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童貞にして最強 ―穢れなき力を手にした男の黙示録―  作者: 忠犬むつ公
第一部

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第六十話 新しいギルド長

グレイグの葬儀から三日が過ぎた。


 昼を少し回ったころ、訓練場には久しぶりに童力の気配が満ちていた。


 以前と同じ、とまではいかない。木剣の打ち合う音も、誰かが失敗して上げる笑い声も、どこか控えめだった。それでも皆が集まり、いつもの場所で身体を動かしている。その光景を眺めていると、止まっていたものがようやく少しずつ動き始めたように礼には思えた。


「そのまま。もう少しだけ弱くしてみて」


「……まだ弱くするんですか?」


「うん。今は強さより、同じ状態を維持する方が大事だから」


 マルクの右腕を包んでいた童力が、礼の言葉に従ってゆっくりと薄くなっていく。


 第三童式《童衣》。


 全身に童力を巡らせ、身体能力と防御力を引き上げる童式だが、マルクはまだ全身を安定して覆える段階にはない。今は片腕だけに範囲を絞り、一定量の童力を流し続ける練習を繰り返していた。


 その正面にはハインが立っている。礼は少し離れた場所から、二人の様子を見守っているだけだった。


「そこです。今の量を覚えてください」


 ハインが声をかけると、マルクは眉間に皺を寄せながら自分の腕を見つめた。


「できてます?」


「昨日より安定してますよ」


「でも、前より弱くなってる気がするんですけど……」


「それでいいんです。強くするだけなら、あとでもできますから」


 ハインの説明を聞きながら、礼は小さく頷いた。


 自分が口を挟む必要はなさそうだった。


 最初のころは、誰かに童力を教えるとき、必ず礼かリオがそばにいた。童力をどう感じるのか、どう流すのか、どう身体の外へ出すのか。何もかも手探りだったからこそ、知っている二人が直接教えるしかなかった。


 今は違う。


 ハインがマルクに教え、その様子を礼が離れた場所から見ている。


 それが当たり前になりつつあった。


 グレイグが死んでも、童術そのものが消えたわけではない。


 葬儀の翌日は、誰も訓練をしなかった。その次の日になると数人が顔を出し、今日はさらに多くの者が戻ってきている。誰かが再開を宣言したわけではなかった。ただ、皆それぞれの生活があり、仕事があり、覚えなければならないことがあった。


