて出来るんですね。最近のお寿司屋さんは凄いです」

「流石にその嘘は初めて聞いたんだけど。どっから仕入れてくるの?」

「え?嘘なんですか?」


天使さん何でも信じちゃうな〜。将来詐欺に掛からないか心配だ。


「もう!白峰くん!ちゃんと本当の事を教えてください!」


怒る天使さん(めちゃくちゃ可愛い)。そろそろ本当の事を教えてあげよう。


「すいません。次はちゃんと教えます。実際に使ってみるので、ちょっと見ててください」


湯呑を取り、抹茶を入れて、蛇口みたいな物でお湯を入れる。ところでこれの名前なんだろう…


「このように、あがりを作る事が出来ます」

「なるほど。各テーブルで簡単にお茶が作れるんですね。凄いです」


なんだろう…。俺が褒められてる訳じゃないのに…。凄い…幸福感…


「このモニターは、何に使うんでしょうか」


天使さんが、備え付けられているモニターを指差す。


「これは厨房と繋がっていて、このモニターで選んで注文出来るんです。なんか食べたい物ありますか?」

「じゃあいくらをお願いします」

「あたしはえんがわで」

「渋いなお前…」

「…いいでしょ別に…」


少し目を逸らしながら言う。いいと思うよ?俺も好きだし。ただ女の子が食べる物じゃないなって。


俺ははまちを注文する。しばらくすると、注文した物が流れてきた。


「なんか特別なお皿に乗って流れてきましたね」

「注文した物って分かる様にしてるんですよ」

「でもこれじゃあ私達が注文した物って分からないです」

「大丈夫ですよ。お知らせしてくれますから」


《まもなく、ご注文いただきました商品が、到着いたします》


モニターにネタが表示され、アナウンスが流れる。


「なるほど。こうやって知らせてくれるんですね。凄いです」


よく考えると凄い技術だよな。どうやって管理してるんだろ。


「たまにいるよね。自分が注文した訳じゃないのに、上流で勝手に取る人」


成瀬がふと呟いた。


「え?そんな人いるんですか?」

「います。バレないと思ってるんだと思います。こっちからしてみればバレバレだっての」

「どういう人がやってるんでしょうか。やっぱり私達と同じくらいの人でしょうか…」

「むしろそっちはかなり少ないと思います。あたしは会ったことないですし。中年のおばさんが多い印象かな。だよね?晃」

「そうだな。あとは小さい子がいる家族とか」

「分かる。そういう常識ない人が親だと不安になるよね」

「そうなんですか…」


天使さんがちょっと残念そうな顔をする。しょうがないか。


「あとさ、頭にくる事といえば、自慢気にネタのうんちくを語る奴とか、醤油とかサビとかいっぱいつける奴とか」

「後者はすっごい分かる。寿司食ってるのか、薬味食ってるのか分からないよな」

「ほんと、家で酢飯と食ってろって言いたくなる」


成瀬の奴熱いな。魚が好きなのか。水族館でもすっごい楽しんでたからなぁ。


「そういえば、わさびが入っていない様ですが、全部そうなんですか?」

「小さい子とかはわさび食べられない子が多いので、最近は全部サビ抜きの所が増えてきてますね」

「わさびつけたい人は、ちゃんと各テーブルに袋入りのやつがあるので、それを使うんです」

「へぇ。親切ですね」


俺達が小さい頃は普通にサビ入りが殆どだったからなぁ。ちょっと過保護な気がする。


「そういえば、白峰くんはわさびを入れていませんね」

「わさびを入れると、刺激の方に意識がいっちゃって、なんとなくですが美味しく感じられなくなるんですよね」

「こだわりがあるんですね」

「まあサビ入りのやつからわざわざサビだけ取るなんて事はしませんけどね」

「それってめんどくさいだけなんじゃないの…」


バレたか。はい、めんどくさがりの私です。


「あれ?牛カルビ、それにハンバーグ、唐揚げ…。変わった物がありますね」

「小さい子はそういうの好きですからね。企業側もそういうのを狙ってるんです」

「へぇ。チェーン店ならではですね」

「あたしは反対ですけどね」

「へー。その心は?」

「あたし達の小さい頃ってさ、海鮮系ばっかだったじゃん。ハンバーグとかなんてもちろんなかったし。だから、たまにはちょっと変わった物、うにとかツブ貝とか」

「お前の好きなえんがわとかな」

「うっさい!とにかく、そういうのを食べて、これは美味しいとか、好きだとか、手探りだけど見つけられて楽しかったんだよね」

「確かにな。俺もどんどん好きな物を増やしてった記憶がある」

「でもさ、今って、サイド系が増えちゃって、純粋な寿司ネタが少なくなってきちゃって、それが凄く残念だし、それに子供達にも、あたし達と同じ様に、好きな物を見つける楽しさを知ってもらいたいのに…」


分かる。分かるぜその気持ち。俺も同じ様な事を考えてた事があるし。


「それに何より、他のやつはここじゃなくても食べられるんだから、ここでしか食べられない物を食べようって話」

「確かにな。企業も、儲けだけを考えて、根本を忘れている気がする。そのうち、寿司ネタがマグロとサーモンだけになるんじゃね?」

「それもう寿司屋じゃないじゃん」


まあ、儲けを考えるのが企業なんだから、多少は仕方ないと思うが、子供達にもいろんな寿司食べて欲しいよな。

つーか親!ちゃんと何が美味しいか教えてやれ!ハンバーグとか唐揚げの前にえんがわ食わせてみろ!俺が初めて食べた時、予想外に美味しくてびっくりしたんだぞ!


