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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ガツン!◇触れずに届く友情パワー!

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裾を掴む小さな手

それは——見えない槌であった。

肉を傷つけず、骨を砕かず、ただ石だけを粉々にする。



体外(E)衝撃波(S)結石(W)破砕装置(L)——


1980年、ドイツの泌尿器科医クリスティアン・シャウシーが世界で初めて臨床に成功した。


腎臓結石。尿路結石。体内にできた石を、メスを使わずに砕く技術。


切らずに治す。傷つけずに壊す。


泌尿器科医が生み出した、石を砕く治療器具——すなわち、ヒーラーが装備可能な『医療器具』である!!





少女が、光る棒を掲げた。


落ちてくる巨腕に——そっと、当てた。


親指が、突起を押し込んだ。


空気が、震えた。


一瞬の静寂。


——そして、内側から亀裂が走った。


泥の巨人の全身に、光が走った。血管のように。神経のように。一瞬だけ、眩く。


そして——静かに、崩れ落ちた。


石を心臓に持つ者は——石を砕く力には、抗えなかった。





これは、眠りにつくための物語。





——これは、その5日前の話。





街道を歩いていた。


オークの砦を出てから三日。傷はもう塞がっているけれど、まだどこかが痛む気がする。体じゃない。もっと奥の、触れない場所が。


ミラが隣を歩いている。


貸した手袋がぶかぶかで、指先が余っている。マフラーも大人用だから、ぐるぐる巻きにしてやっと首が隠れる。それでも寒いのか、鼻の頭が赤い。


砦を出た日からずっと、この子は服の裾を掴んでいる。歩く時も、休む時も、離さない。夜、宿で眠る時だけそっと手を離して、朝になるとまた掴む。何か言いたそうな顔をして、口を開いて、でも何も言わない。それを何度も繰り返している。


「リリアさん」


急に呼ばれて、足が止まった。振り返る。ミラが自分から話しかけてくるのは、今朝の「おはよう」以来だ。


「なに」


「あの村」


ミラが指を差した先を見ると、丘の上に小さな集落が見えた。


「アダマっていう村だね。今日はあそこで泊まろうか」


ミラが頷く。また黙る。


ぶかぶかの手袋で、服の裾を掴む。少しだけ力が入った。





村が近づいてきた頃、畑で働いていた男が鍬の手を止めてこちらを見た。


五十過ぎくらいだろうか。長い年月を畑仕事に費やしてきた人の顔をしていた。日に焼けて皺が刻まれ、土に汚れた手は節くれ立っている。


「旅の人かね」


「はい。冒険者です」


男の視線がミラに移って、それからこちらに戻った。子供を連れた女の冒険者を珍しがっているのかもしれない。


「子連れで旅かい。大変だな」


「あの、ギルドはどこですか」


「ギルドなら宿の隣だ。マルタさんの所だよ」


男は畑に向き直ったけれど、鍬を振る手が止まっている。何か遠くを見ているような目をしていた。


「……リリアさん」


ミラが小さな声で言った。


「……あの人、なんで……」


「分からない」


分からないけれど、何かがある。静かすぎる。人はいるのに、声が聞こえない。





村の中を歩くと、その印象はさらに強くなった。


子供が走り回っていない。井戸端で話す女たちも、声を潜めて何かを囁き合っている。私たちが通ると、さっと目を逸らす人が何人もいた。


ギルドは小さな建物だった。看板には剣と杖が交差した紋章が掲げられている。


扉を開けると、受付に白髪混じりの男が一人座っていた。穏やかそうな顔だけれど、目の奥には疲れたような陰がある。


「いらっしゃい。冒険者さんかね」


「はい。あの……相談があるんですが」


ミラを見た。後ろに隠れて、服の裾をぎゅっと握りしめている。


「この子の村が、オークに襲われて……世話をしてくれる人を探しているんです」


受付の男の顔が曇った。


「……ああ。東の村の子かい」


知っているらしい。この辺りでは知らない者がいないほどの惨事だったのだろう。


「すまないが、今は難しいな」


分かっていた。分かっていたけど、聞かないわけにはいかなかった。この子のために、どこかに居場所を見つけてあげたかった。


「復興の真っ最中でね。大人の手も足りない。子供一人引き取る余裕がないんだ」


男は首を振りながら続けた。


「この辺りの村はどこも小さい。うちも、隣村も、人を預かる余裕があるところは……」


「他に……当てはありませんか」


「もっと大きな街まで行けば、孤児院がある。ただ、ここから東に一週間はかかる」


一週間。ミラと二人で、一週間。


孤児院に預けることになるのだろうか。この子を、知らない大人たちの中に置いていくことに——胸の奥がぎゅっと締め付けられた。


「……考えます。ありがとうございます」


「宿はすぐ隣だ。ゆっくり休むといい」



ギルドを出た。


ミラの手が、また服の裾を掴んだ。


孤児院。一週間。知らない大人たち。


——まだ、決められない。


「……とりあえず、今日は泊まろう」


ミラが小さく頷いた。

裾を掴む力が、少しだけ強くなった。


——この手を、離せるだろうか。

新章突入です!

成り行きでミラと二人旅になりました。


ミラは普通に暮らしてるところをオークに襲われ

着ていた服と形見のペンダント以外、何も持ってなくて真冬、と

およそ旅ができる状態ではなかったので

フォローをするだけで1話費やす事になるとは…

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