表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第三章
25/123

友の思い。人の思い、そして…………

プロローグ




━━━聖アレイク王国……、王座の間。



先の四ヶ国会談より王が戻る。



━━━国王レゾンが、旅の疲れすら見せず。王座に着いた。


傍らには、旅より戻った王妃レイダ様が、自らのお手から慎ましく皆の為。お茶の用意をしていた……、



王座の間には現在。ケレル皇子含め。アレイク王国の重鎮と会談中である。



本当であれば、天気が良い今日など、庭園での会談が望ましいが……、



━━本日の議題が、それを止めていた。



王の命に答えるためケレル皇子、カレイラ准将が内々に進めていた案件。特別処置による『オールラウンダー』候補の現在の報告を受けていた━━、



アレイク王国の歴史上━━、

『オールラウンダー』となった者は僅か5名と少なく。

現在。候補者も生徒に。何人かいる程度である。候補者となれる者は、学生時代の内に。自分たちの力で隠された試練を見つけ。それを乗り越えた者だけが、国王含めた重鎮に認められて。『オールラウンダー』の称号を与えられる。


「現在。アルファードの森に向かっております」


「ほ~うアルファードの森か……、試練とはまさか?」


王も耳にしていたのだろう……、


「あのヴァレ・カルバンに任せてあります」


「まさかオーダイのか?」


驚きが隠せない国王に。ケレル皇子が頷いた。

アレイク王国で、ただ一人。レゾン国王自ら、騎士にと登用を願った人物。彼は『聖弓』の称号で呼ばれ。名誉職ながら、カレイラ・パレスと同じ。准将の地位にいる。



だが……陛下の護衛以外に、全く興味をもたない。表舞台には現れる事がを嫌う。変わり者である。



━━オーダイ准将とは、平民出の腕のよい猟師でしかなかった……。



だが、ただ腕前がよいだけでは、国王直々に。登用されはしない。正確無比な精緻な射撃と。人間離れした遠射技術は、もはや神掛かってるほどで、様々な逸話を残している。



━━以前になるが……、酒の席で、レゾン陛下が、オーダイをこう称する。1人で、一軍に匹敵すると━━。



━━かのオーダイの逸話の一つに、

気難しいと知られていた前魔王ヒザンが、


『見事なり。オーダイ!、我が子に、弓を学ばせん』


最大の賛辞を述べさせたと言う……、


「我がカレイラ師団に。オーダイ殿の子息が入りましたので、任せようと思います」


国王は、カレイラの悪戯子のような瞳を見て、思わず苦笑していた。確かに彼の子息なら十二分に信頼出来た。



それに……、国王として民が苦しむことに。胸を痛めていた。急を要するが、軍を動かすには難しく。少数の兵では倒すも困難。それ故に判断が難しい。




……アルファードの森に、翼竜種ワイバーンが、住み着いたのはつい最近だと聞いている。

レゾン王の胸中では、



━━喩え。娘を救った人物とはいえ……、いささか荷が重いと思うが…、



もしも……、



ワイバーンもの魔獣を倒したとあらば、『オールラウンダー』の称号を与えるに相応しく。十分に試練の一つ。空をクリアしたと認めれる。

『オールラウンダー』の称号には、5つの試練が存在する。地、海、空、知、魔である。

『オールラウンダー』とは、あらゆる武器。あらゆる道具。それを使う知識。精神力。そして魔法。

この5つの才能を満たした者だけが、

『オールラウンダー』の称号を与えられる。




それは━━アレイク王国の建国に従事した。三人の重鎮の物語に由来した秘事。


「よかろう━━━」


王の了承を受け、満足そうにカレイラは微笑して、深く一礼したが、下を向いた顔に。強かな光を宿していた……。


何せ……、


今頃オーラル達は、アルファードの森に入ってる頃だからだ……。



━━━5日前。



国内の民に、大々的にオーラルの偉業が発表された。



一介の訓練生が、ミレーヌ様をテロリストの魔の手から守った功績は、凄まじい勢いでオーラルの立場を動かしていた。



━━連日。貴族の夜会に呼ばれたり。有力者からの会食に呼ばれたり。数えたらきりがない。そんなある日のこと。オーラルの元に。ケレル皇子様から使いがあって、別邸に赴き、ケレル皇子との謁見中である。


