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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ワイワイ♡みんなで生き残り大作戦!

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別れ

オークの死体を残して、歩き出した。


振り返ると、断崖砦が見えた。橋の向こう。もう——追ってくる者はいない。


……光?


荷物置き場のあたりが、淡く光っている。脱ぎ捨てた囚人服。その上に置いた——発射台。光になって、消えていく。


そういうことか。矢が残っていたから、消えなかったのだ。トマが持っていた赤い矢。あれを使ったから——全部使い終わったから——消えた。



しばらく歩いてから、足が止まった。


トマが膝から崩れ落ちた。


「……勝ったんだ」


泣いていた。


「本当に……勝ったんだ……」


しばらく、誰も動けなかった。座り込んで、息を整えた。傷を癒した。水を飲んだ。


終わった。本当に、終わったのだ。



ダリオが口を開いた。


「——ひとつ、確認しておきたい」


「あのオークどもの首をギルドに持っていけば、賞金が出る。4匹分なら……10年は遊んで暮らせる額だ」


トマが目を見開いた。


「10年……?」


「ミラ、お前も。村が襲われて、これから生活を立て直さなきゃならないだろう。その金があれば——」


ダリオの声が止まった。全員が、同じことを考えている。砦に戻らなければならない。


フリントが言った。


「問題がある」


「奴らは約束を守った。橋を渡れば自由だと言って、実際にそうした。だが——今は違う。戻ったら、別のオークに殺される可能性がある」


ダリオが続けた。


「この首だけでも、かなりの額にはなる」


オークの方を見た。まだ立っている。笑ったまま。


「だが、こいつを倒したと名が広まれば——次のゲームの駒として狙われるかもしれない。あの手の連中は、強い獲物を求めてる」


誰も何も言わない。風が吹いて、砂埃が舞った。


「俺は傭兵だ。どちらでも構わない。だが、お前たちの意見を聞きたい」


ミラが首を振った。


「……お金は、いらない」


ペンダントを握りしめている。


「これがあれば……お父さんが、ついていてくれるから」


トマが、オークの首飾りを見た。12個の頭蓋骨。それを集めるために、何人が死んだのか。


「俺は……」


声が震えている。


「首を斬るのも、斬られるのも……もう一生、遠慮したいです」


フリントが口を開いた。


「俺は——」


言いかけて、止まった。


「……乗りたいところだが、訳あって、金を預ける先がない」


脱走兵だ。商会にも預けられない。身分を明かせない。


「持ち歩けない大金をもらっても、使い道がねえんだよ」


肩をすくめて、笑った。でも目は笑っていなかった。


リリアがオークを見上げた。


「……いらない」


あの笑顔を見ていると、胸の奥が冷たくなる。


「首を取って、お金をもらって……それで終わりにしたくない」


ダリオが頷いた。


「わかった。討伐者は——なしだ」


誰の名前も、ギルドには報告しない。賞金も、名誉も、何もいらない。ただ——生きて帰る。それだけでいい。



ダリオが言った。


「これからどうする」


「俺は傭兵ギルドに戻る。報告しないといけない」


トマが言った。


「俺は……家族のところに帰ります」


「村が襲われたけど、みんな逃げたはずです。探さないと」


フリントがトマの肩に手を置いた。


「帰ったら、辛いことが待ってるかもしれない」


トマの顔が強張る。


「でも——帰る場所があるってのは、いいことだ」


「……はい」


トマが頷いた。目に涙が浮かんでいる。


ミラが小さな声で言った。


「私は……わからない」


父親は死んだ。家に帰っても、これからどうすればいいのか。


ダリオとフリントが、一瞬だけ目を合わせた。二人とも、何か言いたそうな顔をしていた。でも——何も言わなかった。


「次の町まで一緒に行こう」


リリアが言った。


「そこで、考えればいい」


ミラが頷いた。ペンダントを握りしめたまま。


ダリオが小さく頷いた。フリントも。言葉にはしなかったけれど——頼んだ、と言われた気がした。



フリントが言った。


「……なあ」


「俺、本当の名前言ってなかったよな」


「もう逃げる必要もないし、名乗っておこうと思って——」


「ああ、俺はこっちの道だ」


ダリオが歩き出した。振り返らない。


「家族が心配だ……早く帰らないと」


トマが走り出した。振り返って手を振る。


「皆さん、お元気で!」


ミラが頭を下げた。


「……ありがとう、ございました」


「…………」


フリントが、一人で立っていた。


「おい」


「誰も聞いてねえ」


結局、フリントの本名は——誰にも知られないままだった。



砦を背に、歩き出した。ミラが隣にいる。小さなペンダントを握りしめている。


あのオークの顔を思い出した。笑ったまま、目を開けたまま。


「ごめんね」は言わなかった。言う必要がないと思った。それが正しかったのかは、分からない。


風が吹いた。砦の方から、煙の匂いがした。


振り返らなかった。

軽い気持ちで「一般的なモンスターを」とはじめたオーク章

リリアさんが関わるお話は今度こそ本当に終わります。

さらに黒幕オークとか出さないのでご安心を。


最後はいつものマーカスさんです、次の章の予告もお楽しみに。

次の章はゲストキャラ中心のお話にもどります。

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