表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ドッカン◇石になっちゃった!? 古城のふしぎな番人!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/108

たどり着いた思い

見える。


目を閉じているのに、見える。


石の奥に揺らぎがある。ここのものじゃない。修道会でずっと気の流れを読んできた。これはこの石が持っているものじゃない。


異物だ。


魔法学校でも修道会でも、誰もこれを教えてくれなかった。

もっと前から、ずっとあった感覚だ。

身体が言っている。触れれば通る。





ファイアーボールが当たらない。


ずっとそうだった。修道会でも、転向してからも。火は出る。でも、真っ直ぐ飛ばない。どれだけ訓練しても、呪文を変えても、どうやっても外れる。


ずっと恥ずかしかった。失格だと思っていた。


気づいたのは去年だった。


掌が熱くなる時がある。外に火を放とうとした時じゃない。気を通している時に。


——外に出せないのではない。


内側にしか、通せない。


ようやく分かった。


欠陥じゃない。ずっとこういう火だったんだ。





石の中の揺らぎが、近づくにつれ強くなる。


右手を当てる。


冷たい。粉が手のひらに乗る。どこにでもある石だ。


ちがう。


触れた途端に、波紋が近くなった。呼吸と同じだ。意識すると変わる。意識するから分かる。


川に手を沈めると、流れが掌に当たってくる。押しているのではなく、来ている。


来ている。


ここに何かある。ここで何かが起きようとしている。


川の流れと同じだ。石を置けば流れが変わる。上流で何かが落ちれば伝わってくる。


——火を送るんじゃない。

熱の起こり方を伝えるだけ。





「テアさん!」


リリアが叫んだ。


ガーゴイルの胸の奥で何かが変わった。


表面が細かく震えている。白い粉が舞った。亀裂は走っていない。でも石の内側で何かが動いている。


リリアには分からなかった。


ゲルトが後退した。ヴェルナーが矢をつがえたまま、動けない。


ガーゴイルが動いた。


膝が、崩れるように折れた。両腕を胸の前で交差させた。頭が下がった。


主に捧げるように。



◇◇◇



ニトログリセリン——


単体では触れただけで爆発する。

振動でも。熱でも。衝撃でも。


1864年、ノーベル火薬工場が吹き飛んだ。

弟エミールが死んだ。


1867年、アルフレッド・ノーベルは答えを見つけた。


珪藻土——太古の藻類が海底に積もり、化石となった土。

無数の微細な穴を持つ。


その穴にニトログリセリンを吸わせる。


液体は穴の中に閉じ込められ、安定する。

運べる。貯蔵できる。制御できる。


これがダイナマイトの原理である。


風化した古城の石。

何百年も雨風に晒され、表面に無数の穴が開いた多孔質の石。


珪藻土と同じ構造。


心臓の痙攣を解くもの——

岩を砕くもの——


守り続けた時間が最後の番人の命取りとなった。


狭心症の発作を鎮める血管拡張薬——

その同じ分子がダイナマイトの主成分でもある——


すなわち——ヒーラーが装備可能な『治療器具』である!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