6話 賢き黄色い菊
用語解説
黄菊美緑 24歳 ♀ 【人物】
神霊花装〈yellow-chrysanthemum〉の使用者。
性格は二面性があり片方は物静かで凛として慎ましくあるがもう片方は冷酷で敵を屠る事に何も感情を抱かない様な殺戮マシーン。
その二つを持ってして公私を分けている。
夜桜に対しては部活内の仲の良い先輩のような感情を抱いている。
「これが、例の艦か」
俺は今完成したばかりの大型神霊花装〈Yellow-chrysanthemum〉の前に立っている。
何故かと言われれば理由は単純、見たかったからだ。
「空を飛び戦闘までこなす艦なんて某機動戦士的なアニメとか某ギャルゲーみたいなラノベでしか見た事無いが生で見るとやっぱりカッコイイな」
現在固有名称及び識別コードの付けられた神霊花装は世界に数十機しか存在しない。
そして暁星島、NCBにて保有されてる神霊花装でさえも黄菊美緑の物を入れても六機しかない。
青薔薇緋奈の操る〈blue-rose〉
白百合茜の操る〈white-lily〉
黒百合藍の操る〈black-lily〉
赤椿鳳姫の操る〈red-camellia〉
姫斬夜桜の操る〈night-cherryblossom〉
そして最新の、
黄菊美緑の操る〈yellow-chrysanthemum〉
何故ここまで少ないかと言うとそれは神霊花装の基礎理論を提唱し作成した者がただ1人、唯一神霊花装のコアを作れるからだ。
作成者が作り出したコアが各国の軍や国連、そして我々の元へ不定期に送られてくる。
それを用いて使用者に合わせた神霊花装を作り出していく。
「それにしても俺らの神霊花装とは全くもって違うよな」
そんな当たり前のことを考えていると背後から声をかけられた。
「それはそうです、そもそもの設計コンセプトが単騎戦闘用と輸送及び戦闘用ですので」
いきなり声をかけられ若干驚くがすぐさま音源を特定しようと振り返るとそこには1人の女性が立っていた。
輝くような金髪に碧眼、これだけでも1度見ただけで忘れられなくなる程の美しさだがそれ以外にも女性にしてはやや高めの身長や平均よりやや筋肉のついた四肢などものすごい情報量だった。
そしてそれ以前に纏っているオーラが何とも心地よく周囲に寄るだけで癒されるような感覚を感じた。
「自己紹介が遅れました黄菊美緑中佐です、以後お見知りおきを」
先程までの慈愛に包まれたオーラは一瞬で掻き消えただ純粋な事務的かつ若干冷酷なオーラに変わっていた。
「姫斬夜桜防衛大臣兼司令官です」
俺もあくまで事務的に返す。
「姫斬司令、私ひとりでこのような大きい空中艦を操ることは出来るのでしょうか?」
確かに通常の神霊花装はあくまで人の四肢の延長だがこれはまるで勝手が違う。
だが彼女の適性と今までの戦歴から見るに操ることは余裕であると思う。
「黄菊中佐の神霊花装適性及びこれまでの戦歴から見るに可能だとは思うが」
これは本音だ、そしてもう一つ言っておく。
「あとこうして1体1の時は姫斬司令なんて堅苦しい呼び方じゃなくて夜桜で良いよ」
あのオーラの変わり様は恐らく公私をしっかり分けるタイプだと思う。
「まぁ本人がそういうのならば、ですが年齢的にあなたの方が上なのでせめて敬語とさん付けぐらいはしますよ」
年齢的に一番近いのは藍だが彼女はなんか俺を嫌ってるから話せないし緋奈や茜は話しやすいのだが世代間の意見の相違が凄い、そして鳳姫に関してはもはやイエスマンなので話にならない。
そう考えると黄菊さんはかなり話しやすいのかもしれない。
「それと、私のことも美緑と呼んでください」
「分かった、改めてこれから宜しくな美緑」
「はい!よろしくお願いします」
満面の笑みで返された。
そして時は再び現在に戻る。
「搬入及び調整は完了したわね?」
「いずれも抜かりなく」
「それではこれより神霊花装強制適正者増殖計画被害者救出計画を開始する」
そう、〈yellow-chrysanthemum〉が完成し物資や弾薬その他諸々の準備が整い黄菊美緑が帰還したことでこの作戦を実行できるようになった。
赤椿鳳姫の生まれ育った”研究所”内に囚われている被害者達を救出しに行くのだ。
「分かっているとは思いますが確認します、これより私の神霊花装にて研究所上空まで翔び空砲及び警告により避難を促し抵抗がある場合はこれを神霊花装を持って制圧しその間に赤椿少尉を中心に別働隊は被害者達を救出し撤退」
「要は領主様とお兄ちゃんと私で相手の武力を抑えればいいんでしょ?」
「そしてその間に私と赤椿少尉と数名で潜入し救出すれば良いのですね」
「了解した、みんな、私の仲間を助けるのに手を貸してくれ」
美緑が作戦の概要をまとめ茜と藍が各々の作戦行動を復唱し鳳姫は涙ながらに助けを求める。
「良し、全力で作戦を遂行するぞ!」
「「「「「オー!」」」」」
一同の掛け声が揃い反響する。
こうして、NCB神霊花装部隊はその全戦力を投入し初任務を遂行しに行くのであった。
「なんかこの全員がオー!って言うのを見たことあるんだよな、それに何故かは分からんが俺はこの場面を見ている気がする」
普通なら有り得ない既視感を感じながら呟く。
この感覚は今に始まった訳では無い、人生で既に何回もある感覚であるし問題は無いが・・・だとしたら結果も分かるはずなのだ、今回の作戦の成功か否か。
まるでそれはライトノベルの主人公が背負うような悲しき業のような能力かもしれないが一体どうすればいいのか?
次回 悲しき夜色の桜
毎度更新が遅く申し訳なく思っていてもなかなか改善できないでいる学生の東風陽炎です。
まずは6話をご覧頂き誠にありがとうございます。
遂に夜桜の中に眠る能力の片鱗が現れました!
今後どうなるのでしょうか?
意見・要望・その他諸々コメントをお待ちしております!