「よく来たねオーラル君」


挨拶もそこそこに。訓練生で、しかも平民でしかないオーラルに。カレイラ准将は、王女を狙ったテロ事件のその後を語る。多くの負傷者を出した戦士養成学校は、一時休校となったこと。学舎が壊れたため復興に時間が掛かることなど。様々なこと。


「これでもわりと忙しい身の上でね。テロリストの取り調べがまだ終わらないわ。そのうえ校舎の復旧。予算の計上と資金の確保が、まだ出来ていない。そこで君たちには不十をかけるね。済まないと思ってるよ」


国王夫妻が戻らねば、未だにめどがたってい事案は多い。


「カレイラ准将閣下、それは仕方ないことです……」


しみじみオーラルという青年は呟く。見た目眠そうな眼差しからは、怒りや焦り。諦めとかいった。分かりやすい感情など。表情からまるで読めなかった。こんなことは初めての経験である。


目を細めながらケレル殿下と視線をかわしていた。



━━それでも留守を預かるケレル皇子にとって救いは、目の前の訓練生による。迅速なる行動によって。



最悪の事態を回避出来たことは、行幸であった。



━━カレイラは殿下の命令を受け、訓練生とは言え。養成学校生徒のあまりにも見事な行動を調べていた。



そして……二人は、感心していた。


まだ訓練生でしかない生徒を纏め。見事に指揮したその手腕。オーラルの事を事前に調べさせて。二人は再び驚くばかりであった。これだけの逸材が野に埋もれてたのかと、愕然としたのだ。



そこで……人となりを確かめるため。カレイラとケレル皇子は、直接会って話す面接を望んだ。


「忙しいところ、済まないね」


ケレル殿下が直接労をねぎらうと、困ったように笑う顔に。カレイラは、見覚えがあることを思い出す。


「……確か、アレイ学園……。そうだ……、入学式の時の……、ミザイナ大使と、決勝を戦っていたね?」


カレイラの記憶力に、やや驚くが、


「はい。そうです」


全く緊張した様子がないオーラルは、気負いなくあっさり認めた。その様子を観察しながら困惑していた。豪胆な人物か?、それとも性格破綻者か……、


『正直分かりにくいが……、』


豪胆で、人に好かれる人物だと判断した。そう判断したのには、幾つか理由があった。


材料の一つに、豪胆で知られてるミザイナ大使、

我が国の宮廷魔導師筆頭ケイタ。妻で財務官のカレン・ダレス=シルビア、

エレーナ大司教からオーラル人となりを聞いていたからだ。そのなかでも彼に対する評価が、一番高かったのが、自分を律していつも公平を喫し。自分や周りにすら厳しいあのミザイナ大使が、絶賛してたのには、幾分驚かされたが……、


