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天使と回転寿司 前編

番外編の短編的な物です。

ちょっと長めになってしまったので、前後編に分けました。

「晃!回転寿司の5000円分お食事券もらったから行こうぜ!」

「回転寿司?」


いつも通り自席でラノベを読んでいると、健がハイテンションで話しかけて来た。


「いつ行くんだ?」

「今日行かね?」

「相変わらずいきなりだな」


まあ今は俺も部活あるし、帰りも遅いからいいんだが。


「それでだ。二人だと多分5000円も食えんから、誰か誘っといてくれ」

「いっぺんに使わないとダメなのか?」

「ああ、分けて使えないみたいだ」


マジか。まあいただいてる側だし、文句は言えないよな。


「でもなぁ…。今日いきなり来れる奴いるか?」

「そこをなんとか探してくれ」

「はぁ…。分かったよ」

「じゃあ任せたぜ!」


そう言って、健は朝練に向かった。


今日いきなり来れる奴とかいないだろ…。まあ、頑張って探すかぁ。


とりあえず、一番前で本を読んでるあいつに聞いてみるか。


「鈴井、さっきの話聞いてた?」

「ええ。でもごめんなさい。せっかくのお誘いなのだけれど、生憎今日は予定があるの」

「そうか、いやまあ、気を使わせて悪かったな」

「あなたが謝る事じゃないわ。気にしないで」


ううむ…。やはり鈴井はダメか。というか鈴井が優しかったな。珍しい事もあるもんだ。


「ねえ晃くん。今失礼な事を考えなかったかしら?」

「い、いや、そんな事はないぞ」


そういや鈴井は俺の思考が読めるんだった。気を付けよ…


しばらくして、クラスに続々と人が入ってくる。あいつらにも聞いてみるか。


「平沢、相坂、健が寿司奢ってくれるんだが、来ないか?」

「お、いいな!と、言いたいところなんだが…」

「すまないが、俺と実でラーメン行く事になってるんだ」

「奢ってくれるってのに悪いな」

「気にすんな。こっちこそ、いきなりで悪かったな」


やっぱりいきなりは難しいよな。それぞれ予定があるだろうし。


他には…。あそこにいるのは成瀬か。一応誘ってみるか。


「成瀬」

「ん、何?」


他の女子との会話を中断し、俺の話を聞いてくれる様だ。その優しさに惚れる!そんなんじゃ惚れないけど。


「一緒に寿司行かね?」

「いきなりどうしたの…?」


やっべ、いろいろはしょり過ぎた。全然伝わっとらんやんけ。


『え?何今の。新しい誘い方?』

『お前がシャリで、俺がネタな。的な事?』

『俺達の寿司を作ろうぜ。って?』

『『キャーーー!!』』


女子の方々が何故かテンションが上がっていらっしゃる。つーかその発想の柔軟性には俺も引くぞ…


それを聞いて成瀬さん真っ赤になっていらっしゃる。下ネタ的なあれ苦手なのかしら。今度下ネタ攻めしてみようかな。命に関わりそうだからやめとこう。


「すまん。いろいろ飛ばした。健が回転寿司の食事券当てたから、一緒に行かないかって事だ」

「それあたしも行っていいの?」

「二人じゃとてもじゃないが食いきれないからな。手伝ってもらえると助かる」

「ふーん。いつ行くの?」

「今日」

「それはまたいきなりね…」


ほんと健が申し訳ないです。


「まあ私も今日は予定ないし、行ってもいいなら行く」

「そうか、大歓迎だ。部活終わりに行こうか」

「うん。よろしく」


よし、一人確保。あとは…


「えっと…他に来たい人とかいる?」


成瀬を誘ったのに、他の女子を誘わないのは流石に空気が読めなさすぎる。


「わ、私達は、遠慮しとく…」

「う、うん」

「ちょっとね…」


そりゃあそうか。普段滅多に話さないのに、こういう時だけ来るなんて出来ないよな。


「そうか。すまないな」

「き、気にしないでいいから。それより、恵と楽しんで来てね!」

「お、おう」


何故成瀬とだけなんだ…


『帰り家まで送ってもらう途中、それとなく人通りの少ないところに誘導して…』

『それより、……ホ街の方に行った方が…』

『むしろ家に連れ込む、とか…』

『だからあたしとあいつはそんな関係じゃないし、そんな事しないから!!』


後ろから叫び声が聞こえる。あいつも大変だなぁ…


――――――――――――――――――


それから、一緒に来てくれる人は見つからず、放課後となってしまった。


仁美は勝樹と予定があるらしく、荒川は家で食べるとの事だ。


俺が誘える人はあと天使さん一人となってしまった。え?水無月先輩?そんな人いたかなぁ…


まあ最悪三人で行けばいいし、気楽に誘ってみよう。


成瀬と一緒に図書室に入る。いつも通り、天使さんは受付に座っていた。お互い会釈を交わし、本題に入る。


「天使さん。今日この後って予定ありますか?」

「予定…ですか?」

「ねぇ晃。それだとナンパみたいになってるんだけど」


え、マジ?言い方気を付けなきゃ…


「予定はありませんが、どうしてです?」

「実は健が回転寿司の食事券をあてまして、それで一緒にどうかなと」

「か、回転寿司、ですか…?」


何か不思議なものを聞いた様な顔をする天使さん(可愛い)。


「それは…どのようなものなのでしょうか?」

「え?天使さん回転寿司知らないんですか?」


成瀬が驚いたように言う。当然だ。俺も驚いてるし。


「はい。あまり外食はしないもので…。お寿司も出前でしか食べた事ないです」


それでも回転寿司に行ったことがないというのは、なかなか珍しいな。


「まあ回転寿司は文字通り、寿司が回っているんです」

「へぇ。そのような物があるんですね」


と言って、天使さんは少し上を見て考え出す(可愛い)。


「それは…どうやって取るのでしょうか…」


「絶対変な事考えてるよ」

「まあ、確かに、回ってるってだけじゃ分かりにくいしね」


成瀬と小声で話す。

多分回転する皿の上にネタが乗ってるとか、そういうのを想像してるんだろう。その気持ち、分からなくもない。


天使さんは、俺達が話している間もずっと考えていた。


「天使さん?」

「うぇぇ!?な、何ですか?白峰くん」


なんかとても驚かれてしまった。ちょっとショック…


「それで、天使さんは来れるんですか?」

「は、はい。皆さんがよろしいのであれば、是非、ご一緒させていただきます」


良かった。これで食事券をきっちり使い切れそうだ。


「回転寿司、どんな物か楽しみです…!」


天使さんがものっそい目を輝かせている。満足していただけるといいんだが…

後編は明日投稿します

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