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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ワイワイ♡みんなで生き残り大作戦!

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48/108

金貨30枚の価値

別の場所。別の時間。


「——報告があります」


男が執務室に入ってきた。


マーカスは机から顔を上げた。


「何だ」


「断崖砦の件です。オークに占拠されていた、あの砦」


「ああ。あそこか」


マーカスは壁の地図に目をやった。断崖砦。あそこが落ちてから、もう8年になる。


街道を塞ぐ位置にある砦だ。あそこを押さえられてから、東の交易路は事実上使えなくなった。迂回路を使うしかなく、商人たちの損失は計り知れない。


国は何度か奪還を試みた。そのたびに返り討ちにあった。騎士団が壊滅したこともある。いつしか「断崖砦には近づくな」が常識になった。


「偵察隊が戻りました」


男が報告書を置いた。


「オークの主力が——相次いで突然死していました」


マーカスの眉が動いた。


「突然死?」


「はい。4体。全員、賞金首です」



報告書を開いた。名前が並んでいる。


【息継ぎ無し】ノー・ブレス。

【鼻鳴らし】スノウト・グロウラー。

【鉄檻殺し】ケージ・ブレイカー。


そして——


【位階の蒐集狂】ランク・コレクター。


「ランク・コレクターまでか」


マーカスが呟いた。


「あれは厄介だった。騎士団でも手を焼いていた」


「はい。合計で金貨800枚相当の賞金首です」


「死因は」


「それが……分からないのです」


男が首を振った。


「ノー・ブレスは 痙攣した跡がありました。

 頭を潰されていましたが それは死後のようです」


「スノウト・グロウラーは暴れ回った形跡があり、 胸に穴が開いていました」


「ケージ・ブレイカーは崩れた天井の下に埋まっていました。

 腕がおかしな方向に曲がっていて、自分で壊したように見えます」



「ランク・コレクターは……立ったまま死んでいました。笑ったまま」


「……突然死、か」



マーカスは報告書を閉じた。


「生還者がいると聞いたが」


「はい。あの砦周辺で誘拐された者たちが、全員生還しています」


「全員?」


「3人ほど行方が掴めませんが……1人は女のヒーラー、1人は少女、もう1人は印象が薄くて覚えていないと」


「そうか」


「生還者たちの証言によると——」


男が続けた。


「あのオークどもは、人をさらっては砦で殺人ゲームを楽しんでいたようです。獲物を砦に放ち、追跡者をけしかける。逃げ延びれば自由、捕まれば死。それを——娯楽にしていた、と」


「……そうか」


マーカスは椅子から立ち上がった。


「断崖砦奪還の緊急クエストを発令しろ。残党の掃討。報酬は金貨100枚」


「はい」


男が出ていった。



執務室に、静寂が戻った。


100枚。ギルドの予算から出せるのは70枚だ。残りの30枚は——村を焼かれた者、家族をさらわれた者、あのゲームで身内を殺された者たちが出した金だ。


私財を投じて、少しずつ積み上げてきた。8年分の恨みが、30枚になっている。


「……誰に払えばいい」


マーカスは呟いた。


金貨800枚分の賞金首が死んでいる。だが——討伐者がいない。名乗り出る者がいなければ、この金は宙に浮く。



マーカスは窓の外を見た。


「賞金で冒険者を釣って、オークを狩らせる……か」


窓の外には、ギルドの掲示板が見えた。依頼書が何枚も貼られている。討伐依頼。護衛依頼。素材採取。そして——賞金首の手配書。


「人を襲うだけの魔物は、ある意味では純粋だ。本能のままに生き、本能のままに殺す」


マーカスは呟いた。


「だが——娯楽のために殺すのは、知性がなければできない。ゲームのために命を弄ぶのも。金のために命を刈り取るのも」


窓の外を見続けた。


「オークも人間も——知恵がある分だけ、業が深い」


オークとのデスゲーム編完結です。


4体みんな「負けるきっかけは自滅」で統一してみたのですが

1ネタで1章作れるものを先食いしてしまった気がしています。


かわりといっては何ですが、ミラが章をまたいで

リリアさんと同行する事になりました。


一時的な旅の同行者ではオルフェさんがいましたが

1話作った当時はミラは全く存在していなかった子なので、どう転がるか…


明日、1/19から「ガツン!◇触れずに届く友情パワー!」がはじまります!

おたのしみに!

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