「この国はオーラル。貴殿に多大な迷惑と、それ以上の借りがある。我が父は、そなたの行いに報いるため。最高の称号に価するか、オーラルそなたに試練を与えたい」


「はい、承ります!」


一切迷いなく。あっさりと申し出が受けられてしまい。二人は思わず見合う。何も疑問は持たないのだろうか?、



━━少し心配に思った……、オーラルの真意を読むべく。表情を見ていたが、あくまで自然体。


「なるほど……」


ミザイナ大使においとまを告げた時に。言ってた言葉を思い出したのだ。


『カレイラ卿……、オーラルは一見。簡単に何でも引き受ける一面があります。貴方の狙いが何か解りませんが、十分に期待に応えますよ』


目をまるくしていたケレル殿下は、愉しげな笑みを浮かべ。何時のまにかオーラルに好意を抱かせている。


『彼奴は、必ず英雄と呼ばれる男になるでしょう……』


その事実だけでも興味深く。ミザイナ大使の言葉。カレイラも信じてみたくなっていた。だからではないが、思わず笑っていた。


「早速だが、ヴァレ・カルバン」


「はっ!」隣室から、すらりと背の高い青年が入ってくる。身に付けた衣服は、かなり良質な物で、

上級騎士=少尉以上、小隊長の身分を意味する。真新しい階級校章が、胸元に輝いてた。歳はオーラルより少し若い印象だ。

青年は茶目っ気のある瞳を、興味深く認めていた。


「オーラルよ。そなたは今より5つの試練を与えられる。見事これらの試練を越えて見せよ!。まずは空の試練である。詳しい所在は、カルバンに聞くがよい。彼は『聖弓』オーダイ殿の子息、自身も弓の天才でもある。貴殿の新たなる力を引き出すことであろう━━」


厳かに命じるケレル殿下。期待に答えるべく、オーラルは静かに頷いていた。



━━カルバン、オーラルの両名は、その足で、用意されていた馬を駆り、

西の街道を南下する━━、



ターミナルの街から、東の山道を抜け、4日掛けて、東の小さな街。アルファードに向かっていた。



アルファードの街は、古くは鉱山の街として、知られていた、

が━━銀山が枯渇してより。アルファードの森と呼ばれる。広大な森に。クワイと呼ばれる。黒く小さな果物が実る木々が群生していた、


そこでその葉を好んで食べる。かいこと言われる虫は、繭を作り成虫になるのだが、その過程で繭から、糸を作る事が出来ると分かり。産業として発展。アルファードの街は、蠶から取れる糸を使って作る。アルファード織が名産で、高価な値で売り買いされていた。また交易路にある中継の街として、知られていた。しかしそれは最近のことで━━、



森の近くに。蠶農家が増えていて。小さな集落が点在していた。



そんな専業農家から、蠶の繭を買う目的か、街で作られる織物を買い求める商人が、近隣の村を訪れる。さらに近隣の村。町からも近く。アルファードは、交易の中継所として、小さな街ながら、人の往来は多い。



筈なのだが……、



━━夕方頃。街に着いた二人は、あまりにも閑散とした通りに。驚きを隠せず。馬と泊まれる宿すら、交易の商人が、最近訪れていないと、食堂も閑散としていた……、


「あんた達………王国の兵隊さんかい?」


宿の女将が、眼を輝かせな

がら問うから、仕方なくヴァレが答えた。


「そうですが……、何か?」


上級騎士と一目で判る服装のカルバンに、ひとしきり笑みを振り撒きながら、


「もしかして……、アルファードの森に行くのかい?」


頻りに聞いて来るので、仕方なく。


「そうですが……、何か問題でも?」


訝しげに眉をひそめていると、


「とんでもない!、わざわざ来てくださり、感謝いたします」


大真面目な顔で女将に言われてしまい、二人は少々面食らった。


「もしや女将さん。例の飛竜ですね?」


確認するようにオーラルが聞くと。神妙に頷いた、詳しい話を調べるつもりだった二人は、頷きあって、女将から。話を聞くことにした。



……飛竜ワイバーン)が、アルファードの森に住み着いたのは、つい半月ほど前……、



クワイの実の収穫時期で、蠶の餌になる。新芽の葉を取りに出た時だった……。



アルファードの周囲で、集落を作り蠶の育成作業と糸の生産を請け負う。集落の若い衆達が、大怪我をして。街にある女神アレの教会に担ぎ込まれた。さらに荷運び用の馬車に繋いでた馬が、何頭も被害にあったと言う……。



近隣の村には沢山のキャラバンが通るのだが……、昨日ついに襲われてしまい、死傷者が出たと聞き、二人の表情が変わった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