 町も同じだった。


 朝になればパン屋が店を開け、荷車が通りを行き交い、冒険者たちは依頼を受けて町の外へ出ていく。


 一人の人間が死んだからといって、世界まで止まってくれるわけではない。


 そのことを寂しいとは思わなかった。


 むしろ今の礼には、ありがたかった。


「先生」


 声をかけられて振り返ると、木剣を持ったエルンが立っていた。


「どうしたの?」


「第四、見てもらってもいいですか?」


「俺が?」


「はい」


 礼は少し考えてから、訓練場の反対側へ視線を向けた。そこではリオが弓を手に、矢へ童力をまとわせる練習を見ている。


「第四なら、リオの方が上手いよ」


「聞こえてるぞ」


 離れたところから声が飛んできた。


 礼が顔を向けると、リオが呆れたような顔でこちらを見ていた。


「だって本当じゃん」


「だからって全部こっちに投げるなよ」


「適材適所だよ」


「便利な言葉覚えたな、お前」


 そのやり取りを聞いて、エルンが小さく笑った。


 ほんのわずかな笑いだったが、それにつられるように礼の口元も緩んだ。


 数日前までなら、こんな会話を意識することすらなかった。


 今は、いつも通りに話せることが少し嬉しかった。


「ほら、エルン。こっち来い」


「はい」


「礼も来いよ」


「なんで?」


「先生なんだろ」


「第四はリオの方が――」


「いいから」


 仕方なく二人の方へ歩き出そうとした、そのときだった。


「如月さん」


 訓練場の入口から名前を呼ばれた。


 足を止めて振り返ると、ギルドの職員が立っていた。少し急いできたのか、呼吸がわずかに乱れている。


 その姿を見ただけで、礼には用件が分かった。


「……来たんですか」


「はい。先ほど到着されました」


 職員は一度息を整えると、礼だけでなくリオにも目を向けた。


「新しいギルド長、ヴァルター・クロイツさんです。お二人と、できれば今日中に話をしたいと」


 訓練場の空気が、ほんの少しだけ硬くなった。


 誰かが大きな反応をしたわけではない。


 それでもマルクの腕を覆っていた《童衣》が揺らぎ、やがて消えた。ハインも何も言わず、こちらを見ている。


「もう着いたのか」


 リオが弓を下ろしながら言った。


「予定通りではあるけどね」


「分かってるけど……なんか早く感じるな」


 礼にも同じ感覚があった。


 グレイグの死から、まだ五日しか経っていない。


 葬儀を終えたのは、つい三日前だ。


 それなのに、もう次のギルド長がローデンへやって来た。


 もちろん、大きな町のギルドをいつまでも責任者不在にはできない。それくらいは礼にも分かる。


 それでも、気持ちが追いついていなかった。


「分かりました。行きます」


 礼が答えると、リオも壁へ弓を立てかけた。


 訓練場を出ようとして、礼はふと机の方を見た。


 六枚の記録が並んでいる。


 第一から第六まで。


 その隣には、何も書かれていない白い紙が一枚だけ置かれていた。


 あの日から、剣を生み出す実験はしていない。


「先生」


 エルンの声に振り返る。


 少年は木剣を握ったまま、少し不安そうに礼を見ていた。


「……大丈夫ですか?」


 何と答えるべきか、礼は一瞬だけ迷った。


「話してくるだけだよ」


 結局、それだけ答えた。


「訓練は続けてて。ハイン、お願いします」


「分かりました」


 礼はリオとともに訓練場をあとにした。



 ギルドへ向かう通りは、いつもと変わらず賑わっていた。


 露店から漂ってくる肉の焼ける匂い。石畳を叩く馬の蹄。大きな荷物を積んだ荷車を避けながら走っていく子供たち。酒場の前では、昼間から酒を飲んでいる冒険者たちが何かを話して笑っている。