「じゃあ私達は、子供達に美味しい物を教えられる様にならなくちゃですね!」

「そうですね!よし、どんどん食べよう!えんがわじゃんじゃん注文しよう!」

「ちょ、もうやめて!」


流石にそろそろいじるのは可哀想か?いや、恥ずかしがってる様子が可愛いからもっとやってやろう。酷いな…俺…


「そうだ。お二人の好きなネタってなんでしょうか」


食べていると、天使さんが尋ねてきた。


「あたしははまちとえんがわかな」

「あんだけ言われてるのにまだえんがわ推すのか…」

「うっさい!しょうがないでしょ…好きなんだから…」


頬を赤らめて顔を逸らす成瀬。思うんだけどさ、成瀬って結構恥ずかしがり屋よね。


「俺ははまちとうにかな。最近回転寿司にうに置いてないけど」

「それ。あたしもうに好きだっただけに凄く残念」

「そうなんですか…。私もうに好きなので、残念です…」

「天使さんは、何が好きなんですか?」

「私ですか?私はまぐろとしめ鯖です」


「「しめ鯖!?」」


成瀬とハモってしまった。

しめ鯖だと!?予想外過ぎていろいろヤバい。


「何かまずかったでしょうか…」

「い、いや、そういう訳じゃなくて、ちょっと意外だったな〜って」

「何でしめ鯖なんですか?」

「あのちょっとすっぱい感じが凄く好きでして。お刺身とかで出てるとついつい食べすぎちゃいます」


マジかよ。ほんとに好きなのか…。いや俺も食べるけどさ…。好きな物って言われて挙げるほどの物じゃないよね?


「あ、晃。びんとろ取って」

「はいよ。焼きトロサーモンもいるか?」

「食べる。あ、穴子流れてきた。あんた好きじゃない?

「お、サンキュー成瀬。お茶入れるか?」

「ん。よろしく」


なんかやたらと成瀬と息が合うな。なんでだろ。


「なんか、白峰くんと成瀬さん、夫婦みたいですね」

「んぐっ!ゲホッ!ゴホッ!ゴホッ!」


飲んでたお茶が気管に入った。

天使さん!?いきなりなんて事言うんだ!


「あ、ああ、天使さん!へ、変な事言わないで下さい!!」


成瀬が真っ赤になりながら否定する。すげー怒ってんなぁ…


「あ、い、いえ。あまりに二人とも息ピッタリだったので、まるで夫婦みたいだな〜って思いまして」

「あ、ああ、あり得ません!こんな奴と夫婦なんて!」

「そうでしょうか。お似合いだと思いますよ」

「お、お似合い…」


俺と成瀬がお似合い?明らかに釣り合ってないだろ。特に俺が。それに俺成瀬に嫌われてるし。


「な、ないですないです!こいつとお似合いなんて!」

「ふふっ。やっぱり成瀬さん、可愛いです」

「か、可愛い…」


さっきからどんどん成瀬の顔が赤くなっていく。天使さんすげーな。成瀬をボッコボコにしてるよ。いいぞ、もっとやれ!


「も、もうこの話はおしまい!食べましょう!」

「ふふっ。そうですね」


この状況に耐えかねたのか、成瀬が話を終わらせてしまった。うーむ、残念。


しばらく食べていると、一人の人影がこちらにやってくる。


「うぃーっす。食ってるか〜」

「おう。おせーぞ健」

「悪い悪い。部活がいつもより長引いてな」


そう言って、俺の隣に座る。なんでこいつ全く汗臭くないんだよ。さっきまで部活やってたんだろ?


「お、唐揚げあんじゃん。晃、取ってくれ」

「…………」

「…………」

「何だよ晃、それに成瀬。俺の方をじっと見て」

「…いや別に」

「…何でもない」

「まあいいや。早く取ってくれ」


何でこう…こいつは…あれなんだ…


――――――――――――――――――


「ふぅ〜。食った食ったぁ〜」

「食ったって…。あんた十皿しか食べてないじゃん」

「うるせー。お前だって八皿だろ」

「あ、あたしは女子だしいいの!」


まあ成瀬は細いしあまり入りそうな体型ではないな。


「お腹いっぱいです。美味しかったです」


その横にいる人も、細いのに十二皿とか食べてるんですよね。俺より食ってる…


「天使さん…結構食べるんですね」

「美味しくて、ついつい食べすぎちゃいました」

「それでもそんなに入らないって普通…」


食べた物はどこに行ったんだろう…。不思議だ…


「二人が食わな過ぎなだけじゃねーの?」

「お前と一緒にすんじゃねぇ」

「あんたと比べると、殆どの人が食べな過ぎになるんだけど」


健は十六皿食べていた。本人曰く、まだまだいけるらしい。やべぇなこいつ。


「今日はお誘いいただきまして、ありがとうございました」


改まって天使さんが言う。どうしたんだろうか。


「どうしたんですか?急に改まって」

「私、こうやって友達とご飯食べに行くのって初めてだったんです。ずっと憧れてたんですが…。なので、今日は誘ってくれて凄く嬉しかったです」

「全然ですよ!飯は大勢で食った方が美味いですし!な?晃」

「そうだな。俺達も、天使さんとの食事楽しかったです」

「そう言ってもらえて、とても嬉しいです」


天使さんも楽しんでもらえて、本当によかった。


「また、皆で来ましょうね」


成瀬の言葉に、天使さんは満面の笑みで答える。



「はい!また、皆で!」


終わり方雑過ぎ…

短編って終われせ方難しいよね

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