閑話帝国の闇
━━━西大陸。元商人の国セロンの首都バーレーン。
現パルストア帝国財務省のトップである。ローレイ商会の若き会長ハーミュアは、今日も魔王ピアンザの命に従い。元商人の国セロンの大商人相手に。様々な手段を用いて、時に利益を囁き、時に相手を脅すことで、強欲な商人相手に有利な条件を引き出していた。
「ふふ……、魔王は相変わらずか」
先だってのこと思い出して、せせら笑うハーミュアは、表面こそ好青年を演じていた。
「それにしても。愚かな赤の民がしゃしゃり出てくるとはね」
王宮を襲った噂を聞いたハーミュアは、詳しく調べるため役人に金を掴ませ、調べあげていた事件、魔王は隠そうとしていたが、所詮は人間である。幾らでもやりようはあった。
「魔王ヒザンいなくなり。若いピアンザでは守りも甘くなっていたか?、ふふまあいい、どうなろうと構わん」
魔人の襲撃を受けた城内は騒がしいく、今しばらくは各地の警備強化に勤しんでいる。内務省としては掛かる人件費の捻出に余念がない。
「ハーミュア殿……、しかしそれでは…」
ハーミュアが示した内容に。難色を示すのは、同じローレイ商会の商会長の一人であった。
「それだけ負担額が増えてしまうと流石に……」
「なあに今だけですよ、最初の諸経費さえ終えれば、10年は、セロンの町を守る毎に繋がる投資です。兄は理解を示しましたよ。それにこの程度の金額ならば、セロンの元国庫の余禄で賄えるではないです」
ハーミュアはにやり強気に微笑んでいた。
「くっ、しかし………」
グッと息を飲み。冷や汗を浮かべていたが、
やがてガックリっと肩を落としていた、
「ハーレス様には敵いませんな……、分かりました、魔王ピアンザ様には……」
「ええ、分かっていますとも。私も商人です。商人の利益は守りますとも」
そことなりにこやかな笑みを浮かべると、安堵の顔を浮かべていた、二人はにこやかに握手をかわした、商談の成立である。
細かい内容は、後日話し合うとして、後数人の有力者と、会合重ねなければならない、面倒だが、仕方ないことだ。
本日最後の相手、武器商会長が退室して間もなく、隣室で待ってた。同僚のトロン・バーン騎士団長、諜報の長であるミューア・サリアン六将の両名が待っていた。
やはりと言うべきか、ミューアはピアンザ陛下が、いないことから不機嫌であった。ある意味仕方ないが……。
こうもあからさまだと。何とも言えない気持ちになるものだった。
ミューアにとっては、そもそも面倒な相手であるハーミュアとの会談には、否定的な立場であったが、今回は誘いに乗ってまで、外町の商会まで足を運んでいた。それでも不満とやるせない空気を纏うミューアに対して、トロン・バーンもやれやれしかたなしと肩を竦めていた。
もっともこれも仕事だけに。二人とも了承していたが……、
「それで何よ、わざわざ城の外にまで呼び出すなんてさ」
ぶっきらぼうなミューアには、二人も苦笑を交わしていた。
「うん、それは貴女ならば分かるのではないですかな」
ハーミュアが技とらしい意味ありげな眼差しで、ミューアを見ていると。ギロリと睨まれた。
「はあ~そうですか、ならばあえて尋ねますが……、ミューア貴女が魔人を見つけて、城内で暗殺したのは事実ですか?」
遅れたことを悪びれる訳もなく。ハーミュアはトロン・バーンにも眼差しで問いかけていた。
わざわざ忙しいはずのハーミュアが、真実を知る二人と会合を持つためにに。時間んをかけてまでも知りたかった話だ。
「へ~え、流石商人だわね。それでハーミュア、貴方は何が知りたいのかしら」
「おいミューア……」
慌てるトロン・バーンを無視して、ミューアは能面のような、無表情だが、眼差し鋭く。ハーミュアを見ていた。その彼女の目の奥は、ハーミュアの真意を見てくるよう、不可思議な魔力を双眼から感じた。
「……ふふ、それもそうですね。ミューア貴女が懸念を抱くのも仕方ありません、ですが考えて見てください、我が帝国と国外の現状を」
いかにもって感じで、恭しい語り口、まるで役者のようであるが、これまでの所ハーミュアの言ってることに。ミューアにもある程度理解できる言葉であった。
「それこそ我々財務を預かる商人にとって、未だに魔人が討伐されてなく。また中央大陸の異変、各地のモンスター、魔物、我が大陸では、魔神が溢れてしまっているのが現状ですよ?」
用意された。洗練された茶器に。香りのよいフレーバーを嗅ぎながら、一口唇を湿らせる。
「何より魔人でしたか、あれを実際に倒して脅威を排除してみせたのは、我が国とアレイク王国のみ、ここまで言えばお分かりですね?、そう二国だけなんですよ?」
にこやかにいい募るが、段々と二人の頭にもハーミュアが言わんとする意味がわかり始めていた。
「それで……、ハーミュアはどうするつもりなのかしら」
先を話すよう促すと、仕方ないですねと口を眇ながらハーミュアはうっすら笑みを浮かべていた。
「当然ピアンザ様の障害ですから、二人にもお分かりですよね」
「それはまさか」
いい淀むトロンの言葉に、ハーミュアも心当たりがあったのか、眉を潜めていた。
「そう……、貴方の狙いは分かったわ」
不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。
「今や六将も、ランバスター将軍以外は、新参者が増えました。そのため国内の情勢が不安定となっております、今陛下は国外のことに目を配らなくてはならない時期です、ですのでミューアにはその辺をと、そう言う訳です」
「おいまさか……」
「ええ、国内の疾患は、早い内に取らなくては、大変なことになってしまいます。そこでミューアどうなっていますか?」
その問いは、元六将が1人。国内の闇ギルド長だったダレーク・アートから、全権を受け継いだミューアの元には、様々な情報が集まってる筈だ。
「ゼノンの奴には、注意を促してるけどさ~、新任のパルストア学園長ゼーダ・ソロン、彼奴は危ういわね」
(やはりか……、)
ハーミュア、トロンが見合う、アレイク王国の王宮魔導師筆頭ケイタ・イナバ主導で行われる予定のある事業『瞬きの扉』の建設に、難色を示していたのは知っていた。
(あの男の権力に固執する様は色々と問題がありましたが………)
ゼーダは、二人から見ても危険だと感じていた。
「なんだってあんな男に……」
ミューアは思わず唸り、嫌悪感すら吐き出すかのよいな言葉には、二人も同意である。しかし帝国は急激に大きくなりすぎたのは言うまでもない。
ハーミュアとトロン、新しく六将になっ二人は、年齢も近く。ミューアとしても話しやすくはあった。だからハーミュアがわざわざ二人を呼び出したことからも。何かしら相談があるのだと分かってはいたミューアだが、この場で裏の話が出るのは予想外だった……、
ハーミュアとダークには接点はない筈だが……、ミューアは違う、ある意味恩人でもあった。
「何が聞きたいのかしら?」
二人と話てて、以外っと楽しいから穏やかな眼差しに戻して。ミューアも香ばしい焼き菓子を堪能しながら尋ねていた。
「あの男がもしも動くとしたら……」
ああなるほどハーミュアは、商人である。ミューアとは違った情報から気がついたのだ。
(面白いわ、流石は六将に選ばれた者ね)
「ピアンザ様が居ない、今だわね」
誰しも考えていたことだ……、そうハーミュアもミューアも、ハーミュアから話を聞いたトロンにも予想がついた。




