飛竜(ワイバーン)
━━確か……、
ワイバーンは、翼竜種数えられる。
が、長距離の飛行を苦手としていて。それでも旋回能力に優れた飛竜である。恐ろしいのが、獲物を狙う瞬間である。
視力は鋭く、獲物を見つけたら、素早い旋回を始め、翼音を消して、滑空する能力があるため。静かな暗殺者と異名をもつ。さらにワイバーンの尾には、蠍の尾になっていて、猛毒を持っていると言うから厄介である。
━━たた翼竜種なので、前足は小さく、退化してるので、その分。後ろ足は強靭である。馬の巨体ですら、捕まえたまま、飛行出来る力があるという。
翌日━━。
馬を宿に残して、徒歩でアルファードの森に入った二人………。
その肩には、強力な弓と鋼鉄で作られた矢が、用意されていた、さらにオーラルのリックには、ヴァレが用意した。折り畳み式の槍と、腰に分銅の付いた鉄を織り混ぜた、ロープ二巻を底に。準備していた。
宿の女将に聞いた話では、クワイの木々が群生してるのは、森の奥………。
ワイバーンが巣にしてるのは、泉の側と言う話だ。
━━森の木々が生い茂げり、木々の合間に朽ちた灌木が、風雨に晒され、森を豊かな土壌にしているようだ。近隣の集落の者が管理してるのか、伐採された木々が間引きされ、比較的歩きやすい森だと、感心していると。カルバンが指差した地面を見れば、荷馬車を走らせた跡の轍が、幾つも見受けられる。ここから森は険しい坂道となっていて、馬車が無ければ、大量のクワイの葉を持ち帰るのは、難しそうである。それに━━アルファードの森を。北西に森を抜けると城塞都市ベセルに行く近道である。飛竜のこと知らないキャラバンが通る可能性もあった。さらに森の中には、小さな村が点在してると聞く。そんな所を飛竜に襲われたら……、オーラルは静かに唇を結ぶ。早急な退治が求められていた。
カルバンが見付けた木陰で、二人は休息する。辺りを伺うオーラルに。小さく苦笑して、
「ここなら大丈夫だ、泉から此方側が、風の通り道になっている。この地形なら。風が変わっても。泉付近まで匂いは流れない。いくら匂いに敏感なワイバーンとて。気付かれないさ」
妙に、森やワイバーンの特性に詳しいと。オーラルは興味を覚えた、
「あんた随分とワイバーン……、いや、森に詳しいような気がする?」
「まあ~な、お前。ヴァレ・オーダイ准将て、知ってるか?」
どこかで聞いた覚えがあった……、
確か…先生していた時に訊いたな。変わった経歴の騎士として、話題になった人物だ……。現国王のただ1人の護衛であり。王自ら登用されたと。様々な逸話や。噂が流れていた………、
カルバンは苦笑気味に頷き。
「父は、元猟師でね。森で生き抜くコツは、嫌って程。身体に染みてるよ」
肩を竦めていた、そう言えば……、
騎士なのに、ナイフ以外の刃物を身に付けていないな……、弓を獲物にしてる様子から、成る程と納得した。ヴァレ・オーダイは弓の名手と知られてる。オーラルが慣れた手つきで、弓を扱う様子を見て。
「お前さんの弓を扱う様子から、それなりに使えるのは判る。長いのか?」
カルバンの興味深そうな眼差しに、些か驚きながら、
「学園で、それなりに……」
「ああ~アレイ学園でか……」
納得して妙に懐かしそうな顔が、印象的である。
「俺の先輩がさ……」
一瞬言おうか迷いながら、諦めに似た笑みを浮かべて。
「俺なんか足元も及ばない腕を持った人でさ、今なら分かるあの人の腕前は、父に肩を並べる。本当の天才だったんだ………」
何やら訳ありのようで、聞かないように考えたが、
「あんた……。ミザイナ部隊って知ってるか?」
軽く息を飲んでいた、
「学園史上。最強の伝説を作った部隊があったんだ………」
懐かしそうに、呟くカルバン。
まさか……、
驚きのまま、オーラルはカルバンの次の言葉を待っていた。
「俺は……、ピアンザ部隊のメンバーだったんだぜ」
彼の寂しく。寂寥ある告白は、オーラルの心臓を冷たく掴んでいた。
「ピアンザの……」
オーラルの呟きに気付かず。ミザイナ部隊の……。その後を聞くことになった━━━、
━━━オーラルが、学園からの退学言い渡された。後━━、
ミザイナ部隊に、シルビア=カレン・ダレスが入り、そこから快進撃を続けること二年……。
ミザイナの卒業の年……。
「何故か、6人分の申請と、ポイントを稼ぎ、世界一周の旅をした凄い部隊さ、俺は翌年にピアンザさん、レイナさんに誘われて……、部隊に入った……」
静かに佇むカルバンは、寂しく笑ったように見えた。
「ケイタは、同じ部隊ではなかったのか?」
「ん……ケイタさんは…ん?、何故ケイタさんを知っている?」
訝しげな顔をした、オーラルは深くため息をして、
「俺もその昔。ミザイナ部隊にいたからね……」
肩を竦め。何でも無いように言った。
「ミザイナ部隊に……、まっ、まさかあんたが……、オー君?」
息を飲みながら、呟いていた。
「懐かしいな……、レイナは、魔法医になったのかな?」
静かに目を細め。にこやかに呟くオーラルに、カルバンは静かな眼差しを向けていた……、
やがて決意の光を宿していた。
━━徐々に森の奥に進むと、強烈な異臭が漂ってきた。
周囲に注意しながら見れば、大木の何本かが、ワイバーンの手によるものか、凄まじい力でへし折られ。見るも無惨にその周囲の木々は、幹に爪痕を受け、ズタボロになって。その為かは分からないが開けた場所が辺りに点在しており、食い荒らした、馬、家畜の牛、羊の死骸が、所構わず放置され。時間と供に腐り、異臭を放っていた……、何故か獲物の腹だけ、ぽっかり喰われて、無くなっていたが……、
カルバンと眼差しで合図を送り合い。二人は辺りの気配を、注意深く探りながら。オーラルは音消し、匂い消しの魔法を二人に掛けていく。
早速とワイバーンが戻るまでの僅かな時間に、迎え撃つ準備に取りかかる。