 その中を歩きながら、礼は無意識に何度も周囲へ目を向けていた。


 灰色の外套は見当たらない。


 こちらを見ている者がいるようにも思えない。


 それでも、一度気になり始めると、すれ違う人間の視線まで妙に意識してしまう。


「礼」


「ん?」


「また探してるだろ」


 隣を歩くリオに言われ、礼は前を向いた。


「……見ちゃうんだよ」


「まあ、分かるけど」


 そう答えたリオ自身も、しばらくしてから一度だけ背後を振り返った。


 礼は何も言わなかった。


 名簿は、まだ見つかっていない。


 二十二人分の名前が記された紙を誰が持ち去ったのかも、グレイグがなぜ死んだのかも分からない。ギルドから聞かされているのは、調査が続いているということだけだった。


 分からないことが多すぎる。


 だからこそ、決めつけてはいけない。


 そう自分に言い聞かせながら、礼はギルドの扉をくぐった。



 建物の中は、以前と変わらず冒険者たちで賑わっていた。


 受付では職員が依頼の処理に追われ、壁際では数人の冒険者が報酬について話している。依頼板の前にも人だかりができていた。


 けれど、奥で働く職員たちの様子だけは、どこか落ち着かない。


 何人かが仕事の合間に、廊下の奥へ視線を向けている。


 礼たちの姿を見つけた職員が立ち上がった。


「お待ちしていました。こちらへどうぞ」


 案内されて廊下を進み、礼は一つの扉の前で足を止めた。


 何度も入ったことのある部屋だった。


 職員が扉を叩く。


「如月礼さんとリオさんがお見えです」


「どうぞ」


 中から返ってきた声を聞いた瞬間、礼は妙な違和感を覚えた。


 当たり前だった。


 聞き慣れた低い声が返ってくるはずなどない。


 それでも身体のどこかでは、まだグレイグの声を待っていたらしい。


 扉が開く。


 机も、棚も、窓も変わっていなかった。


 ただ、壊されていた引き出しの錠だけが新しいものへ交換されている。


 そして――グレイグが座っていた椅子に、知らない男が座っていた。


 年齢は四十前後だろうか。


 短く整えられた黒髪に、細い銀縁の眼鏡。グレイグほど大柄ではなく、剣も鎧も身につけていない。濃紺の上着には目立つ装飾もなく、机の上には何冊もの帳簿と書類が几帳面に積み重ねられていた。


 男は礼たちを見ると、すぐに椅子から立ち上がった。


「初めまして」


 想像していたよりも柔らかな声だった。


「ヴァルター・クロイツです。本日付で、このローデンのギルド長を務めることになりました」


「如月礼です」


「リオです」


 二人が名乗ると、ヴァルターは軽く頭を下げた。


「お二人のことは存じています。もっとも、これまで私が知っていたのは報告書に書かれた情報だけですが」


 そう言って、向かいの椅子を勧める。


「まずは直接お会いして話をしたいと思い、お呼びしました。どうぞ、お掛けください」


 礼とリオが椅子へ腰を下ろすのを待ってから、ヴァルターも座った。


 礼は机を挟んだ向こう側の男を見た。


 もっと冷たい人物を想像していた。


 昨日まで王都にいた人間だ。先日やって来た三人のように、最初から童術の記録や名簿を要求されることも考えていた。


 だが、少なくとも目の前の男からは、そうした威圧感は感じられなかった。


「まず、お二人にお伝えしておかなければならないことがあります」


 ヴァルターは机の上で両手を組んだ。


「グレイグ氏についてです」


 礼の背筋が、わずかに強張る。


「現在も調査は続いています。死因については、まだ私から断定してお話しできる段階ではありません。また、部屋から一部の書類が失われている件についても報告を受けています」


「名簿です」


 礼はすぐに言った。


「俺たち二十二人の名前が書いてあった」


「はい。承知しています」


「まだ、見つかってないんですか?」


「残念ながら」


「誰が持っていったのかも?」


「現時点では分かっていません」


 ヴァルターは言葉を濁さなかった。


 礼はその表情を見つめたが、そこから何かを読み取ることはできなかった。


「グレイグさんが死ぬ前の日に、王都から三人来てましたよね」


 今度はリオが口を開いた。


「その人たちのことは調べてるんですか?」


「確認の対象にはなっています」


 ヴァルターは即答した。


「ただ、彼らがグレイグ氏の死に関与したことを示す証拠は、今のところ見つかっていません」


「……そうですか」


「疑いたくなるお気持ちは理解できます。しかし、証拠のない段階で誰かを犯人と決めつけるべきではないと、私は考えています」


 礼は少しだけ目を見開いた。


「俺も、そう思います」


「それは何よりです」


 ヴァルターは頷くと、机の上に置かれていた一冊の書類へ手を伸ばした。


「それでは、もう一つ。童術についてです」


 その言葉が出た瞬間、礼は無意識に膝の上で手を握った。


 隣にいるリオの気配も少しだけ硬くなる。


 ここからだ。


 そう思った。


 だが、ヴァルターの口から出た言葉は、礼が予想していたものとは違った。


「現在行われている二十二名の訓練について、私から停止を命じるつもりはありません」


「……え?」


 思わず声が漏れた。


「続けていいんですか?」


「はい。これまで通りで構いません」


 あまりにあっさりとした返答に、礼はリオと顔を見合わせた。


「グレイグ氏の残した記録を確認しました。少なくとも現在行われている基礎訓練について、前任者は一定の安全性を認めていたようです。私が今日ここへ来たばかりで、その判断をすべて覆すのは適切ではありません」


