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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ワイワイ♡みんなで生き残り大作戦!

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【位階の蒐集狂】

「——おめでとう」


振り返った。オークがいる。橋の向こう側ではなく、こちら側——砦の外だ。いつの間に現れたのか、誰も気づかなかった。


他の追跡者より二回りは大きく、さっきまで戦っていた【鉄檻殺し(ケージ・ブレイカー)】が子供に見えるほどだった。首から頭蓋骨の首飾りをぶら下げている。人間、リザードマン、ドワーフ——種族はばらばらだ。


「追跡者を3匹倒してここまで来た。見事だ」


一歩、近づいてくる。


「お前たちは——俺に狩られる資格がある」



フリントが叫んだ。


「待て! ゲームのルールでは橋を渡れば自由のはずだ!」


オークが首を傾げた。


「ルールは砦の中だけだ。ここは砦の外——俺の庭だよ。嘘はついていない。一言もな」


ゲームの「外」には、何の保証もなかったのだ。



「今まで3人がここに辿り着いた」


オークが首飾りを撫でながら言った。


「最初の女は、恋人に庇われて逃げてきた。男は追跡者に殺された。女は泣きながら橋を渡ってきた。——つまらなかった」


また一歩、近づいてくる。


「次の婆は、息子に背負われてここまで来た。息子は追跡者に追いつかれて、母親だけ橋に押し出した。婆は息子の名前を呼んでいた。——つまらなかった」


「3人目は子供だった。父親が抱えて走って、追跡者に追いつかれる寸前に橋の向こうに投げた。父親は引きずり戻されて死んだ。子供は泣いていた。——つまらなかった」


オークの目がダリオとフリントを捉えた。


「全員、逃げてきただけだ。自分では何もしていない。弱すぎて首飾りに加える気すら起きなかった」


笑った。


「でもお前たちは違う。傭兵と——元兵士か。追跡者を3匹倒してきた。5人も生きている」


首飾りを揺らした。


「久しぶりだ、こういうのは。精一杯戦ってくれ」



ダリオの顔から血の気が引いていた。


「【位階の蒐集狂(ランク・コレクター)】……」


フリントが震える声で言った。

「その種族で一番強い奴の首だけを狩る化け物だ。人間なら英雄、エルフなら長老、ドワーフなら王……8つの頭蓋骨を持っていると聞いた。だから『位階の蒐集狂』(ランク・コレクター)

オークが首飾りを揺らした。

「情報が古いな。今は12個だ。人間を狩るのは5年ぶりでな」

5年で4人の「最強」を殺してきたということだ。



ダリオが叫んだ。


「逃げろ! 全員走れ!」


振り返って走り出そうとした。足がもつれた。何人かが転んだ。立ち上がろうとしても、膝が震えて力が入らない。

オークは腕を組んだまま、こちらを眺めている。追ってこない。


「逃げるのか。いいぞ、逃げろ。追い詰められた獲物の方が熱いからな」


ゆっくりと歩いてくる。この距離、この体格差——逃げ切れるはずがない。



フリントが手槍を構え、全力で投げた。


手槍はオークの肩に深く突き刺さり、血が流れ落ちた。オークは振り返りもしない。


「……何かしたか?」


続けてダリオが斬りかかった。剣がオークの腕を裂き、血が飛び散る。オークは傷ついた腕を見下ろして、つまらなそうに言った。


「浅いな」


トマが石を投げた。オークの背中に当たる。オークは振り返らない。見向きもしない。石を投げた者など、見えてもいないかのように。



最終救護ラストレスキュー——)


光が収束し、【鋼鉄の守護神(ガトリング砲)】が現れた。6本の筒をオークの方に向け、取っ手を強く握る。


ハンドルを回した。轟音とともに金属の雨が降りそそぎ、オークの体に次々と穴が開いていく。胸に、腕に、腹に、顔に——血が噴き出し、肉が裂ける。


オークが足を止めた。


「……何だ、お前」


ダリオとフリントを見ていた目が、こちらを向いている。


「その武器……ヒーラーが持つものじゃないな」


回し続けた。止まったら終わりだと分かっていた。オークの体に穴が増えていく。血まみれで、肉が見えていて、普通なら何度も死んでいる。


それでも——歩いてくる。


「いいぞ」


笑っている。血を流しながら、穴だらけになりながら、笑っている。


「もっとだ。もっと撃て」


ハンドルを回し続けた。



回していた手が軽くなった。何も飛ばなくなる。


オークはまだ歩いてくる。穴だらけで血まみれ、それでも笑っている。


続けても止まらない——どうすればいい——


迷った瞬間、光が散って【鋼鉄の守護神(ガトリング砲)】が消えていった。


別の手段を。何でもいい。こいつを止められるものを——


光が収束し、別のものが現れた。タンクと筒——【火竜の吐息(火炎放射器)】だ。


ダイヤルを回そうとするが、手が震えて回らない。やっと回った。シューッと霧が出始める。


遅かった。


オークはもう目の前にいた。拳が腹に入り、体が宙に浮いて地面に叩きつけられる。息ができない。視界が明滅する。【火竜の吐息(ガトリング砲)】が光になって消えていった。



オークが周囲を見回した。ダリオ、フリント、リリア——全員が倒れている。


ミラが駆け寄ってきた。リリアの前に立ち、両手を広げて庇おうとしている。オークが腕を振ると、ミラは吹き飛ばされて地面を転がった。それでも起き上がろうとしているが、膝が震えて立てない。


トマは座り込んだままだった。



オークがゆっくりと歩いてきた。


トマの前を通り過ぎる。ミラの前も通り過ぎる。どちらも見向きもしない。


リリアの前で止まり、しゃがみ込んで顔を覗き込んできた。血と焦げた肉の匂いがする。


「いい目だ」


首飾りを外して地面に置いた。12個の頭蓋骨が並ぶ。


「お前で13個目だ」



ミラが這い寄ってきて、リリアの腕を掴んで引っ張ろうとしている。だが動けない。オークが体を押さえつけているのだ。


オークはミラを見もせず、腰の袋から何かを取り出した。針のようだが、針というには太すぎる。釘のような金属の棒で、先端だけが異様に鋭く研がれている。


「こいつでこめかみに穴を開けて、紐を通す」


地面に置いた首飾りを指さした。


「それから首を刈って、肉を削いで——できあがりだ」


「生きたまま穴を開けるのが好きでな。死んでからだと、目が濁るんだ」


頭を押さえつけられた。万力のような力で、身動きが取れない。


「じゃあ、始めるか」


こめかみの横に、針の先端が押し当てられた。冷たい金属の感触。


最終救護ラストレスキュー——)


光を呼ぼうとした。何も起きない。


(なぜ——)


もう一度、強く念じた。何も起きない。手のひらに光が灯らない。


分かった。ヒーラーの道具は「他者を癒すため」のもの。自分の身を守るためには——応じない。


(そんな——)


オークの腕に力がこもる。

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