↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔みたいにかわいい彼女は、本物の悪魔でした  作者: わしお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/61

第51話 - 入れるよな?

 目的地の最寄り駅に着き、大輝と天音は電車を降りる。すっかり冷たくなった冬の風が吹きつけるが、つないだ手は温かい。


「楽しみだね! 私、学校行事以外でここに来るの初めて!」


 にこにこと笑う天音はすでに楽しそうだ。天音はつき合い始めたころより、こういう子供っぽい顔をすることが増えた気がする。


 クリスマスデートの場所を考えていたとき、デートの定番だが行ったことのない場所にしようと思いついたのが、この東京と名がつくが東京ではない巨大テーマパークだった。大輝は小学校の遠足で行ったきりで、全く記憶にないといっても過言ではない。

 行きたいがお金が……と二人で悩んでいたところ、正雄がチケット代を出してくれたのだ。無職なのに。


「勉強の息抜きも兼ねてるんだろ? 妥協せずに行きたいとこ行けよ。一生の思い出になるからさ」


 大輝たちは正雄の好意をありがたく受け取った。そしてこの日に合わせて受験勉強を頑張り、クリスマスイブを迎えた。


 すでにはしゃいでいる天音に、大輝は笑みを返す。楽しみ……というには緊張が強いが、天音と同じようにわくわくした気持ちなのは間違いない。


「オレも初めて。学校からも一回しか行ったことないな」

「一緒だね! じゃあ、順番に全部のアトラクション乗ろう! おじいちゃんからお小遣いもらったし」

「ありがたいなー。正雄さん無職なのに」

「たぶん、おばあちゃんの稼ぎだね」


 大輝と天音は同時に苦笑いを浮かべる。天音にドヤ顔で小遣いを渡す正雄の姿が、大輝にはありありと想像できた。

 そんなふわふわとした気持ちの中、大輝たちはテーマパークに足を踏み入れる。入口からまっすぐ進み、視界が開けた途端、大輝は思わず声を漏らした。


「でっか……」


 空に向かって伸びる城は、想像していたよりもずっと大きい。三角形の屋根が、雲を突き刺しているかのようだ。

 天音はその城を、キラキラした瞳で見上げる。


「すごい大きいね……!」

「入ってみる? てか、入れるよな?」

「入れそうだよ。行ってみよう!」


 天音に思いのほか強く手を引かれ、大輝は慌てて足を踏み出す。大輝がリードするつもりでいたが、そんな暇もない勢いだ。天音に任せた方がいいかもしれない。


 近づく城は見れば見るほど立派で、大輝は場違いなところに来てしまった気分になる。しかし隣で白い息を吐く天音には、この城がよく似合っている。白いダッフルコートも青いスカートも水色のショルダーバッグも、もしかしたら城に合わせたのかもしれない。

 大輝は自分の服を見る。黒いダウンコートは無難すぎて、夢の国に着ていくには地味だったかもしれない。


(オレは羽生さんの召使い……くらいの気持ちでいようかな)


 キラキラした世界に早くも打ちのめされそうになりながら、大輝は城の扉をくぐった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。