「新しく教えるのは?」


 礼はすぐに尋ねた。


「それについては、もう少し待ってください」


 ヴァルターの返答は変わらず穏やかだった。


「グレイグ氏が新規の教授を一時的に止めていたことも把握しています。まずは、その判断に至った経緯を私自身が確認したい」


「どのくらいですか?」


「今の段階で期限を約束することはできません。ただし、理由もなく無期限に止めるつもりもありません」


「待ってる人が六人いるんです」


「存じています」


 礼は思わず顔を上げた。


「知ってるんですか?」


「グレイグ氏の記録に残っています。冒険者が二名、職人の見習いが一名、商会に勤める者が一名。そして町の外から来た者が二名」


 間違っていない。


 ヴァルターは書類を閉じると、礼へ視線を戻した。


「その六名についても、一人ずつ話を聞くつもりです。本人の意思、生活環境、これまでの経験、童術を学ぼうと考えた理由。それと、あなた方が何を基準に適性を判断しているのかも教えていただきたい」


「……それを調べて、どうするんですか」


 礼の問いに、ヴァルターは少しだけ間を置いた。


「理解するためです」


「理解?」


「私は童術を禁止するためにローデンへ来たわけではありません」


 その声に、強い抑揚はなかった。


「正直に申し上げれば、私は童術についてほとんど知りません。報告書を読んだだけの人間が、実際に扱っているあなた方より理解しているとは思っていません。ですから、まず知る必要があります」


 礼は返事をしなかった。


 警戒していたものが、少しずつ形を失っていく。


 グレイグが死んで、わずか五日で王都からやって来た新しいギルド長。


 それだけで疑っていた。


 けれど、今のところヴァルターは無理な要求をしていない。少なくとも、先日やって来た三人よりはずっと話が通じるように思えた。


「……グレイグさんとは、知り合いだったんですか?」


 礼が尋ねると、ヴァルターは少しだけ視線を下げた。


「直接会ったのは二度だけです」


「二回だけ?」


「ええ。おそらく、私はあまり好かれていなかったでしょう」


「どうしてですか?」


 リオが聞く。


 ヴァルターは眼鏡の位置を直しながら、わずかに口元を緩めた。


「私が、書類を増やす人間だからです」


 数秒の沈黙のあと、リオが小さく吹き出した。


「……それは嫌われそうですね」


「自覚しています」


 礼の肩からも、わずかに力が抜けた。


 グレイグなら本当に嫌がりそうだと思った。


「ですが、優秀な方でした」


 ヴァルターの表情から笑みが消えた。


「ローデンほどの規模のギルドを長年預かるのは、簡単なことではありません。冒険者、商人、町の住民、領主。立場の違う者たちの要求が、すべて一致することなどありませんから」


 そこで一度言葉を切り、ヴァルターは机の端へ目を向けた。


「グレイグ氏は、断るべきところで断ることのできる人だったと聞いています」


 礼の脳裏に、あの日見た記録が浮かんだ。


 名簿の提出要求。


 拒否。


 研究記録の提出要求。


 拒否。


 如月礼との面談要求。


 拒否。


「……はい」


 礼は静かに答えた。


「そういう人でした」


「ならば私も、前任者が何を考え、何を守ろうとしていたのかを理解する前に、それを壊すつもりはありません」


 礼はしばらく黙っていた。


 やがて、一つだけ聞いておきたいことを口にした。


「お願いがあります」


「何でしょう」


「何かを決める前に、俺たちにも話してください」


 ヴァルターは何も言わず、礼の言葉を待った。


「俺たちのことなのに、俺たちの知らないところで全部決まっていくのは嫌なんです。必要なことがあるなら話します。俺たちも、勝手なことをしないようにする。だから……そっちも、決める前に話してほしい」


