5話 初々しき赤い椿
研究所 【施設】
非合法的に遺伝子操作や人体改造などを行う非人道的な組織の施設
鳳姫を初めとする多くの人間が収容されている。
yellow-chrysanthemum 【装備】
黄菊美緑専用神霊花装
部類としては戦闘用空中艦で他の神霊花装とは一線を格した大型装備
内部は完全に艦で食堂やシャワールームを初めとした生活に必要なスペースもあり神霊花装の整備施設も揃っている。
「あまり痛くしないでくれよ?」
「はい?」
俺は、いきなり周囲から誤解を受けそうな表現をしてきた腕の中に居る美少女〈赤椿鳳姫〉に問う。
「なぁ赤つ・・・鳳姫、その言い方だと俺が今からお前に対して色々とても公衆の面前では言えないようなことをするみたいに誤解を受けると思うんだけど」
「違うのか?私は私よりも強い者に出会ったらその者と同衾し子孫を残せと言われていてその過程が多少なりとも痛みを伴うと聞いたのだが」
この娘、かなり一般常識が欠如している。
「どこのどいつにそんなこと教えられたんだよ」
聞きたくはないが一応聞いてみる。
「施設の研究者や技術者たちがそう言っていた、私はその圧倒的な神霊花装適正の遺伝子を残せばそれで良いと」
施設・・・恐らくその言葉が指し示す所は非合法的に遺伝子操作や人体改造などを行う組織の研究所だろう。
そして鳳姫はそんなあってはならない場所で生まれ育ち実験動物兼使い勝手の良い捨て駒として扱われてきた。
「鳳姫、お前の知らない世界、俺と一緒に学ばないか? 」
「もちろんだ、私は夜桜よりも弱い、だから私は夜桜に従う」
やっぱり鳳姫は何か欠けている、これは恐らくこれまでの人生から生まれた欠如なのだろう。
「夜桜司令、まずはメディカルチェックと精密検査を行うのが賢明かと」
確かにそれはそうだ、俺の〈ブラスタックス〉は確実に鳳姫を傷つけたからそれの治療と恐らく施されているであろう遺伝子操作や人体改造の痕跡などの解析及び修復を行う必要もある。
「解析は私がやろう、任せてくれたまえ」
「あぁ、任せたぞ」
とりあえずの方針は決まった。
深夜零時
先刻の戦いから数時間経ち緋奈や茜達も治療は完了し鳳姫も検査で疲れたのか皆寝ている。
だが俺は寝ていない、なぜなら調べる必要があったからだ。
軍事的行動用に人為的改造を施し神霊花装適正を強制的に上げる神霊花装適正者増殖プログラムの実態及びその危険性と非人道性について。
回復した鳳姫から聴取し解析結果やその他膨大なデータを参照しまとめたのだがそれを調べ纏めていくうちに鳳姫以外の被験者が現在世界各地で領土拡大や宗教的弾圧などに使役されていて解放する必要があると分かった。
そして今暁星島の緋奈を除くNCB関係のメンバーによる会議が行われていた。
「やはり予測同様現在も赤椿鳳姫と同様の存在が軍事的行動を行っておりそれらを見過ごすわけにはいかない」
「確かにそうですが我々の現状の装備では各地に赴くのは不可能かと」
「ならば、移動手段となる空中艦の造船を行うのはどうでしょうか?」
「空中艦、ナイスアイデアだ」
「仕様は神霊花装同様思考変換型で制作すれば戦闘艦としても扱えるので軍備増強にも繋がります」
空中艦、要するに輸送機と戦闘機を足した様な輸送力と機動性を両立した戦闘可能な艦ってことだ。
神霊花装なんてアニメみたいな常識離れの兵器が存在するんだからそんな中二病心をくすぐられるような物も作れるんだよな。
「・・・何だか体に不自然な重みと柔らかさが」
俺はいつもと同じように目を覚ましたのだが何か不自然な重みと柔らかさを体全体で感じ取ることが出来る。
「んん、夜桜起きたのか?」
「えぇぇぇぇ!?」
確かに朝起きて自分の上に美少女が乗っていたら成人男性はこうなるであろう。
「さぁ、私に私の知らない世界を教えてくれ!」
「お、おう任せとけ・・・」
物凄く嫌な予感しかしない。
悪い予感とは的中するものだと相場は決まっている。
「すまん、そろそろ俺は限界だ」
「そうか、まぁ私の狭い偏った世界は本当に小さいことが分かったから良しとしよう」
そんな時に警報が鳴り響く。
「姫斬司令、赤椿少尉は至急NCB司令室へ」
普通の呼び出しの為の放送ではあるが自分が対象の為意識を向けて聞いた。
ん?今俺の事は司令って言ったのは分かるがその後なんて言った?赤椿少尉?え?
そんなことは気に止めずとりあえずNCBへ向かう。
状況は緊急を要するとかそんなことでは無かった。
「司令、遂に完成しました!」
「完成?」
何が完成したの?
「二つ完成した、一つは司令専用の神霊花装でもう一つは大型輸送用空中艦型神霊花装〈yellow-chrysanthemum〉が」
「それに合わせ日本国海上自衛隊との演習に参加していた黄菊中佐が帰投しました」
「ならば、〈yellow-chrysanthemum〉の出航に合わせて作戦を開始できるように物資搬入急がせて」
「了解です」
「緋奈、少し説明してくれ」
空中艦型神霊花装?黄菊中佐?作戦?分からなすぎる。
緋奈「簡単に言えばこの間の議題、強制適正者救出作戦のための空中艦が完成しそれを操る適正者が丁度帰ってきて夜桜のこの間使った未完成品が漸く完成したってことよ」
「つまり、被験者達を助けるための翼と躰が揃ったということか」
鳳姫は俺の教えた文法表現や要約などをちゃんと使いこなせてるなと思いつつ黄菊中佐とやらに挨拶をしに行こうとしていた。
次回 賢き黄色い菊
遂に遺伝子操作などの単語が出てきましたね。
そして新たなる神霊花装(空中艦)と新キャラ登場の予感(艦装備する女キャラとか完全に艦これですねw)
物語はここから大幅に加速していき夜桜に与えられた悲しき業と能力が目覚めます。
という訳で次回もお楽しみに!




