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「あいつは丈夫だけが取り柄だからな」と言う夫には愛想が尽きましたので離縁します  作者: はるくうきなこ


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3/18

3結婚前のオリディア


 オリディアは子供の頃から母に手伝いをして実務を教わった。十三歳の時に母が亡くなると父はオリディアに領地経営をやるように言われた。そこからはドラクナール伯爵家の執務をほとんど押し付けられた。

 執務を娘に押し付けながら父は自分の愛人だった女と再婚。すでに愛人との間には一つ違いの異母妹のエミリアがいた。

 オリディアはそれからもドラクナール伯爵家の事を一手に任され働き蜂のように執務をやらされた。

 学園にも行かれなかったのは、オリディアの引く血のせいだった。オリディアの母はこの大陸の最大の国であるルトニア帝国の分家になる国アルノール公国の王族だった。ルトニア帝国の貴族は竜人の血を引く竜族でアルノール公国は前皇帝の弟が受け継いだ国だ。

 竜族は大きな魔力を持ち人々から尊敬される存在だが、人族で魔力も持たないブラトア国の人々は多くの国から崇拝され自分たちにはない魔力を持つ竜族を妬んで嫌っている。

 そんなオリディアの母がどうして父と結婚したのかは彼が番だったからだった。

 母のイリーネはたまたまブラトア国に大使として来て父のディオン・ドラクナール伯爵と出会った。

 人間である父は母が番とは認識出来なかったが、それでもいいと母は結婚を迫った。アルノール公国にはブラトア国が必要とする魔石がたくさん採れるので祖父は父との結婚を決めたが、父は母が魔力を持っているのが我慢できないと言って母は魔力の源になる竜核を取り魔力を失わせそのせいでルノアール公国の怒りを買い当てにしていた魔石の取引は取りやめになったが結婚は取りやめる事は出来なかった。

 両親が結婚して直ぐに祖父は他界した。祖母も既に亡くなっていた。

 そして、生まれたのがオリディアだった。オリディアは母の容姿を受け継ぎ銀色の髪、紫色の瞳を持って生まれた。その色はブラトア国民が嫌う色だった。

 そんな訳で当然オリディアは表舞台に出る事はなかった。そんな時、ロードナート侯爵家から婚姻の話が来た。

 オリディアがアルノール公国と縁続きだからだろう。

 ロードナート侯爵家は国でも有数な運送業の商会を持っていて魔石を取り扱っていたが、先代の借金でかなり困っているらしいと噂があった。

 おまけにドラクナール伯爵家は母が亡くなって、魔石取引も減っていたし新事業の失敗や領地の作物被害といろいろな出費が続き家計はかなり厳しくなっていた。

 父はすぐにオリディアをロードナート侯爵家に嫁がせる事を決めた。

 ロードナート侯爵家もそのつもりの申し込みだった。

 結婚して夫となったボルダーは、最初に言ったようにオリディアの事は便利な道具くらいにしか思っていなくて殆ど会話もなかった。

 でも、元々責任感の強いオリディアは侯爵家に借金を立て直そうと必死で執務に取り組んだ。



 一年前、縁戚の従兄弟リリア・セレスラルド男爵夫人の夫ジュリアンが亡くなりリリアが未亡人となった。

 ボルターとリリアは幼い頃から仲が良かったらしく、オリディアが結婚した当初からリリアはロードナート家によく遊びにも来たがリリアも結婚していてあくまで親戚の範囲の付き合いだった。

 だが、リリアが未亡人となるとボルターは彼女に頼られるとすぐにリリアの元を訪れるようになった。

 最初はリリアが気の毒だと思った。夫は親戚でもあるからと。でも、リリアは何かある度にボルターを頼るようになった。どうやらリリアは夫には遠慮はいらないと思っているようで、リリアは頻繁に夫を呼び出すようになった。

 そして夫も最初こそ私を気にしているようだが、そのうち私との約束はいつもリリアの呼び出しで取りやめられた。

 きっと後ろ暗い気持ちがあったのだろう。

 それでもオリディアは伯爵夫人として忙しい夫の役にたとうと彼の仕事に必要な手配や領地の仕事を請け負って来た。

 そんなオリディアの心は見事に踏み躙られた事だけははっきりした。

 







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