 そこまで言ってから、礼は気づいた。


 同じことを、グレイグにも言った。


 あの日。


 最後に話した日に。


「グレイグさんとも、それを約束したんです」


 声にすると、胸の奥が少しだけ痛んだ。


 ヴァルターはすぐには答えなかった。


 やがて、組んでいた手を解く。


「すべてをお話しする、と約束することはできません」


 その返答まで、どこか似ていた。


「ギルドには、立場上あなた方へ開示できない情報もあります。しかし、童術について、あなた方に直接関わる判断を行う場合には、可能な限り事前に話し合いの場を設けます」


 ヴァルターはまっすぐ礼を見た。


「それなら、約束できます」


「……はい」


 礼は頷いた。


「お願いします」


「こちらこそ」


 ヴァルターが右手を差し出した。


 礼はその手を一瞬見つめたあと、自分の手を重ねた。


 強くもなく、弱くもない。


 ただの握手だった。



 部屋を出て廊下をしばらく歩いたところで、リオが大きく息を吐いた。


「……思ってたのと違ったな」


「うん」


「もっと嫌な奴が来ると思ってた」


「俺も」


「書類増やすらしいけど」


「そこ?」


「大事だろ。俺たちの分まで増えたらどうすんだよ」


「それは……嫌だな」


「だろ?」


 階段を下りながら、二人で少しだけ笑った。


 こんなふうに話せたのも久しぶりな気がした。


 建物を出ると、まだ夕方には少し早い。空は明るく、通りには変わらず人が行き交っている。


「礼」


「ん?」


「どう思う?」


 誰について聞いているのかは分かった。


 礼は歩きながら少し考えた。


「……まだ分からない」


「だよな」


「でも、話せる人ならいいと思う」


 リオは前を向いたまま頷いた。


「ああ。俺もそう思う」


 訓練場へ戻れば、皆が待っている。


 マルクの《童衣》も、エルンの第四も途中だった。


 二人は並んで、いつもの道を戻っていった。



     ◇



 二人が部屋を出てからしばらくして、ヴァルターは机の上に新しい紙を広げた。


 窓の外から聞こえる町の喧騒を背に、先ほどの面談内容を一つずつ記録していく。


『如月礼、リオとの初回面談終了』


『既存二十二名――訓練継続』


『新規教授――現状維持。経緯確認後に再検討』


 そこまで書いたところで、ペン先が止まった。


 ヴァルターは乾きかけた文字をしばらく眺めてから、机の端に積まれている書類の束へ手を伸ばした。


 グレイグが残した記録だった。


 その中から一枚を抜き取る。


 新たに童術を学ぶことを希望している六名について書かれた紙だ。先ほど礼に話した通り、職業や現在の生活状況、本人から聞き取った簡単な志望理由まで記されている。


 一通り目を通したあと、ヴァルターはそれを元の場所へ戻した。


 それから、足元に置いていた自分の鞄を引き寄せる。


 留め具を外し、中から薄い書類を一つ取り出した。


 グレイグのものとは紙質が違う。


 上部には、王都中央で用いられる公印が押されていた。


 ヴァルターは無言のまま紙を開き、そこに並ぶ名前を上から追っていく。


 一人。


 また一人。


 やがて、その指が止まった。


 マルク。


 最後に記された、二十二人目の名前だった。


 ヴァルターは眼鏡の奥で目を細めた。


 しばらくその名を見つめていたが、やがて紙を丁寧に折り畳み、再び鞄へ戻す。


 何を考えているのか、その表情から読み取れるものはなかった。


 窓の外では、遠くで鐘が鳴った。


 ヴァルターは一度だけそちらへ顔を向けたあと、机の上に残された書類へ視線を戻した。


 そして何事もなかったように、次の一枚を手に取った。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

少しでも「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ぜひ評価や感想をいただけると嬉しいです!

皆様からの評価や感想は、今後の執筆活動の大きな励みになります。

これからも『童貞にして最強』をよろしくお願いいたします!

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